今週の「マガジン9」

 渋谷のハチ公前広場で、雷雨があがった蒸し暑さのなか、私は涙をこぼしていた。
 通行人に押され、将棋倒しになりそうになり、怖かったからじゃない。「選挙フェス」という幕を掲げた急ごしらえのスタンドの上に、二人の候補者がいたからだ。
 山本太郎と三宅洋平。「無所属で東京選挙区」と「小さな政党・緑の党からの比例区」。この俳優とミュージシャンがいま、私に涙を流させる。昨年の衆議院選挙最終日、高円寺の駅前広場でも立候補した太郎を応援している洋平を見た。そのときから、そういえばこの選挙に出ると宣言していたっけ。
 この二人、いいです。すごく、訴えかけるものがあります。太郎の演説は、やはり俳優ならではです。選挙戦終盤は、疲労がたまっているのか時々言葉につまるけど。頭の大きな円形脱毛症が心配になるけど。誠実に、わかりやすく、どうしてこのままでいいのか? この空気の読めないバカを応援してくれ、と切々と。歩みを止めない若者たちにまで声をかける。
 そして、洋平は音楽です。歌です。その合間に語りかける決意です。みんな動き出そうぜ、太郎を一人にはしない。革命はテレビに映らない!! 思いが音楽に乗り、とても考え抜かれた強いメッセージが熱く……がんがん五感に響いてくる。
 たしかに、太郎も洋平も(自分たちも言うように)国会に行ったら、もみくちゃでしょう。何もやらせてもらえないかもしれない。でも心に迫るんですよ、彼らの言葉は。アラブの春で詩人が重要視されたように、オバマの演説がアメリカを変えたように、私には届くんですよ、思いが。
 私は年甲斐もなく、ハチ公前の聴衆のなかで手をたたき、「そうだ」と叫んで、最後にはなんだか感動しました。カンパたくさん、しちゃいました。
 今週の土曜日、選挙戦最終日。もちろん、私はハチ公前に行くつもりだ。かなりの人数があつまることになるだろう(集まってほしい!)。二人が簡単に当選できるとは思ってはいない。だけど、あのメッセージと歌は、彼らの言葉は、聞いておくべき!
 みなさん、何かが始まったのかもしれません。

*彼らの政策、主張は、情緒的なこの文章では書ききれません。ネットで調べてみてください。
*投票には必ず行きましょうね。

(気仙沼椿)

 

  

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