戻る<<

週間つぶやき日記:バックナンバーへ

週間つぶやき日記

第三十九回

090318up

3月13日(金) くもり

動かない野党も同じ この結果

 ほう、気がつかなかったけれど、本日は「13日の金曜日」。殺人鬼のジェイソンが、チェーンソーをブンブン振り回しながら迫ってきそうな…。
 でも、ジェイソンはアイスホッケーのマスクを付けているから、ほんとの顔は分からない。まあ、どう考えたって良い人間であるわけはないけれど。

 顔が、物語ることもある。
 テレビニュースで観たカルデロン・のり子さんの、必死に涙をこらえているけなげな顔と、無表情で「のり子さんへの配慮をした」と繰り返す森英介法務大臣の顔…。
 「家族3人で日本にいたかったです。(私だけが残ることについては)嬉しい気持ちなんかありません。でも、日本で勉強を続けるためには1人残るしかありません」と語ったのり子さん。
 「今回の結論は、長女の希望を最大限考慮して総合的に判断したもの。今後、長女が近親者や周囲の方々に温かく見守られ、安定した生活を送ることを期待しています」との、コメントを発表した森法相。“法相の裁量”という援ける方法があったにもかかわらず、彼はその“裁量”を示さなかった。
 私はこの森法相の措置を決して忘れない。この法相を選任しているという一点だけでも、私は自公連立内閣を否定する。

 それにしても、と思うのだ。
 今回の“人道的問題”について、野党はいったい何をしていたのか。
 入管法(出入国管理及び難民認定法)第50条の規定を、まさか知らなかったわけでもあるまい。この規定の適用を、野党はなぜ法相に迫らなかったのか。人権を守ることをテーマに掲げる野党なら、なぜ大挙して法務省へ押しかけなかったのか。せめて、社共両党議員たちだけでも…。
 小沢氏や二階氏らの政治献金問題で、政界は大混乱に陥っている。しかしだからといって、少女ひとりの切ない願いを実現させようとする政治家が、野党にさえほとんどいなかったということは、悲しい。
 残念ながら、野党議員たちが法務省に押しかけて、この件について抗議や要請をしたという報道には接していない。
 深く絶望する。

 もうひとつだけ。
 もし(あり得ないけれど)私が首相だったら、法相へ特別指示を出す。
 「カルデロンさん一家の生活状況や素行などを再調査せよ。その上でもう一度、審査のやり直しを考慮せよ」
 支持率低空飛行に悩む首相、せめて“人道的配慮”のポーズを示すことで、人気回復を図ればいいではないか。ポーズでも人気取りのパフォーマンスでも構わない。それで親子が救われるなら、私はそのパフォーマンスを評価する。
 「おお、さすがは人権を叫ぶ首相だ。少女の人権を守るために立ち上がったか」と、少しは国民のイメージ回復にもつながるのではないか。その程度の進言をする側近も、もはや麻生首相の周辺にはいないらしい。そろそろ“裸の王様”か。
 “敵失”だけで、人気回復なんかできるわけがない。

3月14日(土)あめ 

政治家に翻弄される波の上

 本日午後、白波蹴立てて、艦船はソマリア沖を目指した。海上自衛隊員と少数の海上保安庁官を乗せて、遥か数千キロの彼方へ、自衛艦2隻はいよいよ出航したのだ。
 この件については、国会ではまったく議論されていない。自衛隊の海外派遣を、国会論議もなしに、自衛隊法第82条(海上警備行動)の拡大解釈で政治家が恣意的に行ったのだ。
 そもそもこの海上警備行動とは、日本近海のみを想定したもので、数千キロも離れた場所など想定外なのだ。
 武器使用基準も、警備行動の詳細も、外国船舶への対応も、そのほかのさまざまな活動内容を決定することなく、海上自衛艦はソマリア沖へ船出した。少なくとも、自衛隊員や海上保安庁職員の生命に関わる事項を、なんら明確にすることなしに、政府は“出陣”を命じたのである。
 自衛官たちの生命について、おざなりのままの決定を下す。
 「そんなことはない。十分な措置を講じての出動命令だ」などと言うなかれ。麻生太郎首相自らが、今回の自衛隊法の海上警備行動に基づく派遣の中身に危惧の念を抱いているのだ。

首相「法の不備あり危険」  ソマリア沖の海賊対策のための海上警備行動に関連し、麻生首相は13日の朝日新聞のインタビューで、「法律として、色々な不備があるため、派遣される自衛官とか海保の人たちが危険な目に遭う、迷惑をかけるのは、明らかに政治の怠慢だから、きちんとする。きちんとした法整備を含めて、やりあげないといけない」と語った。
海賊対策処罰法制定の必要性を強調したとみられるが、海警行動に法律の不備があり、自衛官に危険が及ぶ可能性を認めたとも受け取れる表現で、自衛隊の最高指揮官として不適切な発言との指摘が出る可能性もある。(朝日新聞3月14日)

 自衛隊の最高指揮官は、いうまでもなく総理大臣である。その最高指揮官が“法の不備”を自ら認めているのだ。それが分かっているのなら、最低限、法整備を終えてから派遣する、というのが筋だろう。
 “海賊対策処罰法案”は閣議決定したけれど、その中身については、国会では何も審議されていない。
 自衛隊の海外派遣という、本来ならば憲法論議につながる重大な問題だ。名古屋高裁による「自衛隊イラク派遣違憲判決」の例にもあるように、司法判断さえ揺れている問題ではないか。それを、十分な国会論議もせずに、あっさりと派遣に踏み切った。
 法的根拠もないまま自衛隊員たちは、どのような場面でどのように武器使用できるかなど、肝心なことは不分明な状況で、出かけて行かざるを得なかった。
 もし、自衛艦が海賊に襲われて武器を使用し、彼らを殺傷した場合、これは刑事罰の対象になりかねない。つまり、戦闘行為ではなく警察行動なのだから、厳密に“正当防衛”以外では、銃器使用は認められない、という説もあるからだ。また、自衛官は警察権を持っていないから、海賊を逮捕するという行為はできない。そのために今回は、逮捕権のある海上保安官を同乗させるという、かなり苦し紛れの措置を採った。
 「その場の判断でやるしかない」と、派遣隊の指揮官は語ったというけれど、生死を争う場面で、明確な基準がなければとっさの判断は難しいだろう。
 そんな危うい状況の中で、麻生首相は、なぜこれほど前のめりに派遣を急いだのか。

 どの分野でも政策実現が遅れ、まったく政治上の存在感を示せない状態が続く麻生政権。小沢一郎民主党代表の秘書逮捕という、強烈な“敵失”にもかかわらず、いっこうに内閣支持率回復の兆しは見えない。
 そんな麻生首相が唯一自負しているのが、“外交に強い”ということだ。政権交代のアメリカに真っ先に駆けつけるのが、外交に強いことだとはとても思えないのだが。
 たった1時間の“大統領のお目どおり”のために、審議中の国会をすっぽかしての米国参り。現地の新聞など、その日の紙面では「日本首相来る」と小さく報じただけで、麻生の“あ”の字もなかったという。
 それが“外交に強い麻生首相”の実態である。

 そして今度は、ソマリア沖への法の不備を無視した海自派遣。それが国際社会への、日本の存在感の誇示だという。
 海自派遣より1日早く、韓国が軍艦をソマリア沖に派遣した。その1日の遅れを悔しがっていた与党議員もいた。彼らにとって、自衛隊海外派遣とは、その程度の認識のものなのか。
 最高指揮官が中身も精査せず、ただ自らのアピールのために自衛隊を使う。自衛隊員の生命の危険にも関わる法の不備を認めながら、それでも自衛隊員を送り込む。

 政治に弄ばれる自衛隊。

3月16日(月) はれ

春近し せせらぎの音 白い花

 ようやく春めいてきた昨日の日曜日。
 またも散歩です。
 別に、何の変わったこともなかったのですが、近所の小川は、確かに春の気配。童謡のように、さらさらと流れていました。

 「水辺の宝石」のカワセミが2羽、岸辺のネコヤナギの枝にとまっていました。なんとか写真に撮ろうとしたのですが、失敗。あのステキな輝くようなブルーの羽をはばたかせて、飛び去ってしまいました。それにしても、2羽を同時に見たのは珍しい。カワセミの恋の季節でしょうか。
 その帰りに、満開のコブシを見つけました。白い花から芳香が漂ってきました。少し早すぎる感じはします。
 やまねこムラのある岩手県では、まだまだコブシは開いていないでしょうね。
 そういえば、少し悲しい知らせが、やまねこムラの村長さんから届いたと、スタッフから知らせがありました。
 猫のメイに、サヨナラ。

(鈴木 耕)
目覚めたら、戦争。

ご意見フォームへ

ご意見募集

マガジン9条