雨宮処凛がゆく!

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櫓の周りで踊る人々。もんじゅ君も踊ってる!

 夏だ! お盆だ! 盆踊りだ!

ということで、行ってきました、「脱原発杉並」の「踊る有象に見る無象 盆ダンス with 福島 つまり盆踊り」!!

この盆踊り、すっかりおなじみとなった最強の地元軍団「脱原発杉並」が、「福島原発告訴団」を応援しようと開催されたもの。6月、1000人以上の福島の人々が福島第一原発事故の過失責任を問い、東電や国の関係者を告訴したのだが、その告訴団の団長・武藤類子さんがこの日に杉並の支援集会にやってくるということで企画されたらしい。

ということで、当日。盆踊り会場である蚕糸の森公園に行ってみると、中央には「脱原発杉並」の横断幕が貼られた櫓が! すごい本格的でちゃんと盆踊りになってる! そして櫓の周りでは、浴衣に身を包み、踊る人々。

どこから見ても「普通の盆踊り」の光景だが、「オーソドックス盆踊り」の第一部が終わり、第二部が始まると「脱原発杉並」の本領が発揮されてくる。

まず、流れてくる「音頭」自体が素晴らしすぎる。第二部の一発目は、「全世界微弱電流平和音頭」。踊りのお手本の人がいてみんな真似して踊るのだが、櫓の周りをみんながビリビリ痺れながら踊っているという光景はまるで白昼夢のようだった。

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櫓の前で。

 そうして「浜岡原発音頭」「もんじゅ君音頭」「メルトダウンブルース音頭」が続く。メルトダウンブルース音頭では、「メルトダウンだぜぇぇぇー」の延びるところでみんなが頭を抱えながら進む。こんな盆踊り、見たことない!

そうして日が暮れていくにつれ、ボルテージはどんどん上がっていく。

櫓では「ファンク炭坑節」や「メルトダウンブルース」のライブ! そしてあちこちでお酒を手に語り合う人々。いろんな人が来ていた。この盆踊りのためにわざわざ福島・郡山から来てくれたという人。東電の元社員で、ずっと原発に反対し続けて様々な活動をしてきたという人。

そうして盆ダンスのラストは、「盆ディスコ」!! DJブースに大勢が集まり、とにかく踊る! 踊る! 踊る! 私も踊りまくった。そんな「盆ディスコ」のラストナンバーはなんと「かんしょ踊り」。言わずと知れた福島の伝統の踊りである。

さっきまでDJブースの周りで踊り狂っていた人々が、「かんしょ踊り」の渋い音楽に合わせ、櫓の周りを踊り始める光景は何か幻想的ですらあり、神々しくもあったのだった。

さて、こんなふうに「大盛り上がりだった」系の描写をすると、必ずと言っていいほど批判する人がいる。

だけど、「祭り」や「踊り」って、実はとても大切なことだと思うのだ。

今回、杉並の手作りの盆踊りに参加して、思い出したことがある。

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ライブ!

 それは今年のはじめ、岩手に行った時のこと。津波によって壊滅的な被害を受けた大槌町の人にお話を聞かせて頂いたのだが、一番印象に残っているのは、震災からわずか一月後に開催されたという「鹿子踊り」のことだった。400年以上続くという鹿子踊りには、死者を弔う踊りがあるという。震災からまだ日も浅い頃、そんな踊りをしてなんになるのかという声もあったそうなのだが、避難所で披露された鹿子踊りに、全員がただただ滂沱の涙を流したという。踊っている方も、見ている方も、家族を亡くしている。大切な人を亡くしている。様々な感情が、鹿子踊りによって溢れた瞬間。そんな「鹿子踊り」が具体的にどう「役立った」のか、数値化して語ることなどできない。だけど、その瞬間を共有した人には、言語化しないでもわかり合える何かがあるはずだ。

「踊り」や「祭り」には、そんな力がある。口承で伝えられてきた鹿子踊りの芸や技を持つ人たちの中には、津波の犠牲になった人も少なくないという。このままでは伝統が伝えられず、コミュニティも崩壊するのではないか。そんな思いから、震災から5ヶ月後の昨年8月には岩手で「三陸の盆」という大イベントも開催された。

そうして今年のお盆、杉並で開催された「盆ダンス with 福島」。

原発事故によって故郷を奪われた人々。そして先の見えない避難生活を送る人々。家族とバラバラの生活を強いられる人。そんな福島に心を寄せ、みんなで「かんしょ踊り」を踊るという行為には、とても深い何かがあると思うのだ。それを私はうまく言葉にできない。だけど、端から見たらただ踊って騒いでるように見えても、あの日あの時、私たちは福島を思い、脱原発を願い、そしてみんなが必死で「かんしょ踊り」の振り付けを覚え、櫓の周りで踊った。その行為こそが失われた命や故郷への「弔い」でなくてなんなのだろう。

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「盆ディスコ」!!

 この盆ダンスへの呼びかけ文には、以下のような言葉がある。

「レベル7のあの原発事故は、地域の祭りを親しい顔がそろわぬ祭りに変えてしまいました。私たちは、それを忘れません。有象無象は唄い踊るのが大好きですから、この夜もみなで浮かれます。でも、唄い踊りながら、福島を思います」

盆ダンスの途中、福島第一原発から十数キロの牧場の人からのメッセージが読み上げられた。牧場では、今も300頭以上の牛が生きているという。「無意味な餓死や殺処分はもうたくさんです」。その言葉を聞いて、改めて、突きつけられた。人間だけでなく、動物たちの命が今、この瞬間も奪われているということを。

盆ダンスで、私は死を悼んだ。多くの人とともに、たくさんの命について、考えた。

生きている人間にできることには限りがあるけれど、「死を悼む」こと、そして忘れないことは、きっと誰にでもできると思うのだ。

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そしてみんなで「かんしょ踊り」になだれ込む!!

 

  

※コメントは承認制です。
第240回 盆ダンス with 福島 ~「弔う」ということ~ の巻」 に4件のコメント

  1. 塚田寿子 より:

    テスト

  2. 塚田寿子 より:

    テストに返信しています。

  3. 塚田寿子 より:

    更なるテスト

  4. webmaster より:

    先の二つのコメントは、管理者の承認が必要でしたが、承認なしでアップされる様に設定を変更しました。

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雨宮処凛

あまみや・かりん: 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮日記」

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