雨宮処凛がゆく!

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「ダッ! ダッ! 脱・原発の歌」でおなじみ、「制服向上委員会」のみなさんと。トークセッションしました。

 前回の原稿で告知した通り、1月14日、15日、パシフィコ横浜で「脱原発世界会議」が開催された。呼びかけたのはピースボートなど6団体。世界約30カ国から核・原発の専門家や国会議員、環境活動家などをゲストとして呼び、国内からも様々な作家やアーティスト、学者が登壇。世界の人々とともに「脱原発」を目指そうという大イベントである。

 このイベントのパンフレットには、以下のような言葉が躍っている。

 「福島の事故を経て、私たちは岐路にあります。子どもたちを守り、夢と希望をつなぎたい。核の時代を終わらせ、自然と生きる未来をつくりたい。できるんです。世界の人々とつながれば」

 そうして2日間にわたって開催された「脱原発世界会議」には2日間で1万人を超える人々が押し寄せ、14日にこの会議と連帯する形で開催された「脱原発世界大行進」という名のデモには5000人が参加。メディアでも大きく報道され、インターネットでの視聴者は10万人を超えるという大盛況ぶりとなったのだった。

 この原稿を読んでいる人の中には、実際に参加した人も多いと思う。私も2日間の大半を会場で過ごしたのだが、「ヒバクシャ」写真展や「脱原発ポスター展」、各種ブースや様々なシンポジウム、対談、ライブなどが目白押しで、とても2日間では回れないほどの充実ぶりだった。

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小熊英二さん、鎌田慧さんとトークセッション。「解体『がんばれニッポン』」。

 そしてもっとも感動したのは、「事態が次々と動いていく」、その瞬間をこの2日間で何度も目の当たりにしたことだ。私自身、14日にはひとつの企画でMCを担当(SUGIZO様のライブの司会。超絶カッコよかった☆)、15日にはふたつの企画に出演しており、他の企画はあまり見られなかったのだが、楽屋や控え室にいるだけでも「事態が着々と動いている」、その熱気と興奮が痛いほどに伝わってくるのだ。

 例えば、福島を含む8人の市長で開催された「首長会議」では全国の市区町村長による「脱原発のための首長ネットワーク」がつくられることが決まり、この2日間の会議の登壇者有志16人によって、「ストレステスト意見聴取会」についての緊急声明も発表されることとなった。1月18日に予定されている聴取会にて傍聴者が会議の会場から締め出されること、また、この会に原発業界から寄付を受けている委員が3人も存在し、進行を主導していることに抗議する声明だ。「傍聴者締め出し」の撤回と、原発業界から寄付を受けている委員の解任を求めている。「再稼働」にかかわる重要な決定が密室で、しかも原発業界から寄付を受けている委員が3人もいる場で行われていることに抗議するこの緊急声明には、飯田哲也氏や金子勝氏、松田美由紀氏や山本太郎氏など「脱原発世界会議」に登壇した著名人らが名を連ねる。私も会議の間に声明への参加を依頼され、名前を連ねさせて頂いた。こういった緊急の問題に対し、これだけのメンバーが揃って声明を発表できたのも、あの2日間に様々な人が「勢揃い」し、そしてそれを迅速にとりまとめてくれる人がいたからに他ならない。

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脱原発ポスター展で。力作揃い!!

 そうしてこの会議では、「東アジア脱原発自然エネルギー311人宣言」という構想も発表された。韓国と日本からそれぞれ100人の署名者が集まったのだが、私も日本の署名者の一人である。

 とにかく、そんな形で、この2日間の間にどんどん事態が「動いて」いった。「脱原発」に向けて、具体的な形で様々な出来事が決定していった。今までも様々なテーマのイベントに参加・出演したことはあったが、こんなことは初めての経験だ。例えば「こういうことをやりたいですね!」と意気投合しても、その場で盛り上がるだけで終わってしまうことは多くある。もちろん、上手くいくこともあるけれど、それは多くの場合かなりの時間をかけてやっと決定する。

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同じく。

 だけど今回の会議では、とにかく「次の展開」に結びつけようという、みんなの並々ならぬ熱意を感じたのだ。「それはいい!」「いつかそうしたいね」という話ではなく、「今やらなきゃ!」という焦りにも似た思い。それは他のテーマと違い、「原発事故」「放射能汚染」は一刻を争う種類のもので、しかも日本が今、紛れもなくそんな現実に対峙しているという最悪の状況だからだ。しかし、だからこそ、目の前で次々といろんなことがダイレクトに決まっていくことに、何かみんなの「本気」を感じたのだ。ただ、イベントをやってデモをして、人が集まってよかったね、というようなそんな次元の話ではなく、「ここからどうしていくか」を様々な国の人たちとそれぞれが本気で語り合った2日間。

 15日の閉会式では、「原発のない世界のための横浜宣言」が発表された。停止中の原発を再稼働しないことや途上国への原発輸出の禁止などが盛り込まれた宣言の最後に、「今年の3月11日、世界中で脱原発のための行動を起こし、福島の状況を伝えよう」という呼びかけがなされた。

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同じく。
 今年の3月11日、私はシカゴ大学にいる予定だ。3・11から1年のこの日、シカゴ大学で震災から1年の日本についてのシンポジウムがあり、パネラーとして招待を受けたのだ。

 アメリカから、私も脱原発の行動を起こそうと思っている。そしてあの日から1年の日本を、現地の人たちに語ろうと思っている。

 あなたも、それぞれの場所で、できる範囲で、行動を起こしてほしい。

 あの2日間に集まった1万人がそれぞれの生活の場所でどれだけのことができるか、そこには大袈裟じゃなく、未来がかかっていると思うのだ。

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ブースコーナーで。

 

  

※コメントは承認制です。
第217回 「脱原発世界会議」に参加して。の巻」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    2日間にわたって開催された脱原発世界会議、
    会場に足を運んだ人、Ustで見ていたという人も多いのでは?
    それぞれがそれぞれの場所で、できることを、今。
    閉会イベントのタイトルに「さあ、始めよう」とあったように、
    ここからこそが、始まりです。

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雨宮処凛

あまみや・かりん: 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮日記」

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