「希望のエリア」のあきらめない人々

2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、福島第一原子力発電所事故が発生。事故後、国会前や首相官邸前には、多くの人たちが集まり、抗議の声をあげました。一人ひとりが自分の意思で集まり、それぞれ独自のスタイルで行う抗議行動が生まれていったのです。事故から数年が経ったいまも、毎週金曜日には脱原発を求める人々が全国各地で集まっています。国会前「希望のエリア」も、そうした「金曜行動」のひとつ。「希望のエリア」のスタッフが、そこに集まる人々の思いを連載で伝えます。

第21回

希望あるローカルアクション

 12月4日、ポカポカお天気の日曜日に第12回目の「パパママぼくの脱原発ウォーク」を行いました。 参加者は120名。

 希望のエリアも金曜日の抗議行動も、まだ誕生していなかった2011年11月に、初めての「パパママぼくの脱原発ウォーク」はスタートしました。福島の原発事故が起きた日、子どもを抱き締めながら震えていた私は、これからどうやってこの子を健康に育てていけばいいのか不安でいっぱいでした。

 原発という危ないものがあるのは知っていたけれど、これまで声に出して反対しなかったことがあの事故に繋がったのだと、私は自分を責めました。そして「私はお母さんの歳まで生きられるの?」と不安そうに聞く娘を見て、このままではいけない、自分が痛い目に遭うのは仕方ない。だけど、子どもだけは守りたい。この子は何も悪くない、なのに一番影響を受けるのは、これからを生きる子ども達なのだと、胸が締め付けられる思いでした。

私にも何か出来ることはないか

 私にも何か出来ることはないか――そう考え、安全な給食を求める市への誓願や署名、 放射能の勉強会を開催しました。 そして放射能の恐ろしさを知れば知るほど、 被曝を防ぐためには原発そのものをなくさなければいけないという思いが強くなりました。

 「決めた! 私デモやる!」

 そう突然Twitterでつぶやいた時は、周りの人はとても驚きました。それほどデモとは全く無縁な母親だったからです。子どもを守るためなら何でもやろう、その一心でした。

 何もわからないまま、地域の人にも助けてもらいながら「パパママぼくの脱原発ウォーク」は誕生しました。お子さん連れでお散歩でもするように歩けるような、敷居が低く、楽しい優しいデモがやりたかったのです。なので、「デモ」ではなく「パパママぼくの脱原発ウォーク」という名前にしました。これは、いま希望のエリアもいっしょにやっている二朗さんが命名してくれました。絵の上手なお母さんが子どもや動物の素敵なイラストを描いてくださり、可愛い横断幕も作りました。

 シャボン玉が舞う中、黄色いスマイル風船を手に、その日は吉祥寺を800人もの方が歩いてくださいました。赤ちゃんを抱いた若いお母さんたちが「もう一人子どもが欲しいけれど、とても不安で。周りには相談できる人もなかなかいなくて」と仰っていました。同じ思いの人たちがこんなにいたんだと驚きました。

 その後も「パパママぼくの脱原発ウォーク」は、原発問題だけではなく、「特定秘密保護法」や「安保法制」、「選挙に行こう」 など、その時々でテーマを変えて開催を重ねています。

 今回は12月ということもあり、「子ども達へのプレゼントは原発も戦争もない未来」 というテーマでクリスマスパレードを行いました。赤い帽子をかぶった参加者がクリスマスのプラカードを持って歩きます。松平晃さんが沿道からトランペットでクリスマスソングを奏で、パレードを盛り上げて下さいました。とても優しい雰囲気でした。

あるお母さんの行動

 「戦争やだよ! 赤ちゃん守ろう!」そんなコールをしている中、沿道のベビーカーの若いお母さんが急いで何かを取り出し、こちらに向かって掲げてくれたのです。

 それは白い「9条Tシャツ」でした。

 もう胸がいっぱいになり、泣きながらコールしました。ローカルアクションには様々な一期一会があります。誰かの姿を見て、誰かが背中を押される。またその姿を見て大きな力をいただくことがあるのです。そんな小さくても温かな繋がりを感じられるローカルアクションを、私はとても大切に思っています。

 この5年で、ローカルアクションはどんどん増えています。週末にはどこかの街で必ず何かのデモが行われるまでになりました。これって凄いことだと思いませんか?

 街の人は無関心だ、などと決めつけるのではなく、少しでも何かを感じて、考えてもらえるきっかけになれば、それは十分に意味のあることなのだと思います。沿道でデモを見た人が、もしかしたら自分にも何か出来ることはないかと悩んでいたあの日の自分だったかもしれないのです。

 明るく優しく、多くの人達に共感してもらえるようなローカルアクションを、自分の街でこれからも続けていきたいと思います。

(国会前「希望のエリア」スタッフ/紫野明日香)

 

 

  

※コメントは承認制です。
第21回 希望あるローカルアクション」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    3・11以降、デモは特別なことではなくなってきたように思います。脱原発、奨学金問題、ブラック企業・バイト、安保法制、沖縄基地、保育所問題など、様々なテーマのデモや抗議行動が各地で行われています。また、憲法カフェのような市民が学び議論する場も広がりました。こうやって不安や不満を口にできる社会であり続けることが大事なのだと思います。
    マガジン9でも「日本全国デモ情報」「全国イベント情報」を掲載していますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。デモ情報の投稿もお待ちしています!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

←「マガジン9」トップページへ   このページのアタマへ↑

マガジン9

希望のエリア:原発に反対する官邸前抗議行動として、2012年3月から毎週金曜夜にスタート。当初は、子ども連れでも参加しやすいよう「ファミリーエリア」として国会前の歩道横に設けられたスペースだったが、その後「希望のエリア」と名称を変え、幅広い世代が参加する独自の抗議エリアとして、毎週金曜の夜に活動を続けている。

最新10title : 「希望のエリア」のあきらめない人々

Featuring Top 10/23 of 「希望のエリア」のあきらめない人々

マガ9のコンテンツ

カテゴリー