「希望のエリア」のあきらめない人々

2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で、福島第一原子力発電所事故が発生。事故後、国会前や首相官邸前には、多くの人たちが集まり、抗議の声をあげました。一人ひとりが自分の意思で集まり、それぞれ独自のスタイルで行う抗議行動が生まれていったのです。事故から数年が経ったいまも、毎週金曜日には脱原発を求める人々が全国各地で集まっています。国会前「希望のエリア」も、そうした「金曜行動」のひとつ。「希望のエリア」のスタッフが、そこに集まる人々の思いを連載で伝えます。

第26回

つながりの可視化もアピール!

政治を変えるために必要なことは?

 2月11日建国記念の日、東京新聞朝刊に意見広告が掲載されていました。

 意見広告を掲載する意味は何でしょうか。

 それは多くの人に知ってもらい、同じ思いを共有して、協力しようという呼び掛けなのではないかと私は考えます。

 福島第一原発事故が起きた6年前と比べたら、原発、基地問題、憲法、安保、TPPや2国間協定、共謀罪など、様々なテーマで周知活動や抗議行動をしている市民グループが、週末ともなればデモのはしごも当たり前なくらい、圧倒的に増えたと思います。

 こういう周知活動や抗議行動に参加していれば、直接的な知り合いがいてもいなくても、皆、政治を変えたいという同じ思いでつながっていて、そこに参加できなくても連帯という気持ちがあるのだということは暗黙の了解だと思います。

 しかし、周知活動や抗議行動に参加したこともないような方々はどうでしょうか? たぶん、そんなことには思い至らないと思うのです。個々に活動している市民グループがつながっているのだということを知ったら、興味の持ち方も変わるのではないか? そんなことを思うようになりました。

 最初にあげた意見広告、これを実現するためには、政治を変えるためには、より多くの市民が手と手を取り合って団結して臨んでいくことがとても重要だと思うのです。そのために、市民グループのつながりもアピールしていく必要があるかなと思うようになりました。

Zineの作成

 希望のエリアは、いろいろな地域で活動している人を結びつける場所で、本当につながっていくことを大切にしているし、まだ、市民運動に参加していない人達にどうやって周知していったらよいだろうかということを考えてる人達が多く集まっていると思います。このことを、国会前だけでなく広めていくために、私にできることは何だろう? と考えていた時です。「Zine」という言葉を聞き、何だろう? と調べてみると、「自由に作れる自主制作小冊子」のことで、雑誌の「Magazine(マガジン)」に由来して「Zine」と呼ぶことを知りました。

 そして、地元の「みんなの自由が丘だいこうしん」の仲間に、今の政治の危機的状況が、私たちの暮らしと結び付いてることを分かりやすい言葉で伝えていく「Zine」を作らないかということ、そして、Zineの裏面では市民グループのつながりを可視化したいことも提案してみました。どちらも皆、大賛成してくれ、作り上げたのが 「Q&Aで知りたい! わたしの将来、大丈夫なの?」というZineです。裏面には、8団体のロゴと簡単な説明をのせました。
 ※Zineの内容はこちらをクリック。

 昨年12月に、自由が丘駅頭での署名集めと共に、Zineの配布をしました。カラフルでかわいらしいので、受け取りもよく、用意した200部は開始早々になくなり、初めて作ったわりにはまずまずな評判でした。

 このZineを配りたいから分けてもらえないかという声も多くありました。希望のエリアの明日香さん、二朗さんから、裏面で紹介している皆さんと一緒に何かアクションしたいですねと言って頂き、ただ掲載して終わりではなく、次につながるアクションをしていこうという気持ちも湧いてきました。

連帯アクション

 そんな矢先、ひょんなことから急遽、8団体の皆さんと一緒に バレンタインデーも間近の2月12日(日)に、自由が丘駅前ロータリーで連帯アクションをすることになりました。準備期間が短かったので、今回の目的は、今の日本の危機的な政治を街行く皆さんに興味をもってもらえるよう、楽しくおしゃれな感じでZineを配布するということにしました。また、連帯団体のひとつである「Papid(パピド)」の方々には、いつも新宿駅南口でやっているパフォーマンスを自由が丘の街に合うようアレンジして披露して頂きました。

 チョコレートや風船もたくさん用意して、ジャンベの音が響くなか、「l love 憲法」のプラカードを持ってのマネキンモブ、憲法前文の朗読やミニライブ、バルーンアートなどで興味をひきながら、憲法の大切さをアピールしました。約80名の方々が参加して下さり、約1時間で、Zineや他団体のリーフレットを合わせると約1,500部を配りました。参加者の方が口々に言って下さったのは、「かわいいからもらってすぐ見てくれる」という反応のよさでした。

 「みんなの自由が丘だいこうしん」を含めて、9団体が連帯する新しい試みのアクションとしては、まずまずのスタートとだったと思います。



 今回のアクションをたたき台にして、連帯団体の皆さんで意見を出し合い、政治に関心を持ってもらい、自由と平和の尊さ、憲法が私たちにとっていかに大切かということを、分かりやすい言葉でアピールしていく楽しいアクションを、今後も展開していきたいと思っています。

 そして、「命・暮らしをまもる」政治へと変えていけるよう、多くの方々とつながり、連帯団体をどんどん増やしていけたらと思います。

(国会前「希望のエリア」スタッフ/毛里美穂子)

 

 

  

※コメントは承認制です。
第26回 つながりの可視化もアピール!」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    このコラムの第6回目で、「みんなの自由が丘だいこうしん(大行進)」の始まりについて書いてくださった毛里さん。1年のほどの間に活動の幅も、地域を越えたつながりも広がっていました。Zineもとても読みやすく出来ているので、ぜひリンク先でご覧になってみてください。冒頭にある「多数決の前に議論が必要です」に深くうなずいてしまいます。

←「マガジン9」トップページへ   このページのアタマへ↑

マガジン9

希望のエリア:原発に反対する官邸前抗議行動として、2012年3月から毎週金曜夜にスタート。当初は、子ども連れでも参加しやすいよう「ファミリーエリア」として国会前の歩道横に設けられたスペースだったが、その後「希望のエリア」と名称を変え、幅広い世代が参加する独自の抗議エリアとして、毎週金曜の夜に活動を続けている。

最新10title : 「希望のエリア」のあきらめない人々

Featuring Top 10/29 of 「希望のエリア」のあきらめない人々

マガ9のコンテンツ

カテゴリー