マガジン9

憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。

「マガジン9」トップページへおしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」:バックナンバーへ

2011-08-31up

おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

第18回

ちょっと統合会見をリアルに書いてみたら
長くなりすぎたけど面倒がらずに
体験感覚で読んでみて頂きたい件。
(その2)

 22日、25日の統合会見は行けなかったのですが、そこに少し回答が出ていました。いないときに回答が出るのは歯がゆいな!

●最初の福島県の検討委員会から回答が欲しい件。(25日)

園田政務官: 私共としても、事実の確認をさせていただきました。その開催について事前に県政記者クラブに通知をしている。とのこと。そして7月の24日に開催されました第3回検討委員会については3日前の21日に通知をしたという事でございました。
 で、またこの第3回検討委員会からは、報道関係者の皆様方に対しては傍聴可能ということになっています。また、検討会の終了後には、座長以下委員の方々によるブリーフィングを実施しているという事でございまして、議事の概要についても公表しているという事でございました。
 従いまして委員会の皆さま方へのアプローチはオープンにされてるという事でございますので。大変恐縮ではございますけれども、福島県検討委員会の動きにつきましてはそちらで皆さま方からも取材とうも含めてしていただければと思っている所でございます。

 うん、これ全部知ってる。地元の福島県の記者クラブのみで、他にオープンじゃないから、なんとかしてほしかったんだけど。
 こういうことが多々あるから、質問するときに全部言ってるんだけどな。福島県庁に電話1本で確認できることを回答にされてもな…。

 しょうがないので、福島県庁内の検討委員会の事務局に再び直訴しました。そうすると! 9月開催予定だった、第4回の検討委員会は、メンバーの都合がつかず、開催されないんだって! えぇ!? 第3回は7月だったんだよ!? 9月でも間があくな、もっと頻繁にやってよ、って思ったのに。ちなみに第3回検討委員会で小児甲状腺ガン検診が決まったのね(第13回参照)そのときに第4回はいつなのか、しつこく福島県庁にお聞きしたすえ、9月、と聞き出したのに!

 で、9月以降でもなんでも、第4回の取材をさせろ! と食い下がりました。でも、「地元の記者クラブに通達を出してるからそれで充分だ、逆にどうすればいいのか」と言われる始末。なので、せめて統合会見や厚労省、文科省の会見のように『雑誌協会や新聞協会に属する媒体に半年以内に署名記事2つ』のようなフリーランスを入れる規定に準ずるべきでは? と言うと、「ではどうやってアナウンスするのか」とまたもや聞かれる。
 (考えろよ! と思いながら)ネットに広報の告知を出したり、もしくは他の省庁はこういう問い合わせの電話に日時や場所を答えていますよ、と言うと、「はぁ… では何をお聞きになりたいのか」ですって。
 で、小児甲状腺ガン検診での一次検査や、問診表についてたくさん質問があって、と言うと「それはメリットとデメリットの問題で… 一次検査で…」とお話が始まる。いぇ、あなたに回答を求めてるんじゃないんです、検討委員会にお聞きしたいんです、を3回くらい言って、第4回の検討委員会の日時と場所を県の記者クラブだけでなく、門戸を開くべきです、いちいち私にも連絡しろ、というのはお手数なので、1週間くらい前にはわかりますよね、(はい、1週間前にはわかります)、では毎週電話であなたにお聞きするので、教えてください、伺いますから!! と言うと、「はい、わかりました」とのこと。
 第4回検討委員会は絶対行かねば! 9月より先になっちゃったけどね!

●日米、官民のパートナーシップの立ち上げについて、その際政府として予算措置はあるの? という件についての回答。(22日)

園田政務官: 政府としての予算措置はありません。細かく言うと日米同政府と経団連、全米の商工会議所が日米の協力関係をしっかり築いていこうという事で、官民のパートナーシップを立ち上げました。
 その際に歌手のレディー・ガガさん、ニューヨークのシェフの使節団の訪日等があった訳ですが、それぞれの行事が予定をされていたようでございまして、そこに我々の官公庁の長官であるとか、関連の行事の方がそちらに同席をさせていただいたというところでございます。一部誤解が生じるような記載になっていたかもしれませんが、そういった点では私共の予算措置というよりは、それぞれのチームといいますか行事の主催者、そこで予算措置が行われておりそこで私共も同席をさせていただいてこの復興関連に関する物を行なわせていただいた。という事でございます。

 とのこと。予算はとったわけでなく、のっかった、ということね? でも、これだけ、人員が足りない足りないとおっしゃってるのに、ガガさんのイベントに行かなくてもいいじゃんねーと思うんだけど。もう少し具体的に何をしたか知りたいな、だってロードマップに載ってるんですもん。

●東北を中心に牛の出荷制限が行われてるところですが。牛の処分がどういう形になっているかの問合わせについての件についての回答(22日)

園田政務官: 大きく分けて2つの対応策、対策が取られております。
 1点目が『国産の牛肉信頼対策』として、信頼回復のため汚染稲わらを食べた肉のうち、すでに流通している牛肉については、食肉流通団体が実質的に買い上げを行なっている所でございまして、それについてそこで処分を行なっていただいている。また、流通段階で停滞している出荷制限県産の牛肉について、保管の経費は食肉流通団体が立て替え払をしているところであります。
 一方もう一点ですが、肉用の牛の肥育農家支援対策として、3つの対策に分かれてます。 これについてはまず、一頭当たり畜産団体が肥育農家に対しまして、飼養の頭数一頭当たり5万円の支援をさせていただいてます。
 2点目、さらに出荷された牛の価格が下落した場合、畜産関係団体が価格下落分についての支援を行う。検査の結果暫定規制値を上回った場合には、これを、実質的に買い上げ処分を行う。
 3点目、出荷制限権に対しましては県の関係団体によって出荷の遅延をしている牛の実質的な買い上げもさせていただいている。処分についてはまだ行われていないという事ですが、暫定規制値を上回った場合はいずれ処分という形になろうかと思っております。

 いろいろお聞きしたいことあるけど、出席していないときの回答ですからね、また改めて。

●放射線教育に関して、副読本の用意を何処がしてるのか。の問い合わせについての件についての回答(22日)

文科省・坪井審議官: 2学期以降の授業に使えるように小学校、中学校、高校用の副読本を作成中であります。これはどこかの団体に出してるのではなく文部科学省の原子力の研究開発を担当している局の方から、有識者からなる委員会を作りましてそこで監修をしながら作っております。また公正中立な機関の監修という事で、複数の学会にも監修をしていただいて準備作成をしているところでございます。

……なんかアバウトな回答ですね… これはこれで、また調べなくては! 自称「公正中立な機関でっす」で、あ、そうなんだ、よかった、と思えるほど素直な人間でなくなってしまいましたからね!

***

 おっそろしく長くなってしまいましたが、毎回の統合会見を詳細に書くとこのような感じになるのでございます。
 略して意訳したほうがいいのか、手を加えない一次情報そのままのほうがいいのか、悩みどころ。

 実は、横っちょのプロフィール欄に書いていますが、私は鳥取大学医学部生命科学科を優秀な成績で☆中退いたしました。

 少し調べたら、なんとね、そのときの同級生が福島県立医科大学の助教になっておりました! わ、電話してみよ、ということでしてみたら、ばっちり私のこと覚えててくれて、いろいろお話ししました。

 そして彼ともしみじみ言ってたんだけれど、
 「正確な情報が欲しいよね!」
 過小評価でもなく過大評価でもなく、正確な評価が欲しい。

 彼の住んでる地域はもう年間3〜4mSVの地域なんだけど、まぁ、大丈夫、とのこと。そうなの? と聞くと
 「じゃ年間1mSVの根拠って知ってる?」
 あ、そういえば具体的に知らな〜い。

 僕もさ、専門じゃないんだけど、気になっていろいろ論文調べたら、と教えてくれました。
 まず、100mSV浴びるとガンになるだろうということは分かっている、なので、人間の平均寿命を最大80〜100年くらいと考えて、

 100mSV÷80〜100年≒1mSV/年

 なんですって! わーアバウト!

 「そうでしょう? この値からしてけっこういい加減なんだ」
 という、放射線に対して意外と肯定的な彼ですが、奥様と赤ちゃんはすぐに避難したそう。
 「やっぱりお母さんは気にしちゃうよね〜」
 でも、奥様、看護師さんて言ってなかった?
 「そう、やっぱりそうはいっても、放射線管理区域に赤ちゃんがいるのは異常だろう、と言って」
 そうなんだよね! 放射線管理区域に普通に人が生活してるという状況。
 この今の現実になんとか対応するためには、それを自覚して、放射線管理区域に入るための基礎知識が必要なんだよね!

 このことは飯舘の仲良したちとも常に言ってるんだけど、放射線管理区域と同等の線量のところにずっといるのに、基礎知識が無い。放射線防護の3つの基本、距離、時間、遮蔽などなど簡単なことすら知らない。基礎を知らないのに、いきなり応用の判断を迫られている。
 なので、放射線管理区域に入るための最低限の基礎知識、放射線教育こそが必要なのでは? と話しています。 原発事故以前がどうだったのか、どういう値が正常か知らないまま、いろいろな数値が一人歩きしてるものね。

 飯舘の仲良しや、福島県立医科大の同級生とも心から話しましたが、危険を煽る報道も、安全を言いすぎる報道もいらないんです。ただただ、正確な報道を知りたい!
 過小評価も過大評価もいらず、正確な評価が欲しい、それがこんなに難しいことだとは知らなかった!
 年3〜4mSVでも全然大丈夫、と言っていた福島医科大の同級生も、3月はさすがにNHKにクレームのメールをいくつか送ったって。返事ないけど、とのこと。

 まー文句言ったり怒ったりするヒマ無いからね、せっせと動きましょうぜ! 知って考えて動いて、しょうもないことがあっても「あらあらおバカさんねぇ」とヒラリと飛び越えるくらいの勢いで!

 とか言いながら、突然、壁に向って号泣して、ケンパルに「僕に向って泣いてよう!」と言わしめても壁に向って泣き続けたりする私ですが。ときどき盛大にウェットベントしながら猛ダッシュということで。続く。

←前へ次へ→

「書き起こしを読むのは退屈かもしれないけど、
いつも読んでいるものはわかりやすいように意訳されてるんだ、
というのを気にしてほしい」とマコさん。
そんなわけで、ロングバージョンでお届けしました!
ご感想もぜひお寄せくださいね。
そしてもう1篇、気になる小児甲状腺サーベイの結果説明会についても、
レポートが届いています。
第19回へどうぞ!

ご意見・ご感想をお寄せください。

googleサイト内検索
カスタム検索
おしどりプロフィール

マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。

ブログ:
 http://oshidori.laff.jp/
twitter:
 マコ:@makomelo
 ケン:@oshidori_ken
その他、news logでもコラムを連載中。

「脱ってみる?」
最新10title

バックナンバー一覧へ→