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2011-08-31up

おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

第19回

やっとこさ開催にこぎつけた
小児甲状腺サーベイの説明会の件。

 8月18日は小児甲状腺サーベイの結果を返す説明会に行ってきました。飯舘村の方々の検査結果を返す説明会で、場所は福島のコラッセふくしまでありました。

 飯舘の仲良しから電話がかかってきて「マコさん、説明会の通知がきたよ、今すぐFAXで送る!」と送られてきた通知を見てすぐに、被災者生活支援チームの医療班に電話して。

——私も説明会に伺って取材していいでしょうか?

医療班・福島班長 「あ、おしどりさん! そうですね、説明会のときに質問しなかったらいいですよ」

 というわけで、18日はビューンと福島へ。
 飯舘の仲良しと合流して、彼は説明会には入れないと思っていたらしいんだけど、潜り込んじゃえとか話していました。

 けど説明会の受付に行ってみると、医療班のお医者さまが「あ、おしどりさん! ブログ読んでますよ!」「医療班の有名人ですよ!」「すごい勉強家ですねー」「今日は福島に泊まりですか?(始まりが遅い時間18時からだったから)お金無いんでしょ? 大丈夫? あ、ご祝儀か!」(そんなことまでご存知!)
 とまぁ、かなりフレンドリーだったので、飯舘の仲良しも入れるんじゃないの? と思ったらスンナリ入れました。よかった。

 そして説明会は16家族ほどいらしていて、今回の甲状腺サーベイの検査と結果について簡単に医療班福島班長からご説明が。そして甲状腺、安定ヨウ素剤、内部被曝、甲状腺ガンなどについての説明を放医研のお医者さまが説明されてました。
 そのあと、医療班のお医者さまが3人、放医研のお医者さまが2人、個別にそれぞれのご家庭の質問を受け付ける、という形。その個別質問のときは個人情報のため、報道関係は外に退出すると。
 説明会自体は当たり障りの無い内容だったんだけれど、いくつか疑問があったので医療班と放医研に説明会後にぶら下がってお聞きしました。

 ところで、飯舘の仲良しのご家庭もその日いらしてたんだけれど、ご兄弟で数値は違うのね。それも心配してらして。
 医療班の福島班長に伺うと、この甲状腺サーベイは、そんなに精度の高い検査ではなかった、ということ。NaIシンチレーションサーベイメータを前頸部に当て、その揺れる目盛りを読み取る。そして3回測ってその平均値を取った、とのこと。バックグラウンドは個人ごとに測定して、[測定値]-[バックグラウンド]=[正味値]としたわけね。

 なので、ここからが肝心!「ゼロという値は被曝していない、ということじゃない、ゼロ、という値が出ただけなんだ、ゼロも0.01もそうたいして変わらないんだ!」とのこと。
 なるほど! そういう検査だったのね! 
 「けど、ゼロから最高値0.1までのそれぞれの値を出した人口分布のグラフの山型は間違ってはいないだろう、そういう山型は出るのだが、その数値は今回の検査が決定値ではない」
 「つまりね、東京にいた我々もこういう微量被曝はみんなしてるのですよ!」
 あ、そうすか、それはそれでドキドキしますね。

 医療班の方は少し怒ってらっしゃいました。新聞はセンセーショナルな見出しをつけたがる、と。この小児甲状腺サーベイの結果で『児童の45パーセントが被曝!!』という記事を書かれたところがいくつかありましたからね。「そういう検査じゃないんだ、それはミスリーディングだ」とのこと。
 そうね、55パーセントの児童が『ゼロという値が出た』だけで、それは『ゼロも0.01も変わらない』んだものね。じゃあ、みんな被曝!? というわけでもなくて、東京にいるのと変わらないくらいの微量被曝とのことだし。

 けど、実際はこの検査をした物理学者の方々のお話も伺ったら、けっこう難しい検査だったみたいで。このことを話すと、チーム飯舘のメンバーであるロシアの怪人が上手に表現してらっしゃいました。
 「つまり、蝉がわんわん鳴いているような中で、かすかな小鳥のさえずりを聞き分ける検査だったということですね」
 (うまいことおっしゃるな…)と思ってたら、「うまいこと言うでしょう!」と続いていました。

 とにかくこの検査結果だけで「45パーセントが被曝!」というのは少し違うようですね。
 そして医療班の方は「新聞はミスリーディングをするし、テレビは強引だし…」と怒ってらして。この前日、いわき市でも説明会があったのですが、某大手テレビ局が強引に家族を取材インタビューし、医療班に強いクレームがいくつかきたのですって。ま、私、新聞でもテレビでもないもんね。

医療班の方 「メディアは読み取る力が無い、専門家がいないのか、もしくは相談、勉強しないのか。センセーショナルなことばかり報道したがる」

——危険を煽るのも、安全を言いすぎるのも違うと思うんですよね、私は、過小評価も過大評価もいらない、正当な評価だけをいつも知りたいんですよ! 

医療班の方 「ほんと、たのむよ!」

 はい、頼まれました。

 あと、今までの疑問もほとんど医療班の方々が答えてくださいました。

福島班長 「会見では時間無くてごめんね、今日はいっぱい話せるから何でも聞いて!」

医療班の方 「携帯番号教えておきますから、いつでも電話してきてください、会見で聞いても専門的なことは回答出てきないでしょ」

 わー、ほんと、今日きて良かった! では遠慮なく。

——なんで、3月末に小児甲状腺サーベイをしたの? 14日、15日に空間線量が上がってるのだから、安定ヨウ素剤の服用判断基準の検査にしては遅すぎません?

医療班の方 「うーん、これは公式の見解じゃなくて、僕個人の判断だけれど、安定ヨウ素剤を投与しなくて妥当だったか、を確かめるような意味あいがあったんじゃないかな、僕個人の意見だけど。それに、この段階でも投与、治療が必要な場合が無いかどうか、も調べるためでもあったと思う」

 なるほど! スッキリした! 

——兄弟で同じ生活をしても違う値なのは?

医療班の方 「0.01くらいの値の違いは誤差の範囲内でほとんど同じということなんだよ」

——誤差、というと以前、安全委員会に聞いたのですが、0.1でプラスマイナス10%くらいが誤差が出る、とのことなのですが?

医療班の方 「それはわかんない!」 

(同じ質問を福島班長にすると、「別に決まってないと思うけど、結果データを見て安全委員会がそう判断したのかな?」とのこと)

——いわき市の4歳児が最高値ですよね、それはなぜ?

医療班の方 「それもわからないんだよね」

——いわき市の北部でなく、南よりの中部だったのはなぜ? そこで最高値が出た、というのは何か狙いがあってその地域をピックアップしたとか?

医療班の方 「そういうわけでは全くなくて、その当時はとても混乱していて、ガソリンも無くて、とにかく、この日この場所に来れる人! という形で人を集めただけ。だから、狙ったわけでもないし、検査した方の住所はかなりバラバラ」

——じゃこの内部被曝の原因は経口被曝か吸入被曝かそれもわからない?

医療班の方 「それはこれから調べないとわからない」

——住所がバラバラ、ということは他の地域も同じ?

医療班の方 「もちろん。とにかく集まれる人、という形の検査だから、避難してそこにいる人もいたよ。飯舘村の検査は飯舘の方ばかりじゃないよ」

——いわきで最高値ということで、飯舘村のほうが空間線量はずっと高かったけど、これは飯舘の検査が数日後だった、ということが関係してる? ヨウ素の実効半減期は7〜8日でしょ?

医療班の方 「それは関係ないと思う。いわきの最高値の原因は本当にわからないんだ」

——安定ヨウ素剤の投与基準は?

医療班の方 「1歳児等価線量で100mSV」

——4200Bq/m3に24時間滞在する場合、みたいな基準ありませんでしたっけ?

医療班の方 「ごめん、ちょっとそれ知らない。それで1歳児で100mSVいくんじゃないかな?」

 そして、この調査の被験者の住所は測定時に住んでいた住所、とのことで、原発爆発時にどこにいたか、どういう行動をしたか、などのクロスチェックはまだしていない、とのこと。
 もともと、結果を返すための検査では無かったのだけれど、返してほしい、という声があったでしょ? と言われて。はい、まぁ、私たちです。

 でもさ、WBCの結果や福島県の県民健康調査にしても「結果を返すためでは無い検査」が多すぎるんだよね! 安全ですよ、というコメントしか頂けない検査が多いの! WBCについては8月26日に放医研からこのような文章が発表されました。

『放射線医学研究所におけるWBCの測定方法について』

 この中に下記のような一文があります。

 「ホールボディカウンタで計測された放射線の数(cps:カウント毎秒)がどのくらいの体内の放射性物質の量(Bq:ベクレル)に相当するかを知るためには、cpsからBqへの換算係数をあらかじめ測定しておく必要があります。これを測定効率の「校正」と言いますが、我が国にはホールボディカウンタの校正等についての規格はまだありません」

 換算係数によって、どれくらいの差が出るのかわからないから調べないといけないけど、これが、私たちが生データが欲しい理由の1つです。ベクレルから換算するシーベルトでもなく、cpsから換算するベクレルでもなく、WBCの生データの数値、cpsかcpmが欲しいのです。そうすると、セカンドオピニオンが得られるので。
 専門家によって見解が異なるので「データは返しません。安全ですよ」では困るのです。ま、これはWBCの場合で、小児甲状腺サーベイの検査とはまた別ですけどね。

 放医研の先生にもぶら下がっていろいろお聞きしてみました。要訳するとこうなります。

 小児甲状腺サーベイを3月30日に行なったのはなぜか? 安定ヨウ素剤の服用判断のためのスクリーニングなら遅すぎるし、何のためのサーベイになるのか? とお聞きしたら

 「行政に聞け」

——ヨウ素の過去被曝をどうやって考慮するのか?

 「今の科学ではもうムリ」

——では過去のヨウ素被曝を切り捨てるのか?

 「そうではない、だからこそ早期発見、早期治療に力を入れる」

——それでは小児甲状腺がん検診の一次検査はエコーのみで血液検査が入ってないのはなぜか?

 「それは君の言うとおりだけれど、子供に注射したらかわいそうでしょ?」

——痛いのより健康のほうが大切だと思うが。

「毎月注射するのかわいそうでしょ?」

——小児甲状腺がん検診は二年に一回のはずだが

 「あのね! 医療経済の問題ですよ! きりがないんです! お金があったらいくらでもいい検査できるよ! でもないでしょ? エコーは機械1台あったらそれでずっといけるんだから! 医療経済の問題なの! 検査を簡便化したの!」

 簡単に書くとこうなのですが、ケンパルが丁寧に書き起こしてくれたので、一次情報としてそれも載せましょう!

——G先生、失礼いたします、おしどりと申します。あの、先生に今日の説明会の説明の中で2点お聞きしたいのですけども。甲状腺がんは現時点で区別がつかないという事でしたけど。被曝によるものと、自然発症によるものと…。

放医研・G医師 「はい、それはどの癌も放射線によって起こった(???)、今回の放射線におこった癌と、癌は癌ですので、癌という組織を見た時に、組織として『癌ですね』と組織診断がつきますけど、癌が自然発生的に発生したがんか、もしくは放射線によっておこった癌かわかりません。癌は癌ですから。

——5月25日にドイツの医学者チームがチェルノブイリの疫学調査で、甲状腺癌、乳頭癌の被曝によるものと自然発症の癌と、遺伝子の形態が違うとCGH法で調べたら蛍光マーカで出てくると…(途中で遮られ)

G医師 「組織と言ってますよ。組織と言ってますので、そういう事は詳しい事はまた別です。だから要するに、組織です〜んま、また組織として言ってますよ。組織と言ってる意味では分かりませんと言ってるんです。
 だから癌という診断は、まずは組織を取って、えーっと細胞診で組織を診ます。組織を診て『これは癌ですね』『癌じゃないですね』と判断するんです。ですからその段階での組織診断での癌に関してはそうですよと私は言ってるんです」

——なるほど、組織診断では分からないけど…(また遮られ)

G医師 「それは、それは、それがあのお、今後それがどういった形で出来るかはわかりませんけども、一般的にどの診療所でもはっきり言えるのは、何百人も何千人もて感じでやって行くという事は非現実的ですので、組織細胞診とかやった場合に区別はつきませんよ。と私は言ってるんです」

——わかりました。先生ご自身はその論文はご覧になった事は?

G医師 「見てません」

——あと、この晩発性の甲状腺機能低下症も5000ミリシーベルトは…

G医師 「それはちょっと今は僕は数値は言えませんが、覚えてませんけども。これは急性の場合ですね」

——急性の場合ですか、これ、ちょっと晩発性も5000というのが解せなかったんですけど。

G医師 「だから、もしくはって言ってますけど、急性て事ですので基本的に急性です」

——基本的に急性?

G医師 「ええ」

——分かりました。晩発性も、しきい値は5000ミリシーベルトという訳ではないのですね。

G医師 「ないですけどね、まあ今ここで言うとまあ急性でして、甲状腺機能低下症というのは確定的影響としてのしきい値としては5000ミリシーベルトですよ、と僕は言ってますので」

——急性で。

G医師 「急性ていうか、要するに確定的影響としてのしきい値は5000ミリシーベルトですよってことを言ってるんです。急性とかどうとか…、どの間隔で起こったかわかんないんで、いいですか、確定的影響としてICRPがやっているしきい値は5000ミリシーベルトですよ、と私は言っているんです」

——ICRPの勧告の由来の数値ですか。その、どこから来るしきい値なのかという事が…

G医師 「今、このちょっと、詳しく覚えてないけども」

(ちなみに後日、医療班に確認したところ、ICRP勧告由来の数字だ、とのこと)

——原子力災害辞典にはICRPの勧告での影響が出てる…

G医師 「殆どですけどね、5000ていう数値がそこへ書いてあったかどうかは僕はちょっと記憶してないけども」

——5000(m㏜)ではなくあの、グレイ(Gy)表示です。

G医師 「うーん僕は、ちょっと今はそこん所は記憶してない。一般的にえーと、私達が考えてるのが5000ミリシーベルト前後まあ以上というのはだいたいしきい値ですね。ってことはまあ、教科書レベルと言った方がいいかもしれないね。今回私たちが学術的な事を議論するために言った訳じゃなくて。皆さんに対して分かりやすくって事を説明をしてますので、そういった専門的な論文、云々かんぬんてな事は今回考えていません。よろしいでしょうか。
 一般的な皆さん一般住民の方に対して分かりやすく説明するって事を考えて作ってますので、当然ある程度は…てことはあるし、難しい事は言っておりませんので、ここんところはご理解いただきたいと思います。ですから、今どうのこうのと言ったりする時間じゃありませんから」

——はい。このご説明の中で安定ヨウ素剤の話が出てきましたが、飯舘村では3月30日のスクリーニングサーベイの今日は結果の報告だったんですけれども、3月30日にスクリーニングサーベイと安定ヨウ素剤のお話が同時に出るというのが分からなかったのですけれども。

G医師 「はい?!」

——安定ヨウ素剤は予防剤ですので被曝する前か、被曝してから24時間以内ですよね。

G医師 「だから、それは今回何も意味なかったんですよね。ヨウ素剤ってのをディスカッションしても、あのお、よろしくなかったかもしれないけど、今回この基準として100ミリシーベルト超えると問題があるって事は、原子力委員会のほうで勧告があるので、それに100ミリシーベルトってどのくらいのマイクロシーベルトかってことを計算するとこうなりますよってことがこうゆう値なんでね。
 実際そのじゃあ、実際時の甲状腺の等価線量100ミリシーベルト超えたときには避難とか、ヨウ素剤の摂取ってことが元々あるんで」

——そうですね。ずっとあのお聞きしたかったのが、安定ヨウ素剤と今回のサーベイは、関連がなかったという事ですか。

G医師 「いや、関連なかったていうか、関連…」

——タイミングとしてはその、安定ヨウ素剤を飲ますかどうかのサーベイであるならば、タイミング的には遅いですよね。

G医師 「だから、安定ヨウ素材として飲む飲まないというのもありますよ確かに。だけども逆に言えば私たちがそのやる…僕がやった訳じゃないのでこれに関して、原子力安全委員会が勧告としてこれをやりましょう。と言った訳ですからさ。それを私に言われても困るんだけども」

——あの、そうなんですけれども説明会にサーベイと安定ヨウ素材の話が同時に出るというのが、不思議に思います。

G医師 「あー、そういう意味でね。安定ヨウ素剤ってのは持ってる人、貰ってるひともいるんですよ、中には。だから、そういう面で説明しないといけないと思って説明したんですよ」

——んーん、なるほど。わかりました。

G医師 「今回はその医学的なね専門的なこと、そのー学会とかでやったんじゃないんで、安定剤って何だったのって質問がありましたからね。

——あー、なるほどなるほど。

G医師 「だから、以前も質問や電話やなんかでもその安定ヨウ素剤ってのはいったいどうなんだ? てこともあるので、説明しないと皆さん納得しないですし、限られた時間の中で細かいことをディスカッションする場じゃありませんからここは」

——G先生は今回安定ヨウ素剤の説明をしただけで、サーベイと安定ヨウ素剤の関連などは特に、ということですね。

G医師 「私がどうのこうの言うんじゃなくて、だから、今回その幾つかの説明として限られた時間で全ての事を説明するのはなかなか難しい、結局論議も当然あったっと思います。 そこは仕方ないんだけれども、個々の中の話であるわけだから」

——わかりました…。

G医師 「基本的に今回の目的というのは、今回のそのスクリーニング結果として皆さんが、基準とは0.2μsv/h以下だけやったということをお伝えすることが第一前提というか、第一目的であって、それと今回のようなその、今後健康管理調査というのを、やっていくんだ、ということを、説明として必要なんですよ ということを説明する場だからここは」

——わかりました。G先生の見解としては過去の内部被曝はどういう風にお考えですか。3月発災直後の。

G医師 「なんですか」

——このデータから見るに…

G医師 「このデータ、どのデータ?」

——今回の小児甲状腺サーベイのデータです。

G医師 「今回の、け、結果って事ね」

——そうです。これから鑑みて、そのー、発災直後の放射性プルームが約99%ヨウ素だったといわれておりますけども。

G医師 「うーんまあ、その99%ヨウ素だったって事を僕は肯定するか肯定しないかって事はあるんですが」

——あ、そうですね。ほとんどヨウ素だったという事だったのですけども。そのヨウ素による被曝はそれほど影響は大きくなかったということですか。

G医師 「いや、影響が大きくなかったかではなくて、それは私はなんとも言えない。というのは、今回のその皆さんの甲状腺の結果、3月24、28、29日そのあたりでやった、3月の後半にやった検査、いや検診の結果、代表選手としていわき、飯舘、川俣で行なった検査からすると、恐らくは0.2μsv/hを超えた人はいなかった、今後傾向的な障害ってのはまあないだろうな、というような考え方でいいとは思いますよ」

——なるほど、わかりました。
 でその後に、JAEAと放医研の方で住民がホールボディカウンター(WBC)を7月8月になってから県民健康調査で受けておりますけれども、その場合セシウムが微量出たという、1200(cpm)〜1800(cpm)聞いてます。

G医師 「ん〜だからそれはどこのデータ? どこの報道? どこのあれが発表されてるんですか」

——被災者生活支援チーム・医療班の発表です。

G医師 「生活者(恐らく被災者生活支援チームの事)、それはー現地(現地対策室?)じゃなくてー、元々の本署のほうね」

——福島班長(被災者生活支援チーム・医療班)の方です。セシウムについてのみの評価だけで、現段階で3か月4か月経ってからのヨウ素の被曝の評価は出ない、分からないのですよね。

G医師 「出ませんよ、物理的にもうないので、物理的にっていうか、物理的なっていうのと生物学的なっていうのの二つの計算をして出しますけれども」

——7日〜8日ですよね。ヨウ素は実効半減期が。

G医師 「そこから出てくるものでいいますと。1週間でいうと、ある程度一定的なもので1週間ですると。2分の1の次4乗ですからね、次8乗ですからね」

——はい、3か月経つと4000分の一ぐらいになりますからね。その、現段階でホールボディカウンターを受けて「問題ない」という評価はセシウムだけの評価のみだという回答をいただいてるんですね。で、ヨウ素の過去の被曝についてのG先生ご自身はどのようにお考えでしょうか。

G医師 「はい?それはなに、ホールボディって事?」

——いえ、違います。住民の方々のヨウ素が過去、ヨウ素内部被曝している可能性です。

G医師 「ホールボディカウンターで測った時にその、なに?」

——3か月4か月経っての県民の健康調査ではセシウムについての評価しか出ませんので…

G医師 「はい、そうですねヨウ素はもう物理的にありませんし、検査できる感度のものを持っていませんからね」

——なので、ヨウ素を過去内部被曝した事についての考慮、評価はどうお考えですか。

G医師 「評価、評価は出来ないですから、出来ないんですけれども」

——出来ないという事ですよね。

G医師 「評価、評価出来ないと、う〜ン、評価できないって要するに、あの検査…んー、評価する為の検査が出来ない」

——なるほど。

G医師 「評価が評価、評価しないとするためには検査をする必要があって、ヨウ素の事、検出限度もう物理的にも無いし、検査できんと、ん〜、正確に言うと。内部に、体内にある放射性ヨウ素を測る方法がないので、評価できない」

——その過去の推定をする例えばダストモニタリングと、行動記録とその年齢による吸入係数などで計算する事は可能なんでしょうか。

G医師 「それは…(7秒沈黙)それはでも、意味無いんだよそれはね、意味無いというか全然あの、何も表してるかわからないですよ。どれだけ吸入したかって事は、例えば何処に居たどこにいました、マスクした、マスクもしてましたということをあのー、検査することは、それで何かものを語ることは机上の空論だからね」

——机上の空論、ただの推定だと思います。

G医師 「意味無いでしょ。じゃあそれで何か計算しましたとか言って、それで先生に言うかって普通言わないでしょ」

——では、その過去ヨウ素を被曝したかもしれないという可能性はどうなるのでしょうか。

G医師 「だから言ってるようにそれは判定出来ないんです」

——判定できない。

G医師 「うん、判定出来ないっていう判定なんですよ。いい、だから今私達の現代科学でその体内にあるヨウ素、放射性ヨウ素もすでに測れないです。今の時期としては。測る方法を持っていません。僕たちのサイエンスのレベルでは測るノウハウを、ま、う〜ん、少なくとも一般的に広まっているサイエンス化学的な根拠のある手段で測る方法はありません」

——では、測る方法が無いからといって、もしかしたら被曝したかもしれないという住民の方々が切り捨てられる可能性は無いでしょうか。

G医師 「それは僕のあれじゃないね、それは行政だね。行政の話しでしょ」

——そうです。その、医師としてのG先生の見解をお聞きしたかったのですが。

G医師 「もし、それをするんであればここで言ったみたいに甲状腺の検査なんかを例えばその、今はえっと二十歳未満、十八歳未満と言ったかな。そういうようなもっと広げる価値はあるのかもしれません、だけども今医療経済学的な事もあるし、そのいろいろ考えるとまあそういったこと。
 あと、先ほど言ったみたいに甲状腺の進行、癌のへん遅いです。で、今度は職場の健康診断がありますからね、要するにそこで引っかかる可能性はありますよね。いろんなことがあるわけだから、これはくれぐれもそういう広報活動した、啓蒙活動としてあのー、危険があると思った人はエコー検査受けなさいねって、啓蒙活動ではね」

——なるほど、それは今からもう内部被曝の可能性は出来ないのでこれからの甲状腺癌が発生する可能性の方に、予防の方に、早期発見の方に力を入れるという…」

G医師 「今の今回の説明、そうでしょう。こと、子どもさんに関しては早期発見、早期治療という方に行きたいですよね。っていうような趣旨でこういったことを、健康、管理調査ってことをするって言ってるんでしょ国は。それは明らかに国は早期発見、早期治療という方向に持って行こうということなのね」

——そうなんですよね。
 じゃあその関連でもう一つお聞きしたいんですけれど。福島県の子どもの県民健康調査で、2年ごとに甲状腺エコーをとって、それでしこりが発見された時のみ細胞診と血液検査をするんですけれども、その一次検査は早期発見の原理で行くとエコーだけで大丈夫ですか。血液検査で腫瘍マーカーを診たりFT3、FT4の値を診たりとかはしなくてもいいのでしょうか。

G医師 「FT3、FT4は確かにね、仰る事もあるんですけども今、簡便に公平に短時間でスクリーニングする方法というと恐らく、一番勝ってるであろうというので考えたんだと思いますよ。それは血液検査を毎月赤ちゃんなんかに採血をね、するとか、子どもを押さえつけて採血なんかしないでしょう」

——県民健康調査は2年に1回ですよね。健康のためだったらするんじゃないでしょうか。

G医師 「それは私の判断じゃないですけど。逆にそういうこと言いだすときりないんだよね。一番その医療経済学的な事もあるし、医療経済考えていくと一番妥当な線というか落とし所ってやっぱあるわけだから絶対に」

——そうですか、きりが無いという。

G医師 「言葉としていいか悪いかわかんないよ。全部使ってほしくないですけども、言葉としていいか悪いか、言葉尻を、上げ足をとるときりないんで、そのー、いいですか、今その国の方としてはそういう事をやろうとしてる訳ですから。私はいいと思いますよ。
 その検査を、健康調査ってことをやっていって、検診とか早期発見に努めるってことを僕は間違ってないと思いますよ」

——私も間違ってないと思います。で、その時点で現段階で、過去のヨウ素被曝を一切判断する方法が無く、なので早期発見、早期治療に向かおうとするのであれば、エコーにプラス、血液検査も入れればいいのではないかと思うのです。それを、きりが無い医療経済でエコーのみ簡便化でというのはと…。

G医師 「簡便化でって事は僕は今言ったけどもね、その実際のところじゃあお金がかかるというのとお金かかんないというのもありますし、実際じゃあその検査どこを受けようとかって事もあるだろうし、色んな事もありますよね。それは医学的な見地から言うと、そりゃ全部、全身頭の先から足の先までやってりゃいいんですよ。医学的に言うと。だけどもそれは現実的じゃないでしょ。てことを私は言いたいんです」

——はい、でも現実的に甲状腺を診るならば、普通の癌検診でもエコーと血液検査する事なので、と思ったんですよね。

G医師 「それは大人の場合ですけどね。それはあの何とも言い難いですけども、一番やり易いのは痛みも無いしね」

——わかりました。悩ましい問題ということですね。

G医師 「そうですね、行政もあのー、無尽蔵にお金がある訳ではないですから。無尽蔵にお金があってね、何でもかんでもやれるんだったら、やったらいいんですよ。だってお金だって、タダじゃないんですから検査するのは。無尽蔵にお金がある訳じゃないので、それを考えると甲状腺エコーも機械一台買えばできるわけだから」

——はい、しかもその場で分かりますもんね。

G医師 「だからそれで、まあ逆に言えば考えるべきことは検査する人の習熟度を上げるという事の方が問題と思いますよ」

——うーん、なるほど。エコーはそうですね。

G医師 「血液検査というのは、基準としてはちゃんとした検査でやりますけど、エコーの場合は術者のその技術がかなり関わってきますので、こういった各病院、各術者の熟練度を上げていくって事が僕は最もポイントだと私は思っています」

——なるほど、よくわかりました。すみません、色々長いことありがとうございました。

 書き起こしてくれたケンパルもありがとう! ちょっと言葉尻をとらえたうんぬんにならないよう、全文あげたほうがいいかと思いまして。
 これはもちろん、公式見解ではなく、個人的な見解です。ここまでお話しくださって逆にありがたいと思っています。ぶら下がりって意味あるな! 
 さー、なんていうか、やっぱり全力で今のうちに動かないとね!

***

 飯舘の仲良しは、よく「ほんといつもありがとね、仕事減ったんでしょ、ごめんね」と言います。
 でも、本当に彼らのために動くことは自分のために動くことだと思います。動かないと知らないことが本当に多いもの!
 仕事は、そうね、今、動くことで減るような仕事なら興味ないわ!

 ちょっと大きいバラエティ番組でおしどりが東電会見について喋る、という企画がありました。現場の作家さんやディレクターさんが動いてくれて。
 次の日ロケで数日後に収録、という晩に電話がかかってきて、「ごめん、流れた!」とのこと。え? 数ヶ月前から打ち合わせしてたのに?
 現場のみなさんも怒って悲しんでらして、ぶっちゃけをお話ししてくださいました。

 現在、バラエティ番組で「原発」「東電」という単語を発してはいけないそうです。テレビ局は企画通ったんだけど、広告会社からNGが出たんですって。 
 報道はテレビ局の予算だけれど(そこに東電マネーが入ってるかもしれないけど)、バラエティは実は公共のものではなく、商品。広告会社に買ってもらってなんぼ。なので、逆らえないんだ、ごめん! とのこと。
 こんなに牙を抜かれているとは思わなかった、もっとエッジの効いた番組を作りたいのに! と悲しんでらっしゃいました。
 また時期を見て、近い将来にお願いします、と電話を切りました。

 でもさ、実は会見にロケするのも集中できないし、収録の日に、福島に行きたい用事もあったので、ちょっとラッキーてな感じだったんだよね☆
 最近、故意じゃないと思うけど、だいぶ前から入っている仕事のスケジュールが、2・3日前、下手したら前日に流れることが多くって。もともと入っていた劇場収録のTVの舞台がそうっと外されていたりとか。
 けど、それは想定内。いいネタになりますわ☆ という感じです。本当は、芸人は続けるけど、社会だけでなく、会社と闘うのはムダな労力なので、なんとかしたいんだけど、飯舘の仲良しが「やめないで!」というので、そうします。
 「マコさんには悪いけど、今、原発のことで動くとそういう扱いを受けるってことは、当事者でないと言えないことでしょ、都市伝説とかじゃなく、実際、本当にあるんだってことが」
 そうね、ほんと、じゃ、こっちも頑張るわ。

 つまり、TVだけ見てるとほんと、物知らずになる可能性がありますよってことですね☆
 おーこわおーこわ。葬り去られませんように!

【今週の針金2】
野田さんになっちゃいましたね。
NHKの「候補者に問う」や記者会見を見た結果、僕たちは消去法で馬淵さんがよかったですねん。
野田さん、ピンとこないですねん。

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要約と文字起こしとを比べると、
普段どんなふうに情報が加工されているのか、
ちょっとイメージできる気がしませんか?
そして「彼らのために動くことは、自分のために動くこと」。
マコさんの言葉は、私たち全員に当てはまることでもある、と改めて思います。

ご意見・ご感想をお寄せください。

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おしどりプロフィール

マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。

ブログ:
 http://oshidori.laff.jp/
twitter:
 マコ:@makomelo
 ケン:@oshidori_ken
その他、news logでもコラムを連載中。

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