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2011-09-07up

おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

第20回

記者会見デビューのメディアが続々誕生している件。〜鳩山由紀夫勉強会、負げねど飯舘記者会見、RHC JAPAN続報〜

 前回はだいぶ、長くて申し訳ない! けど、統合会見の書き起こしを全文だと、普段どれだけ省略、意訳してるか分かって頂けたかしら? どんな省略でも、切り捨ててしまう部分が出るから、元の意味を完璧に伝えることができないんだよね、きっと。そう気にしながら普段から情報を見るといいかもしれません。
 そして、それは情報を伝える方が意図的に変えやがったな! という性質のものだけではなく、たった、数行の情報を伝えるのに、長い長い会見に出たり、取材に行ったりしたり、という苦労も隠されてるのかもしれません。まーあ、ラクして手抜きしてしょうもないニュースや記事を報じる方もおられると思うけど。受け手が見る目を培えば、しょうもないメディアはきっと淘汰されることでしょう。

***

 8月24日は、衆議院議員会館での鳩山由紀夫勉強会に行ってきました。自由報道協会有志で震災後の実情を話す、という主旨。本当は大阪で仕事だから伺えなかったんだけど、夜の仕事が急に流れて、東京に戻ってこれたのでダッシュで行きました。

 過去のヨウ素被曝が切り捨てられる可能性、福島県の検討委員会について、3月末の小児甲状腺サーベイのこと、除染の実情(知ってることだけ)、飯舘村の仲良したちがどう考えているかなどなど、いろいろお話ししました。
 そのあと、議員さんがたから質問を受けたのだけど(自分が質問を受けるって新鮮!)正直、少しガッカリしました。

 例えば、県の検討委員会の座長の山下教授のことをお話したとき。
 「ええ! まだ山下さん活動してるの!?」ですって。
 山下教授は現在、福島県立医科大学の副学長になっておられ、長崎から福島に引っ越してこられました、と答えると「えー!! 知らなかった!」と驚いておられて。
 (山下教授はとても被曝に対して肯定的な評価をされる方で、放射線管理リスクアドバイザーをされていて、お弟子さんとともに、3月の福島で「10μSV/hまで、子どもは外で遊べます、マスクしなくていいです」などなど説いてまわった方なのです。)

 その他、ベクレルとシーベルトをどう聞いても混同してない? という議員さんとか。後から直接お話したときも、やっぱり混同されていました。
 「TVタックルではこう言ってて大変だ! と思い図書館で調べたんですけど、分からなくて…」。うんうん、なんかツッコミどころいっぱい☆ TVタックルのことばかりおっしゃってたけど、情報源をTVタックルだけにしないでね、そして図書館よりインターネットも併用したほうがいろいろ知ることができますわよ!

 議員勉強会ではたくさんお話しましたが、いくら喋ってもちっとも疲れない私がドッと疲れました。なんか、ほんと、頼みますよ! って感じ。
 何人もの議員さんが名刺や携帯番号やメールアドレスをくださったので、マガジン9でも読んでよね! と送っておきました。
 ほんと、マガジン9をせっせと読んでくださる皆様のほうが確実に議員さんがたより事情通だと思うよ! 

***

 8月26日は「負げねど飯舘」会見! ご覧頂いた方々、どうもありがとう存じました。今も、IWJさまのアーカイブでご覧頂くことができます。そして全文書き起こしてくださった方もいらっしゃいました。

 この日に記者会見デビューされた方々もたくさんいらっしゃって、小学生も質問したり、カメラで撮ったり、何人も活躍してくださいました。ちなみに飯舘の仲良したちも記者会見デビューだ! と言っていたので、デビュー合戦だったのですね! ちなみに私の記者会見デビューが今年の4月6日で、記者会見を見だして書き起こし始めたのが3月20日。なので、今年、メディアデビューされた方はみんな同期ですわよ!

 正確な情報とその熱量を、報じることができればどんな形でもメディアだと思います。会見に行ったり、取材をしたりすることだけがメディアではないと思います。二次情報を見比べる、それを検証するメディアもあっていいよねぇ。などなど、考えていましたが、この「負げねど飯舘」会見は会見場だけでなく、ツイッターにもたくさん質問がきたり、ライブ動画配信もたくさんの方がご覧くださり、記者会見自体をメディアにする、という試みもうまくいきました。
 何より、飯舘の仲良したちが、本当に思いきって話してくださったこと。司会をしながら、途中で泣きそうになりました。

 記者会見を報じてくれた方たちのブログなど。

 まだまだあるかもしれません。ご報告お待ちしています。

 飯舘の仲良しのひとりが、会見で言っていたこと。
 「復興って何なんでしょう? 空間線量が高くても戻ってそこで我慢して生活することが復興なのか? 福島県の人はみんな被害者でもあるのだが、みんな特攻隊になれって言われてるような状況。頑張れる人は頑張ればいいと思うが、頑張れない人には休む場所を与えてあげて下さい。僕らも復興という言葉に踊らされないようにしたい。
 これはまとめのような話になるが、もしかしたら飯舘は戻れないかもしれない。その時に今の子供たちが後から振り返って、飯舘にいた、いい村に住んでいたと言えることが最低ライン。病気になったり、死んでしまったりすることは生きていればある。それはしょうがない。ただ生きている間は誇りを持って生きていたい、と。
 復興という言葉を使う人達がいるが、それを使うなら、この問題を解決してください。 そうでなく復興という言葉を軽々しくつかう人には僕は違和感を感じます」

 飯舘の仲良しと、復興について時々話します。私は神戸が阪神大震災から復興していったところを見たけど、飯舘の復興はその復興とは全く違う、それだけはわかります。何をどうすればいいんだろう? 何がどうなればいいんだろう? ずっとずっと話して考えているけど、まだわかりません。とりあえず、目の前の1つ1つを全力で動かさないと、ということだけしかわかりません。

 飯舘の仲良しが「誰に言ったらいいんだろう?」とよく言います。
 自由報道協会のインターンの方の記事に「会見の出席者は、録画動画の再生数を合計すると数万となるだろう。そのうち、この会見を観た『問題を解決出来る』立場の方々は果たして何名いたのだろうか。観るべき人が観る、その『誰を』を選ぶならば、政府関係の人々に他ならない」とありました。
 私は、議員さんがたや官僚さんがたを当てにするのではなく、もっと上の立場の方、私たち国民を当てにしたいと思っています。

 私たちが議員がたや官僚がたを動かすべきだと思うのです。「問題を解決できる」立場の方を動かすのは私たちでしょう? 私たちはそういう方々に仕えているんじゃないよ、あちらさんが公衆を代弁したり仕えたりするんだよ? けっこうキレイごとで難しそうに思う方もいらっしゃるでしょうが、すごく単純で簡単なことだと思います。ムリ、て思うのは案外思い込みなんだよね、日本の端から端まで、激怒して、おい何やってんだ! と総ツッコミを入れることは、オリンピックに出るよりずっとずっと簡単なことだと思います。

***

 8月31日は東京大学小豆川勝見先生の研究室へ。
 土壌汚染についてのあれこれや、NaIシンチレーションについてお聞きしました。RHC JAPAN(第17回参照)による内部被曝センター関連の疑問もありましたので。

 RHC JAPANについては、ツイッター上で伊藤隼也さん(医療ジャーナリストの方)に「NaI(Tl)シンチレーションによる分析で2万4千円は高いと思う。また、子どもには通常線量より上昇した地域の放射能検査を東電と国が無償で提供すべきだ」というコメントも頂きました。http://shunya-ito.tv/ ←こちらの方。

 そして、検査の精度と検査の値段は相関関係にあるべきだが、内部被曝に関しては規制がいっさい無いので、どうするのか? というのを繰り返し、統合会見で質問しているうちに、RHC JAPANの内部被曝検査の値段が突然下がりましたよ!? 福島県内にお住まいの方は尿検査の値段が1万8千円になりました。
 そしてトップページにあった南相馬市立総合病院との関係はどうなの? 統合会見で質問したり、南相馬市立総合病院に問い合わせたりしてるうちに南相馬市立総合病院の記載が削除されました(これも第17回参照)

 しかーし!
 またチェックするとこういう書き方で載っていましたよ!

 「検査受付は、南相馬市立総合病院内に弊社の専用受付を用意する予定です。今回の無料検査は、南相馬市立総合病院様の協力の下で行う弊社の支援事業ですので、無料検査に関するお問い合わせは、お手数ですが弊社までお問い合わせ下さい」

 うーん、少なくとも、病院の総務課の方にお聞きしたときも感じたけど、南相馬市立総合病院の名前を出すのは、時期尚早の勇み足ではないのでしょうか…?

 そしてNaIシンチレーションでの尿検査の精度について。
 RHC JAPANでは尿20ccだけれど、理研分析センターでは尿2リットルの検査がメインです。少ない量でももちろん検査はできるのだけれど、その場合、かなりの時間をかけないと精度が上がらない、とのこと。

 ちなみに、尿をNaIシンチレーションで検査するというのはこういうこと。

 尿からの放射性物質のベクレル数、原子核が崩壊して放つ放射線の量を感知しているわけですね。
 その放射線は尿から360度方向に出ているわけで、なので、2〜3リットルの尿を桶型の容器に入れてできるだけ感知できる方向を増やし検査精度を上げるのだそう。20ccだと1方向からなので、長時間かければ精度が上がるだろうけど、1時間の検出時間を2時間にして精度が1.4倍に、4時間にして2倍に、100時間で10倍に、という精度の上がり方なので、ちょっと時間をかけて精度を上げるやり方は効率悪そうです。
 しかし、20ccでも凹型シンチレーションならある程度精度を上げることができる、とのこと。

 学者さまがたは凹型のNaIシンチレーションからしか研究用に使わないのですって。それか、もちろんゲルマニウム検出器ね!

 さ、疑問に思ったらすぐ質問です。
 RHC JAPANにお電話してみました。今回はつながりましたよ!

 NaIシンチレーションの尿の検出時間は10分〜15分とのこと。一日100検体ほどがマックスですって。
 そして気になるNaIシンチの形状は?
 ……わからないということでお返事待ちです。

 六本木のRHC JAPANではなく、青森の分析センターに送っているということで、検査センターはまた別なので問い合わせる、とのこと。で、青森に問い合わせて連絡待ちということで、催促のお電話もしましたが、まだ結果はわかりません。

 くれぐれもお伝えしたいのですが、現段階の内部被曝検査は現段階の状態しか調べられず、過去にどれだけヨウ素被曝しても、今はいっさい検出できないのです。だから、今、内部被曝していないかどうか、のチェックももちろん重要なのだけど、それで被曝していないから、といって、3月4月の被曝も一切無かった、という結果では無いので、それはきちんと認識しておいてください。

 RHC JAPANからの電話おっそいな、もう終わってしまうじゃない!

***

 東京大学の小佐古敏荘先生ともお話しする機会があり、いろいろお聞きしました。予想外にノリのいい方で「僕は自分の講義に必ずギャグ入れて笑いをとるんだよ!」とのこと。マガジン9も読んでくださって、前回の放医研とのやりとりなど「なんていう先生か実名教えて!」とわざわざメールをくださいました。

 小佐古先生のお話や、いわき市からダッシュで帰ってきた統合会見のことや、福島県総決起大会のことも書きたかったけど、量が多すぎると読みにくいそうなので、このへんで。また書きます。

***

 私が強い、賢い、とかたまに言われちゃいますけど、全然そうじゃありません。よく号泣するし、くじけるし、失敗ばかりするし。私は飯舘の仲良しのことをかっこいい素敵なやつだ! と思うけど、こんなことするつもりじゃなかったんだよねーとよく言ってます。それは私も同じ。
 だから、私たちや彼らを特別な人と思わないでほしいです。仕事失くすかもな、刺されるかもな、殺されるかもな、なんて冗談半分に言いながら、怒ったり泣いたりしながら動くけど、なんで、こんなことやってんの? とほんとに不思議です。何度も会ってて仲良しなのに、全然遊んだことなくて、いつかいっぱい飲んだり遊んだりしたいねぇ! と言い合っています。

 もう、自分の仕事って何? と思いますが、「職業は人間です」と言った岡本太郎さんと「生きることを自分の職業としなくてはならない」と言った詩人ナジム・ヒクメットさんの言葉を考えます。
 かっこよすぎるな!

 そうではなくて、私は、神戸の地震や今回の地震や、あと飛行機で落ちかけたときとか「わー死ぬかも!」というときに、「ごめんなさい!」と思うタイプだったんですよね。
 ごめん、ケンちゃんいつもいじめて!
 ごめん、ケンちゃんあのとき泣かして!
(ケンパル関係多めなので割愛)
 ごめん、なんかもっといろいろ頑張ればよかった!  

 3月11日に、なんかクヨクヨ反省しながら死ぬのはイヤだな、と思い出して、たぶん、いついきなり死ぬかわかんないから、もう、いつでも常にやるだけやるしかないね、という開き直りなわけです。
 わかんないけど、死ぬときに「アッハッハ、やるだけやってやった!」と言いたいものね! まだまだだけど。

 というわけで、会社に対して全然遠慮なくなってきましたよ! だって私の人生に責任取れるのは私だけでしょ? 会社は私たちでなく、会社を守るものだということもよく分かったから。
 誰のせいにもしないために、私たちは私たちで知って考えて動こうと、しみじみ思う今日この頃でした。

***

<追記>
 RHC JAPANから回答のお電話を頂いたので補足!

 NaIシンチレーションは凹型でなく、直方体、とのこと。ベルトコンベアー状に流れていく検体を厚さ75ミリの鉛の板で遮蔽しながらの測定だそうです。
 ということで、直方体NaIシンチレーションでの10〜15分の測定、とのこと。あまり精度は高くなさそうです。検出限界が20Bq/Lですしね。
 実際、検査をしている青森の分析センターのお名前もお聞きしましたが、名前を公開する契約ではないので、公表できない、とのこと。
 つまり、私たちはどこで検査しているのかわからないのですね…

 そして気になる検査結果の返し方もお聞きしました。ヨウ素、セシウム134とセシウム137のベクレル数と、預託線量をシーベルト換算して出す、とのこと。
 ??預託線量まで? 

——それは現段階の内部被曝について、ということですよね? 3月まで遡っての内部被曝まで換算するのですか?

RHC JAPAN「福島県民の方々は3月12日前後まで遡って一発被曝(こういう言葉を使われました)からの預託線量を出すことになると思います」

——?? でも、今から検査しても、過去のヨウ素被曝は実効半減期を何度も過ぎているので検出限界以下ですよね?

RHC JAPAN「そうですね… ええと、それは先生方でまだどう扱うか話し合ってる段階だと思います」

(今、はっきり遡って出すって言ったじゃん!)

——ではこの結果は現段階での内部被曝の預託線量ということになるのですか?

RHC JAPAN「そうですね、関東の方々は現段階の慢性被曝(こういう言葉を使われました)だけを気にしたらいいと思うんですけど、福島県民は3月12日前後まで遡ったほうがいいと思います」

——?? しかし、ヨウ素はどれだけ被曝しても半年経ってしまったら検出限界以下ですよね? 尿からは検出されないですよね?

RHC JAPAN「そうですね、セシウムしか出ないですので、ヨウ素はどうするかまだ、先生方の間で話し合っています」

——過去のヨウ素は検出されない、ということを検査結果に明示してお返しするのですか?

RHC JAPAN「それも含め、話し合ってると思います」

 いやいやいや、もう始まってるじゃない!? 今、話し合ってるの?

 やっぱり過去のヨウ素被曝をどう扱うか、どう認識してもらうかが心配です。自分がヨウ素被曝したことを知らないまま、時間が経ってからの検査で検出されなかったから、といってうっかり安心してしまい、健康被害が出たのに切り捨てられないかが心配です。
 そして、内部被曝関連はあまりにも未知の領域なので、法規制も何も無いので、検査精度と値段設定が何も縛りはないのも心配です。

 RHC JAPANの検査は20ccで20Bq/Lが検出限界、直方体のNaIシンチレーションによる10〜15分の検出方法ということで、かなり精度が低いと思います。

【今週の針金】
マコちゃんの大好きな大好きな飯舘の仲良しですねん!!
僕がヤキモチ焼くかって?
焼きませんねん、だって僕も
飯舘の仲良しが大好きですもん!!

因みにバックの柄は新幹線のシートですねん!

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冒頭の「鳩山由紀夫勉強会」も、
IWJアーカイブで見ることができます。
マコさんの説明を聞く議員さんたちの表情、ある意味必見かもしれません。
さて、わたしたちはそれぞれの「そのとき」に、
「やるだけやってやった!」と言えるでしょうか?
自分に向かっても、思わず問いかけてしまう一言です。

ご意見・ご感想をお寄せください。

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おしどりプロフィール

マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。

ブログ:
 http://oshidori.laff.jp/
twitter:
 マコ:@makomelo
 ケン:@oshidori_ken
その他、news logでもコラムを連載中。

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