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2011-09-22up

おしどりマコ・ケンの「脱ってみる?」

第22回

ファーストフードならぬ
ファーストメディアは不健康な件。

 更新が一日遅れてしまいました! すみませぬ。しかし、メリットとして、「みんなのこえ」を読んでから、お返事が書けますね。
 TY生さん(71才・男性・三重県)からこういう声を頂きました。

「鉢呂前大臣の発言に思う」

 おしどりマコ・ケンさんは「鉢呂元大臣は大変でしたね、『死のまち』って言って干されちゃって。何であんな目くじらたてられたんでしょう?」と述べておられます。
 福島の人たちは、原子炉が冷温状態になり放射能が原発から漏れ出なくなったら、故郷に戻り故郷を再生したいと願っています。再生は出来ないという印象を与えてしまう「死の町」と言われたら、望みに水をぶっかけるものとなると思います。
 おしどりマコ・ケンさんは鉢呂前大臣の「放射線つける」うんぬんも「実際おっしゃったとしても、それは、何度も福島に行ってるからこそ言える放射線ギャグを私たちが言い合ってるようなもの、と思いました」と述べています。福島の人が他県に避難して、放射線をつけるなとか、福島ナンバーの車は帰れと言われたりした差別的社会現象が起こっています。鉢呂前大臣の発言はこの差別発言と同類の発言です。不穏当な発言だと思います。

***

 反論を頂いたので、私の考えもお伝えさせて頂きます。
 まず、私が伺った福島の方々はもちろん故郷を愛していらっしゃいますが、何がなんでも故郷に帰りたい、と思ってらっしゃるわけではありません。事故以前の故郷にはもちろん帰りたいと思ってらっしゃいます。しかし、被曝しながら自らが除染作業をし、そして、事故以前のようには戻らない高線量の中で我慢しながら暮す、というのが果たして復興なのか、除染して故郷に戻る、というより果たして戻ることができるかどうかの議論はきちんとされたのか、と考える方々が本当に多いのです。
 なので、福島県民の声が「早く故郷に戻りたい」に集約されることを非常に懸念しておられます。私の実感では福島県民の方々の声、特に若い方々の声は「早く故郷に戻りたい」ではなく、「早く正確な評価をしてほしい」というものです。なので、「死のまち」と呼ばれることを嫌がるのではなく、「死のまちなのかどうかを知りたい」という声のほうが大きいのです。
 ですから、単に「死のまちと言うな」という動きは、正確な評価をしにくくなることでしかないと思います。実際、政治の中でも、3月12日にメルトダウンの可能性を認めた中村審議官が更迭されたり、学校で年20mSVの基準はおかしいと東京大学の小佐古先生が涙で内閣参与を辞任したり、現在の原発事故に対して否定的なお考え、コメントをされる方は次々にいらっしゃらなくなります。
 そして、飯舘の仲良しが東京に来たとき、ついでに鉢呂元大臣に応援してます、と一言お伝えしようと議員会館に行ったのですが、同じ日に、福島の教職員組合の方々が来られてたり、別の日にも福島の方々が応援に来られてたりしていたそうです。鉢呂元大臣は福島の小学校が年20mSVの基準になったとき、それを何とかしようと、本当に尽力してくださったとのこと。

 また、福島への方々への差別があることについて。これは本当に悲しく悔しいことです。けど、放射線はうつらない、と言いますが、放射性物質の知識を本当に私たちはきちんと持っているでしょうか? 差別をなくす一番のことは言葉を制限することではなく、私たち自身が正確な知識をつけることだと思います。
 放射性物質はウィルスのようには伝染しません。しかし、高濃度の土壌を走っていた車が洗浄せずに他の地域を走るのは問題だと思っています。チェルノブイリでは30キロ圏内の中と外では違う車に乗り換えたりするそうです。ウィルスのように伝染はしませんが、土ぼこりとともに引っ付いて移動はするでしょう。かなり高濃度の地域なら、防護服を着用して、表面に付着する放射性物質を持ち出すことを防がねばなりません。
 なので、「放射線はうつらない!」とも「放射線はうつる!」というのはどちらも間違いで、放射性物質とはどういうものか、どういう挙動をするか、どれくらいのレベルになったら、どう気をつけたらよいか、というのを正確に知るのが差別をなくす一番の方法だと思います。
 差別をなくすだけでなく、自分の身を守るためにもなりますし、そして、社会が正しく動くのを応援する一番の手立てとなるでしょう。

 何度もマガジン9に書いているRHC JAPANの尿の内部被曝検査について(第17回第20回参照)、9月20日の統合本部共同会見に被災者生活支援チームの医療班の方がいらっしゃったんで、お聞きしてみました。

——尿20ccで10分〜15分の検査時間、凹型ではなく直方体のNaIシンチで検出限界20Bq/Lなんですけど、この検査の精度はどうでしょう?

医療班の方「う〜ん、まぁそれなりに意味はあると思うよ、精度はあまりよくないけどそれでも、ざっくり被曝量を出せるだろうし、というよりどういう結果の伝え方をするかが問題だと思うけど」

——そうですよね、現在の食品による経口被曝のチェックなどには役立つとは思うんですけど、でも、これ、この会社にお聞きしたんですけど、この検査の精度で福島の方々には3月まで遡った被曝の預託線量を出すらしいんですよ。ヨウ素被曝の取り扱いは保留のまま。

医療班の方「う〜ん、無料だったら、まぁいいんじゃない?」

——いえ! 無料なのは南相馬の6歳以下にだけです! 他は2万4千円かかります!

医療班の方「えぇ!? 俺だったら絶対にそれは受けない! そんな検査に2万4千円は払わない!」

 とのことでした。

 しかし、今、またこのRHC JAPANの内部被曝検査センターのホームページをチェックしたところ、NHKや報道ステーションなどさまざまな番組で取り上げられた、と書いていました。
 あら? 私は今までこのRHC JAPANの検査の精度について、何人もの専門家にお伺いしましたが、一人として擁護する方はいらっしゃらなかったけどな…。放射線医療の方、環境解析化学の方、原子炉工学の方、医療ジャーナリスト、などなど。

 そして、気がつきましたが、この内部被曝検査センターのホームページには「TVに出た」「雑誌に載った」などの情報は載せてありますが、専門家のコメントは1つもありませんね。
 普通、謎の専門家が肯定的なコメントを載せているものなんだけどな? 専門家にとってこの検査を擁護することは、あまりにもわかりやすいことなので避けられているのかもしれませんね。

 そして、もうひとつ。各種の学会の中でも、最近風通しが悪くなり、若手の先生の間で失望感が広がっています。みなさん、「政治のせい?」「お金のせい?」とおっしゃいます。
 水俣病のときも患者側のお医者さまが一人ずつ「向こう側」に転んでいった、ということもお聞きしました(大阪で、ボスが水俣病の裁判をしたという弁護士さんにお話を伺ったのです、後述)。

 つまり!  
 RHC JAPANの件も、鉢呂元大臣の件も、福島の方々への理不尽な差別も、学会が風通しが悪いのも、水俣病の悲しい歴史も全部!
 私たちが正確な知識を得たらいいだけのことなのです。
 きちんと知って考えて動いたらいいただけのことなのです。
 そうして不公平な理不尽なことがおこなわれないよう、騙されないよう、目を光らしておけばいいだけのことなのです。

 原子力なんてむずかしーい! なんていう声も聞こえてきそう。でも大丈夫。もとはみんな知らないもの。そして知らなかったけど、今は常識、なんてこと数限りなくあるもの。
 例えば、昔はスポ根の運動部は練習中には水を飲まない! なんていう厳しいシゴキがあったでしょう? でも今は水を飲みながらでないと脱水症状になったり熱中症になりやすい、というのは常識。そして、女子が大好きダイエットは、昔は絶食やりんごダイエットなどの単食ダイエットが流行ったけど、それは実は一時的にゲッソリしても痩せにくい体を作ってしまうことになる、というのも常識でしょ? バランス良く栄養を摂る&運動して筋肉をつける、というのが王道になっています。
 なので、ほっといても、放射線に関する常識は正確なものが浸透していくのかもしれないけど、それはどうも官僚や国やマスメディア業界にとってあまり都合のいいことではないみたいなので、うっかりすると私たちはまた騙されてしまうかもしれません。

 なので! とても簡単でそして必要なことなので、放射線に対する知識をみんなでどんどん深めましょう! 
 「これは検査したから大丈夫☆」「あなたは検査したけど大丈夫!」と言われたときは、
 「検出限界はどれくらい? どのような検出器を使ったの? γ線を見たの? α線は見たの? ちょっと生データ知りたいんだけど」
 そして、「ほほう、この検査でこれくらいの生データの数値だと、これくらいの影響かしらね、うん、まぁ許容範囲」と考えるようになったら、騙されることも少なくなるでしょう?

 自分を守るため、理不尽な差別をなくすため、科学者の方々が政治の力に捻じ曲げられず公平な研究と発表ができるため、きちんと活動されてる方がつぶされないよう応援するため、メディアや官僚に騙されないようにするため、私たちは急いで全力で知って考えて動きましょう!!

***

 今週のトピックス! 9月16日に経産省前で10日間のハンストをしている若者たちのお話を伺いに行ってきました。
 彼らのホームページ→「将来を想うハンガーストライキ」

 ハンストをしている4人の若者のうちのお一人、米原幹太さん(21歳)にたっぷりお話を伺いました。
 彼は今年1月に上関原発中止を求めて山口県庁の前でもハンストをした若者のうちの1人。

——わー、年に2回もハンストなんて、プロだね! なんか経験則とかある?
(こんな能天気な質問に幹太さんは) 

幹太さん「経験則っていうか、前回は無期限で始めたけど、10日を超えるとリアルに死ぬかも、と思い出したから10日が限度かな、10日だったら大丈夫と思って」

 あ、だから今回10日間だったのですね、こんな経験則をお持ちの21歳は頼もしいね!

——幹太さん、普段、何してんの?

幹太さん「無職! いや、職業は旅人。その日暮らしかな? 」

 わー、その日暮らしは私たちと一緒☆

——他の3人の方は? どうやって集まったの?

幹太さん「学生とかいろいろ。みんなバラバラ。若者会議のメンバーで、そこで集まった、という感じ」

——若者会議?

 ここで「若者会議」についていろいろお聞きしました。 
 3.11以降、若者が表面上は普通に暮していて、けど、本当はいろいろ考えているのに、話す場がない。なので、3.11を切り口に、何を喋ってもいいという場所を作った、それが若者会議。原子力に推進でも反対でも、仕事の悩みでも将来の夢でも、クラスのことでも家族のことでも、何を話してもいい場所。いろんな人に会って、いろんな話を聞く場所。そこで、出会ったメンバーで今回のハンガーストライキを始めたそうです。
 そしてその若者会議の呼びかけ人が幹太さん。

——若者会議ってどこでやっているの? 

幹太さん「メンバーの家とか、大学の部屋とか。参加費は持ち寄り一品とかで」

——へー楽しそ! 私も行ってみたいけど、若者の年齢制限とかあるの?

幹太さん「だいだい16歳から20代後半くらいまでかな、30歳以上はいないなー」

 おっと若者は20代までということが判明。じゃー取材に行くわ、ということで、若者会議のチラシも頂きました。
 チラシはこう始まっています。

「とりあえず話そう。5月17日、千葉に住む20歳の旅人カンタの呼びかけによって集まった18歳から22歳の7人。日本の今とこれからについて、日本に住む若者たちからすべての若者に向けて意見・情報・知識を交換・共有し発信する場として若者会議は始まりました。」

幹太さん「若者会議はイロをつけたくないんだ。脱原発のイロはつけず、もっと自由な感じにしたい。そうなると、入り口が狭くなるからね」

——わかる! 私もそう思う。脱原発かどうかはそれぞれが自分で判断することだから、誰かの判断にのっかりたくないし、私の判断にものってほしくないんだよね。けど、原発に関してはタブー視されすぎて、自由に話し合うことが難しい状況だから、まずそれを失くしたいよねぇ。脱原発、とか原発推進、とか決まった団体だと、気軽に入りにくいもんね。

幹太さん「そう! だから、音楽のイベントやいろいろ他のものと一緒にしながら、その中で原発のこともちょっと話し合ってみない? みたいなこともやって間口を広げてるんだ」

 それからなんか幹太さんと気が合いすぎて、本来のハンストの取材ではなく、いろいろ話し込んじゃいました。年代、世代での意識の違い、じゃさ、幹太さんや私たちが50代、60代になったら何か変わってるかな? けど、今から放射線安全教育をチビッコにモーレツにしちゃったら、またガラッと変わるだろうし。文科省が小学生用に原子力の副読本を作ったしね、などなど。

幹太さん「放射線教育なんかよりさ、授業の項目に『旅』とかあったらいいんじゃない? 社会の時間に旅を入れるべきだよ」

——いいね! 教室や教科書以外でいっぱい学ぶ練習しなくちゃね! だいたいさ、学校の先生って、小学校、中学校、高校、大学出て、教職員になったら、社会に一度も出ずに、学校しか知らないのに、チビッコ教えて社会人を育てるシステムって不思議だよねぇ。

幹太さん「そう、もっと子どものときにいろんな大人と出会うべきだよ! 子どもの頃、僕のような大人がいるとは思わなかったよ」

——子どもの頃によく話す大人って先生と自分の親くらいだものね。

幹太さん「学校って結局、一方通行でしょ? 大学行くのが目標の。外れて本当よかったよ。社会の都合のいい人間になるだけだし」

——で、親はわりと自分の都合で育てちゃうことが多いものね、なんか全く関係のない大人とたくさん出会うと、視野も広がるし人生の底力はつくのになー。あ、子どもが旅をするのはすぐには難しそうだけど、旅人が学校に行けばいいんじゃない? それならすぐできるし。

幹太さん「それいいね! 小学校とか行って話したいなぁ」

——旅人がさ、たくさん学校に行って旅の話をすればいいんじゃない? 旅しながらときどき学校まわるとか。

幹太さん「話したり、一緒に遊んだりね。子どもと本気で遊ぶの好きなんだー」

 というわけで、旅人を教室に招くプロジェクト、ご依頼お待ちしています☆ あちこち行くだけが旅じゃないしね、がっつり人生を渡っていくのは全て、旅です☆

 あ、ハンガーストライキの取材でした。

——経産省の方とか、(ハンスト現場の前を)通っていく? どんな感じ?

幹太さん「こっちはあまり出入りは無いんだけど、チラ見だけで声かけとかはないね。でも、経産省でトイレを借りてるんだけど、そのときは中で会う人は『大丈夫?』とか気遣ってくれてる」

——通りすがりの方にアンチとか文句とかって言われたりする?

幹太さん「それは特にはないなー」

 そう話してる間にも通りすがりに「がんばってね!」と声をかけていかれる方は多かったです。

 そして、彼らハンストをする若者と、私たちが舞台に出ているとき客席にいる若者とどう違うんだろ? と知りたくなりました。

——不思議なんだけど、幹太さんは事故前から上関原発の件でハンストとかしてるでしょ? どうしてそう考えるようになったの? 

幹太さん「特に変わったことしてないんだけど、いろいろ話を聞いてたらこうなったかな」

——今さ、TV、新聞から情報を得てそれがメインの方とそうでない方とで、わりと意識の相違があると思うんだけど、幹太さんはTV見てる? 新聞読んでる?

幹太さん「見てない。新聞も読まない」

——インターネットをよくするの?

幹太さん「携帯でツイッターは少しするけど、パソコンは持ってない。そんなにネットも見ないな」

——本を読むの? 情報はどこから得てるの?

幹太さん「本もあまり読まない。情報はね、うーん、人に聞く。そして自分で見に行く。自分の経験と知識と。そして、わからなかったら、人に聞くしかないでしょ」

 おおそうか! と面白かったです。この情報が氾濫している時代に、幹太さんは血の通った情報、自分が信頼できる人から聞いた話と、そして自分の目で見たことを選んでいるのです。そして自分で判断して動く、シンプル!
 そして、私たちが話してる間、ずっとユーストリームで動画配信してくださってた浦口洋美さんにも後でお話を伺いました。というかお喋りしてただけなんだけど、素敵だったから書いちゃう。もちろん許可は取りました。

洋美さん「彼らはね、未来から来た子どもたちなんです」

——未来からきた子どもたち?

洋美さん「そう、いままでの脱原発運動は、未来の子供たちに負の遺産を背負わせたくない、という文章だったでしょう? 彼らの声明文を読んでビックリしたんです。『私たち若い世代は原発の負の遺産をこれ以上背負いたくありません』って書いてあって。日本列島にはたくさん原発ができてしまったし、福島の事故もあるし、その負の遺産を未来の子どもたちに背負わせたくない、じゃなくて、自分たち若い世代がこれ以上背負いたくない、って言ってて。ああ、彼らは未来から来たんだ、未来の子どもたちが背負いたくないって言ってるんだと思って」

——ほんと。まだ10代の方もいるものね、選挙権が無いのに、そして20歳、21歳、22歳も選挙権を得たばかりだし、今、原発がたくさんあって、事故が起こってしまったのは確実に彼らのせいじゃないよね。

洋美さん「そう、道行く方で彼らに『私たちのせいでごめんなさいね』と謝る方も多くて。なぜか主に女性が多いんですけど。そして、負の遺産を背負ったのは彼らのせいじゃないのに、全然怒ってなくて、穏やかなんです。一緒に考えて動こう、みたいな。未来の子どもたちは、お前たちのせいだ! と怒る人間じゃなかったんです」

(そこで、近くの年配の方々の反原発団体が応援するから一緒にやろう、と言ってきたという話をされる)

洋美さん「応援してくださるのはありがたいんですけど、彼らとは考え方が違うみたい」

——わかる! 実は私、もう組織とかいいやん、とか思っていて。団体にならなくてもそれぞれ一人一人でいいやん、そしてときどき方向が合ったら連帯してつながるくらいで。吉本興業もTV局も新聞も東京電力も東京大学も脱原発団体も、どこにでもいい人も悪い人もいるし、それは当たり前のことだし、でも組織になるとクロになったりするから、もう、バラバラで個人でいいやんて思うよ。

洋美さん「そう! 彼らもそう考えてるんだけど、あまり上の世代には伝わらないみたい。脱原発団体の方がやってきては、なぜ団体を作らない、とか自分たちの組織と連携しないか、とか言うんだけど、そのたびにやんわり断っていて。新聞社の記者さんも取材にきて、『みんな学生さん?』とか聞いて、違う、と答えると『みんなフリーター?』とか聞いて。みんなバラバラ、というのがなかなか理解できないみたい。彼らは、ほんとたまたま集まっただけで、ハンガーストライキが終わったら、じゃあね、とそのまま別れてそれぞれの生活に戻るんですよ」

——いいな、それ! 組織じゃなくて、一人一人で動けば、なかなか敵はつぶしづらいだろうしね! それぞれが強い一粒になって軽やかにべらぼうに動いたらいいんだよね!

 そして洋美さんに素敵な話も伺いました。

洋美さん「日本は凄い国なんですよ!!」

——え? え? 何が?

洋美さん「経産省前、という住所で宅急便が届くんです!」

 洋美さんはご自分のiPhoneでユースト中継してらっしゃったのですが、初めはちょっと音声が悪かったのだそう。しかし! それを見た方がマイクと3脚とバッテリーを宅急便でカンパしてくださった、とのこと。カンパしてくださった方も、届けたクロネコヤマトの宅急便も素敵☆

洋美さん「日本は素晴らしい国ですよ! 大好きです!」

 うーん、私も大好きだけれど、素晴らしいとは手放しでは言えないなぁ、けど、伸びしろの多い国だと思います。ちなみにこれはケンパルを怒るときによく言うこと。「腹立つけど、この失敗は、まぁ伸びしろということで許したるわ!」
 だけど、ケンパルが自分で「僕は伸びしろいっぱいだからまだまだ伸びるよ!」とか言うのを聞くとまた腹立つんだけどね。  

***

 統合会見や、大阪の弁護士さんに伺った水俣病裁判のことや、広河隆一さんとの対談のことを書く前に、こんなに長文になってしまったので、いったん切ります。
 だらだら書きすぎかもね、ごめんなさい。

 広河隆一さんとの対談は9月21日夜にあったのですが、台風直撃してなかなか会場にたどりつけず、遅れて到着したため、お話できたのはちょっぴりでした。
 けど、帰りの車の中でたくさんお喋りをして、そして、面白いことを思いついたのでそれだけ書きます。

 広河さんはチェルノブイリからいろんなことを見続け、考え続けてきた方でしょう。私たちなんか最近なので、知らないことばっかり。そして、知らずにヒドイことがおこなわれていて、それに無関心でいたことで恥ずかしくなってばっかり。
 長崎、広島の被爆者の方々も、たくさんの方々が政府が作った基準の外に切り捨てられてきたことなんかもちっとも知らなかったし。
 もう、自分がなんてアホやったんや! と思ってばっかりなので、一刻も早く、知って考えたくてたまりません。

 でも、TVや新聞以外で知って考えることは難しくない? 手間や時間がかかることじゃない? 子育て世代とか難しいよ、と言われて。
 ふっと気付いたんです。自分の健康のために、運動をしたり、バランスいい食事を摂ることは大切でしょう? 時間が無いから、とそこを怠けると不健康になっちゃう。なので、自分の人生、判断、のために情報をきちんと選る訓練をすることは、時間が無いから、と切り捨てていいことではないのかもしれません。面倒だけどね。あ、この感覚なんだっけ。ということで閃きました。

 ファーストフード、ならぬ、ファーストメディアばかりに頼ると、自分の人生に悪影響を及ぼすかもしれませんわよ!

 安くて簡単に手に入る情報、ファーストメディア、ジャンクメディアではなく、ハンガーストライキの幹太さんのように血が通った情報を選べるようにしたり、自分自身がメディアになって筋トレのように情報筋肉鍛えたり、少し、メディア、情報に対して、手間をかけるということが、ヘルシーメディアを摂取することかもしれません。自分の人生のためにね!

【今週の針金】
「さようなら原発1000万人アクション」の呼びかけ人の中からお一人、大江健三郎さんですねん!

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身体の健康のために、食べるものに気を遣うのなら、
人生の健康のために、得る情報にも気を遣って当たり前?
いずれにせよ、出てくるものをただ黙って受け取るだけの、
「受け身」でいてはいけないのだ、と改めて思うこのごろです。

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おしどりプロフィール

マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。
マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。

ブログ:
 http://oshidori.laff.jp/
twitter:
 マコ:@makomelo
 ケン:@oshidori_ken
その他、news logでもコラムを連載中。

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