今週の「マガジン9」

 今、永田町(国会)の狭い部屋の一室で、「日本国憲法を無力化する、憲法9条を削除する」閣議決定のための与党協議が行われています。与党協議会の主要メンバーは、テレビにもよく顔の出ている(自民党)高村正彦副総裁、石破茂幹事長、(公明党)北側一雄副代表、井上義久幹事長。いくら選挙で選ばれた国民の代表とは言え、こんなごく限られた人たち(しかも全員男性!)によって、60年以上歴代首相も政治家も内閣法制局も、そしてなにより私たち国民の多くが支持してきた「平和という憲法的確信」を打ち捨てることが決定されてしまっていいのでしょうか。海外からも(特に中東などで)高く評価されてきた、「武力を持たずに戦後復興を果たした平和の国」という日本ブランドを、みずから壊してしまっていいのでしょうか。

 わたしたちは、次の世代の人たちに、とんでもなく大きな「負の遺産」を原発事故に引き続き、またも残してしまうのか、という鬱々とした気持ちと、「ふざけんじゃない!」という怒りの気持ちがまぜこぜになった、なんとも苦しい毎日を過ごしています。

 ここにきて、集団的自衛権容認に反対の声をあげる市民のデモや、勉強会などが盛んになってきています。さまざまな分野の学者たちが集まって「立憲デモクラシーの会」も立ち上がり、記者会見が行われました。また今週更新の「南部義典 立憲政治の道しるべ」では、「国会が歯止めとなる議員立法を!」と呼びかけています。南部さんによれば、閣議決定の意味はやはり重く、しかし憲法解釈を閣議決定で変更するなどというのは、憲政史上はじめての「暴挙」でもあるとのこと。

 「政府において憲法解釈を変更するためには、変更する案につき、事前に国会の承認の議決(両議院の総議員の3分の2以上の賛成)を要するとする」というルールを、国会が主導して打ち立てるという抑止手段が考えられます」(南部)。閉会まで3日ですが、国会が何もしないでこの事態を見守るだけよりは、できることは何でもやってみて欲しい。

 本当にとんでもないことなのです。サッカーワールドカップももちろんいいですし、私も観戦しますが、この事の重大さだけでも、マスメディアはもっともっと報道すべきだし、我々も歴史の分岐点にいることを、きちんと認識し、記憶しておくべきではないでしょうか。

(水島さつき)

 

  

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