今週の「マガジン9」

 「憲法解釈の変更から1年と2カ月、法律の制定から本日(9月23日)で5日が過ぎました。新しい憲法解釈が、まさに主権者〈国民〉の確信に変わるまで、20~30年はかかるという意見もあることから、そう遠くないうちに、まともな内閣が誕生し、2014年7月1日の閣議決定を撤回し、解釈を元に戻すことは可能と考えます。ちょうど、接着剤は、貼ってしばらく経つとはがせなくなるものの、貼ってすぐなら、まだはがすことができるかのごとく、です。ただ、国民がこの先何十年と、この問題を忘れてしまって、ぼーっとしていると、憲法解釈は〈国民〉の確信に変わり、本当に〈定着〉してしまいます。憲法に関しては、〈国民〉を超える権威は一切存在しないことになっていますから」

 連載コラム「立憲主義の道しるべ」でおなじみの南部義典さんがそう語ってくれました。「接着剤」の例えに、なるほど、「洋服に付いてしまったいやな〈シミ〉も、すぐに洗えばきれいになる」、そう言い換えてみると、妙に納得できたのでした。 

 これは決して強がりや負け惜しみからの言葉ではありません。おそらく、多くの主権者である市民は、安保法制反対に声を上げてきたこの数カ月を通じて、ある「手応え」をつかんだはずです。そして、次に何をやらなくてはならないか、も明白になりました。安保法制が違憲立法だということを言い続け、執行の停止を求め、そして廃案にするための政権交代を起こさせる。まずは来年7月の参院選挙での与野党逆転です。それらを市民がリードして野党を動かして行う。この「市民のリード」が大事なのです。「そんなことは無理…」ではなく「やれる」。そう確信することができた、この数ヶ月だったのではないでしょうか。

 若者たちが今回の爆発的な動きを作っていったのは言うまでもありませんが、女性たちの声もまた、じわじわと全国に広がる気配をみせています。世論調査(朝日新聞9月20日朝刊)によると、法案に反対は全体では54% 賛成が29%、うち男性は反対が50%、賛成は40%、女性は反対が59%、賛成は19%。この声を反映するには議会での女性議員の割合があまりにも小さいことも問題であり、そこのバランスを正しくすることもまた、安保法制に対する国民の声をきちんと反映させるために必要なことだと痛感しています。
 「そうは言っても入れる政党、候補者がいないじゃない」とつぶやく友人に「大丈夫、これから作るから」と答え、自分でも驚いて笑ってしまいましたが、そんな言葉もつい飛び出すような、様々なプロジェクトがあちこちで動き出しています。近いうちに紹介します。

(水島さつき)

 

  

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vol.519
市民がリードの政権交代を
」 に1件のコメント

  1. 鳴井 勝敏 より:

     「憲法改正参院選選挙公約に」。25日地元紙朝刊を躍っていた。「安保法」、丁寧な説明が不可能とみたか、一気に憲法改正を企む。著名な外国人が指摘する。「日本人の精神的特徴は自己批判を知らないということである。あるのは自己愛、つまりナルシシズムだけである」。アベ・自民党の発想は国民の精神的特徴を先取りしてのことだろう。つまり、法が成立したのだから仕方がない。ならば憲法もそれに近づけるべきである、と。
     内閣、国会は立憲主義を破壊、法の支配を踏み潰した。今度は、裁判所の機能が試される。閉鎖的な検察組織が社会の変化に適応でなかった(検察OB)。と世論の批判に晒されたのはごく最近のことだ。           民主主義で救えない人を救うのが裁判所の使命。人権最後の砦である裁判所。憲法を充分に使いこなすのか、それとも避けるのか。立憲主義、法の支配を死守できるか。目が離せない。

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