今週の「マガジン9」

 今朝(1/13)の朝日新聞の囲み記事に目が止まりました。タイトルは「〈パートで月収25万円発言〉巡り応酬」。12日の衆院予算委員会で安倍首相が、実質賃金が下がっている指摘に対しての答弁の中で「妻は働いていなかったが景気がよくなって働くことになり、私が50万で妻が25万なら75万円。2人で働くと平均は下がる」と述べたそうです。この「妻が25万円」の言葉をめぐって西村智奈美氏(民主党)は、「現状がわかっているのか。25万円のパートがあったら教えて欲しい。総収入30万円、手取り25万円なら時給は1900円だ」と反論した、とあります。なるほど、いかにも「世間」のことがわかっていない、首相の言いそうなことです。その後首相は、「パートで25万」とは言っていないと、反論したそうですが、パートで25万円でなければ、なぜ妻は夫の半分の給与? と私はここで反論したくなりました。というのも先月「マガ9学校番外編」で行った「怒れる女子会」イベントでの雨宮処凛さんの言葉を思い出したからです。

 ここに一部引用します。

 先頃発表された、ジェンダーギャップ指数。日本はちょっと上がって、それでも世界で111位。日本がとんでもなく女性差別国家だということは、国際社会も認知しているところです。それに関連して、私が一番問題だと思うのは、女性と男性の賃金格差が著しいのに、ずっと放置され続けていること。平均で言うと、女性の賃金は、男性の半分。労働者の4割が今、非正規雇用ですが、その70%が女性です。で、女性の平均年収が142万円、貧困ラインが122万円。フルで働いてもたった20万円しか差がないのに、それが放置されている。ヨーロッパだと、例えば、男性の賃金が100%だとしたら女性は97%。その3%の差をめぐって大騒ぎですよ。でも日本ではなぜか、これだけの男女に賃金格差があるのに、大きな問題にならない。どうせ女性は結婚するだろうとか、男より女の賃金が低くて当然とかが、何の根拠も合理性もなく、ずっと慣習化されてきた。明治の頃の話でもなく、2015年現在の話です。女性差別がみっちりと、それが差別と気がつかないぐらい、生活の中にあるんです。

 居酒屋談義ではなく、国会で首相がわかりやすい例として述べた「私(の賃金)が50万で妻が25万」のまさに「みっちりと生活の中に入り込んでいる、女性差別」は、言った方も言われた方も気がつかない…ということを、また感じてしまいました。
 もしかしたら、「なぜ男女平等じゃなくてはいけないの?」と真顔で言い出す人までいそうなので、以下のことも追記しておきます。雨宮さんのこの発言に加え、イベントの対談相手のおしどりマコさんが、2015年最もヘコンだことの例として、SEALDsで発言した女子学生やデモを主催した若い女性に対して、性的な内容でのバッシングがすごかったことを上げて、「こんな世の中にして、ゴメンと思いました」とのくだりがありました。
 根強い女性差別の慣習の中、若くてまだ社会経験のない女性が、世の中に対してモノを言う、そこに対して、女性をいやしめるようなバッシングの声がいっせいに上がる。そういうことに対して、やはり、きっちりと「おかしい」と反論の声を上げていかなくてはならないのでは、と思います。

 私たちの憲法は、もちろん、男女平等を規定しています。憲法14条で規定する法の下の平等に加え、憲法24条は両性の本質的平等を謳った条文とされています。この憲法24条をじっくりと考えるインタビューなどを、来週よりシリーズでお送りする予定です。私たち国民の「不断の努力」が求められています。どうぞご期待ください!

(水島さつき)

 

  

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