今週の「マガジン9」

 「選挙が大事なことはわかっている。でもね、(票を)入れたい人がいないのよ」。こんな会話をこれまで何回繰り返してきたことでしょうか。ならば自分たちで入れたい候補者を立ててしまえばいいのでは? しかしそんな当たり前の「希望」も、現行の選挙制度においては、当選に持っていくまでが難しい。特に1人区においては、というのがこれまでの大方の見方でした。
 しかし、今、市民団体や勝手連が自分たちで選んだ無所属の候補者を推し、その立候補予定者に各党が相乗りで支援し、「野党の候補者一本化」が実現する、という流れが各地域で生まれ、急速に形になってきています。こういった現象はこれまでにもあったことでしょうが、各地で同時に起きているというのは、国政選挙では極めて新しいことなのではないでしょうか。

 4月5日、愛媛県でも無所属の永江孝子さんが参院戦への立候補を表明する記者会見がありました。昨年12月に東京・青山で行った「怒れる大女子会」に登壇いただいた、松山市議会議員で「女性を議会に送る会」の武井たか子さんは、安倍政治にノーをつきつける私たちの候補者は永江さんしかいないと、粘り強くお願いを続けてきたお一人です。永江さんは、元民主党の国会議員でしたが、政界を引退した身であり、固辞し続けてきたそうです。しかし、武井さんをはじめ、地元の様々な市民グループや、新しく立ち上がったえひめ勝手連に所属する、大学教師や弁護士、国際NGOの元職員、主婦など、さまざまな人たちが意見交換を重ね、1000人の市民の応援名簿リスト(この名簿は名前を貸すということではなく、永江さんが立候補すれば、選挙のために必要なカンパも実働もしますよ、という約束を交わした方たちだそうです)を永江さんに手渡し、涙ながらに要請をしたとも聞きました。そういった経緯があっての、昨日の正式出馬表明となったのです。あとは、「野党共闘一本化」に向け、さらにみんなで頑張る、と武井さんは話しておられました。

 市民が主体の選挙スタイルが生まれる一方で、愛媛は政治的には保守色の強い地盤であり、再稼働が目前にある伊方原発を抱え、そのあたりの事情は複雑です。それだけにリベラルな市民派女性候補者が、野党統一候補になることの壁は厚いですが、ブレイクスルーすれば、大きな求心力にもなるでしょう。いずれにしても、新しい流れの主役は、既存政党や組合ではなく、政治にコミットを始めた市民、特に若者や女性です。彼女/彼らの動きが、今後、地方や地域における選挙や政治にどういう影響を及ぼしていくのか。おおいに注目と応援をしていきたいと思います。

(水島さつき)

 

  

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