今週の「マガジン9」

 参議院選挙戦終盤になって各紙は情勢分析を発表しています。東京新聞朝刊では1面の「改憲4党 3分の2の可能性、自民単独過半数も 投票先未定なお4割」「安倍政権下の改憲 反対40.5% 賛成28.9%」の大きな見出しが、この不思議な「ねじれ現象」について伝えています。
 ここで投票先をまだ決めていないという4割の人にまず言いたいのは、このままの結果になったとしたら、安倍政権はまちがいなく、「改憲をする」ということです。

 そして今、同時に考えているのは、日本人がテロのいわば標的にされ7名が殺されたバングラデシュでの痛ましすぎる事件についてです。なぜこんなことになったのか…。
 危険な場所に行くことのある商社マンたちや、途上国での復興支援など海外で仕事をしている人から聞いていた「自分の身を守るのは、防弾チョッキではなく、日本国のパスポート」。それはついこの間までの私たちの共通認識だったはずです。
 かつて「マガ9」でもインタビューをさせてもらった世界を舞台に活動をしていた現場を知る方々の言葉からもそれは明らかなことです。

→伊勢崎賢治さん
〈アフガンで軍閥の武装解除が成功したのは日本がやったからです。その責任者だった私はよく、軍閥に「日本の指示だから従う」と言われました。〉
 
→安田菜津紀さん
〈ヨルダンの難民キャンプなどを歩いていると、よく「どこの国から来たんだ」と聞かれるのですが、「日本」だと返事をすると、「おお、ジャパンか」って握手を求められることがよくありました。「なんで俺たちがおまえと握手をするかわかるか。おまえの国がどこも攻撃をしない国だって、俺たちは知ってるんだよ」って言われたことも。〉

 
→中村哲さん
〈ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。〉
 
→高遠菜穂子さん
〈私たちが個人レベルで戦争に反対している、そして戦力を持っていなくて丸腰だということが、彼らの殺意を止めた。それは言い換えれば、それぞれが憲法9条の精神を実践していたからということじゃないか、と後から思うようになったんです。〉

 これは紛れも無く「憲法9条」を私たちが守り、官民が共に「外交」でも活かしていたことに他ならないのです。このことを単にノスタルジーを持って思い出そうということではありません。この9条を改憲によって変えてしまうのか、それとも9条の理念を「実行する」方向に舵を切るチャンスを残すことを選ぶのか、それを今、選挙権を持つみんなに考えて欲しいということです。
 「安倍晋三という一人の人間の、国際情勢をまったく把握していないかに見える無神経な言動によって、この国に生きる人々はISに敵視され、「殺戮の対象」となってしまった。」(今週の「雨宮処凛がゆく!」より)。
 雨宮さんのコラムからは、彼女がこの10年間、貧困と戦争の現場を見て歩き、寄り添ってきたからこそわかる、安倍政権への怒りと悲しさと悔しさがにじんでいます。私たちも10年間、マガジン9をやってきましたが、本当に今、同じようなことを切に思います。

 主権者としてこの流れにブレーキをかけることができるのは、選挙だけです。
 4割のまだ投票先未定の方々! 日本の未来はあなたたちに託されています。よく考えて、是非、選挙に行きましょう。 よろしくお願いします。

(水島さつき)

 

  

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