マガ9備忘録

世間では森友学園問題で大騒ぎだ。これによって安倍政権の正体が満天下に晒されればよいのだが、敵もさるもの、先週3月7日に国民生活に大きな影響を与える法案を閣議決定していた。水道法改正案だ。

この改正案は、地方自治体が手掛ける水道事業の統合・広域化を促進し、経営基盤の強化を通じて水道網の維持につなげるためとされている。同時に、水道事業が災害などで損害を受けた場合、その復旧費の大部分は自治体持ちとなる。

現在でも、地方自治体が水道事業の所有権を有したまま運営権を民間企業に売却することが可能だが、この改正によって参入が容易になり、大手多国籍企業、即ち外資が日本の「水」に目をつけることは確実だろう。希少化したものは当然価値が上がる。利に敏い者が跋扈するのだ。

14年前の本だが、モード・バーロウとトニー・クラークの共著『「水」戦争の世紀』(集英社新書)によれば、20世紀は石油の争奪合戦だったが、21世紀は水がこれに取って代わるという。人類が飲める水は、地球全体の総水量のわずか0.5%以下に過ぎない。そしてこの淡水は環境破壊などによって急激に減少している。

2000年にオランダのハーグで開かれた「世界水フォーラム」では、「水は人間の必需品であっても人間の権利ではない」と採択した。これによって水は商品として位置づけられたのだ(前掲書)。

水道事業は何より安全性と安定供給が求められるものであり、そもそも競争原理になじまない。しかし、かねてから麻生太郎財務相は水道事業民営化を公言している。

ライフライン―まさに命綱である水道事業。これを外資に売り渡すような法改正を許してはならない。

(中津十三)

 

  

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