マガ9備忘録

社会が壊れてしまったような事件が、また起きた。

26日、相模原市の障害者施設に暴漢が乱入し、ナイフを振るって入所者を次々に襲った。死者は19人、重傷者を含む怪我人は26人。神奈川県警は、殺人未遂と建造物侵入の容疑で、この施設でかつて働いていた26歳の男性を緊急逮捕し、殺人容疑に切り替えて調べる方針だという。

この大量殺人の動機は何か。犯人が働いていた介護の重労働の苦しさはあるだろうが、弱者である入所者に刃を向けたことは、どう考えても弁護できない。

施設の関係者によると、犯人は今年2月ごろ、「障害者が生きているのは無駄だ」などと書いたチラシを施設の近所に配ったという。また、同僚に「障害者は生きる値打ちがない。無意味だ」と漏らしていたという。(朝日新聞報道による)

この事件で、1999年、当時の石原慎太郎東京都知事が都立府中療育センター(重度知的・身体障害者療育施設)を視察後の記者会見で「ああいう人(障害者)ってのは人格あるのかね」「人から見たらすばらしいという人もいるし、おそらく西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないかと思う。そこは宗教観の違いだと思う。 ああいう問題って安楽死につながるんじゃないかという気がする」と語ったのを思い出した。

また、現職である麻生太郎副総理兼財務相が、病人や老人、さらには引きこもりなど生きづらさを抱えている人に対して、明らかな差別発言と優生学的な暴言を繰り返していることはご承知の通りだ。

そうした暴言の主の推薦を得ていたり、その“後継者”と目されていたりする人物が、現在行なわれている東京都知事選挙の有力候補とされている。私には、耐えられない。

そうなのだ。繰り返され、思考に組み込まれる弱肉強食の差別意識。この行く先は、ナチスだ。

これは実際にナチスで使われた障害者に対するヘイトを煽るポスター。「この遺伝的欠陥を持つ人間の一生に6万ライヒマルクもかかる。それは他ならぬ君の金だ。考えろ。」これを表現の自由ととった先にあったのがT4作戦、そしてアウシュビッツ。(@shobo_n2さんのツイッターより)
image

犯人がツイッターでフォローしていたのが、ネトウヨと呼ばれるような発言を繰り返す有名なアカウントばかりだったことも見逃せない。こうしたアカウントの発言を毎日浴びて、障害者への憎悪を高めていったのだろうか。

信じがたいのは、犯人は衆議院議長公邸を訪ね、入所している障害者の殺害を示唆する手紙を渡そうとしていたという。手紙には、この施設を標的としたうえで職員を標的としないなどと具体的な手口まで明記されていた。予告までされていたのに、なぜ防げなかったのか。

ヘイトクライムを許さない社会への模索の遅さが、この犯行に繋がったとも言えるのではないか。

犯人の、「世界が平和になりますように。beautiful Japan!!!!!!」という犯行直後のツイートに戦慄せざるを得ない。彼にとっての「美しい国」は何だったのか。

最後に、犠牲になった方々へのご冥福と、怪我を負われた方々の快復を、心から祈る。

(中津十三)

 

  

※コメントは承認制です。
その140)世に瀰漫するヘイトの空気と
相模原障害者施設での大量殺人
」 に4件のコメント

  1. 島 憲治 より:

    「ヘイトクライム」を生み出す土壌は、実は国民の精神に宿っているのでは。排除の論理が幅を利かせ、不安から逃れようとする国民が蔓延しているからだ。

  2. ぴょえ~ より:

    この事件の興味深いところは犯人が精神病院に入院していた経験があることだと思います。犯人は障害者を大量殺人した殺人鬼でありながら、彼自身もまた社会が保護し助けるべき精神障害者だったのではないでしょうか。

  3. けん より:

    ヘイトクレイム、・・人種、民族、を愛おしむ心を育てましょう。

  4. 鳴井 勝敏 より:

    >弱肉強食の差別意識。この行く先は、ナチスだ。
     民主主義の体制を維持しながら独裁政治を実現したヒトラー。140万人ものユダア人を虐殺したアウシュビッツ。この目で確かめたく現地に足を踏み入れたのは 2006年3月。「ガス室」にも入った。「光が差し込まない」「身動きがとれない」牢獄も見た。これが人間の仕業か。人間はここまでやるのか、できるのか、と確認した。
    では、なぜドイツ国民がナチス・ヒトラーを支持したのか。ヒトラーはポピュリズムの種を限りなく蒔いたのだ。疲弊していた国民はヒトラーの言葉に酔いしれた。
     現在の日本にもこのポピュリズムの萌芽があちこちに表れて来た。無知からくる不安はその格好の土壌である。

←「マガジン9」トップページへ   このページのアタマへ↑

マガジン9

最新10title : マガ9備忘録

Featuring Top 10/166 of マガ9備忘録

マガ9のコンテンツ

カテゴリー