おしどりマコ&ケンの「脱ってみる?」

 4月5日の夕方の東電会見のあと、仕事の打ち合わせをしてから、いろいろまとめようかしら…と思っていたら、午前1時半から臨時会見を開くとのこと! 何事かしら!

 眠い目をこすってダッシュで行ってみました。

 長いのでダイジェストは下記。

(1)貯水槽からストロンチウムを多く含んだ汚染水の漏えい!

(2)同じ作りの貯水槽Ⅰに移す対策で大丈夫?

(3)最後の砦のベントナイトシートのスペックは回答待ち。

(4)水漏れの原因は恐らく遮水シートの継ぎ目。その強度、耐震性チェックは無し?

(5)本当は、もっと低濃度のアルプス処理水を貯めるはずだったのね…

(6)おまけ

(7)続報

********

(1)貯水槽からストロンチウムを多く含んだ汚染水の漏えい!

 臨時会見は貯水槽から放射性物質を含んだ水の漏えいが考えられる、とのこと。

 緊急メールは下記(脱ってみる? デイリーも要チェックですよ!)。
【東京電力からのご連絡】福島第一原子力発電所地下貯水槽No.2からの水漏れについて

 この地下貯水槽Ⅱには濃縮塩水を今年の2月1日から受け入れていました。汚染水は処理装置と淡水化装置を通って、淡水と濃縮塩水に分けられます。その濃縮塩水のほうを受け入れてたのね。で、3月2日には容量の95%、13000立方メートル貯水していました。

 で、この貯水槽というのは、

 地面に穴を掘って、

 ベントナイトシートを敷いて、

 ポリエチレンシートを2層敷いて、

 保護コンクリを打って、

 プラスチック材の貯水槽を組み立てて、

 上部にプラスチックの蓋をつけたものなのです。




 大きさは60m×53m×6m! 大きいね!

 この貯水槽Ⅱの一番外側のベントナイトシートの内側に、全β核種で5.8×10^3Bq/立方センチメートルの汚染水が採水されたの! 1ccに6000Bqというのは、かなりの高濃度だよね…。

 ベントナイトというのはモンリロナイトなどの粘土の総称。吸水性が高くって、そうね、猫のトイレ砂なんかにもベントナイトはよく使われています。

 イメージ画をかくとこう。

 ベントナイトシートの外側は土、つまりベントナイトシートが最後の砦っつーわけですよ…。

 全β核種の濃度で1ccあたり6000Bq、これは恐らくほとんどストロンチウムだそうですが、他の核種の解析はまだです。

 淡水化装置濃縮水の放射能濃度と近い、ということで、そのデータを見ると、トリチウムやアンチモンもけっこう含まれていて、もちろんセシウムも入っています。

――今回漏れた貯水槽Ⅱの汚染水にも、同程度の比率でトリチウムやアンチモンも入っていますか?

東電・尾野さん「測定はまだですが、恐らく同じような比率で含まれていると思います。」

 あーあ、本当にこれが環境中に出てきたら大変だよ! そして、少しくらいは土壌中に漏れ出た可能性も否定できないんだってさ!

********

(2)同じ作りの貯水槽Ⅰに移す対策で大丈夫?

 対策として、隣接している貯水槽Ⅰに汚染水を移送するそうです。

 貯水槽Ⅰの容量は13000立方メートル。貯水槽Ⅱの容量は14000立方メートルでそのうち13000立方メートル貯水されています。

 まぁ、移送したら貯水槽Ⅰはほぼ100%、パンパンになっちゃうね…

 でも、今のままだと貯水槽Ⅱの汚染水がベントナイトシートの内側でギリギリ止まっている状態なので、一刻も早く移送しなければ、ということだそうです。

――貯水槽Ⅰは貯水槽Ⅱと同じ作りですか?

東電・尾野さん「同じ作りです。」

――では、貯水槽Ⅱと同じ原因で、同じように水漏れする可能性はありますね?」

東電・尾野さん「可能性を否定することはできません。」

 トホホ。

 急いで汚染水を移しても、同じ原因でまた水漏れしないように、何らかの対策、検討はして頂きたいものです!

 が、そういう猶予も無く、移送計画をすぐに立てて水を移さなければいけない感じ。

 移送ポンプは40t/hのものを使い、13000立方メートル(13000t)の水を移送すると約2週間かかってしまいます。他のポンプも同時に使い、何とかできるだけ早く貯水槽Ⅰに水を移送するための計画を練っているところだそうです。

********

(3)最後の砦のベントナイトシートのスペックは回答待ち。

 ベントナイトシートが最後の頼みの綱! ということでベントナイトシートのスペックも質問しましたが、尾野さんは調べて回答する、とのことでした。

 ベントナイトは前述したけど、けっこう吸水するんだよね。ベントナイト1gで10cc~14ccも給水しちゃったり。

 今は、ベントナイトシートで持ちこたえているけれど、急がないと、13000立方メートルもの汚染水が環境中に自由に漏れてしまうかもしれないのです。

 なので、ベントナイトシートがどれくらい持ちこたえることができるか、そのスペックが気になったのです。

********

(4)水漏れの原因は恐らく遮水シートの継ぎ目。その強度、耐震性チェックは無し?

 東電・尾野さんによると、水は、恐らくシートの継ぎ目から漏れたのではないか、とのことでした。ポリエチレンのシート自体は強度はあるんだけど、どうしても継ぎ目は弱くなるので、可能性として継ぎ目から漏れたということが一番考えられる、と。

 え? シートの継ぎ目の強度の試験はどうなってたの?

 平成24年9月13日の保安院の資料、貯水槽などの放射性液体廃棄物処理施設などの変更に対する評価の資料をケンパルが見つけたので読んでいました。

 あと、もう一つ、先月12日に出た東電の資料の中から地下貯水槽に関するものがあったはず、と思いケンパルに探させました。

 『福島第一原子力発電所1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に基づく施設運営計画に係る報告書の補正について』。この中から、『放射性液体廃棄物処理施設及び関連施設』の部分。

 この2つを読み比べての疑問。

 後者には「地下貯水槽は,耐震 Bクラスの施設に要求される水平震度に対し,遮水シートが損傷しない設計とする」とあるんだけれど、実際、耐震性を調べたのは遮水シートのみで、肝心のシート接合部、つまり継ぎ目の耐震性は調べてないの。

 前者の資料に「シート接合部は、廃棄物最終処分場整備の計画・設計・管理要領に準拠した加圧検査により健全性が確認され、使用前の水張試験により漏えいの有無が確認されることを確認した」とあるのみ。

 つまりね、シート接合部は、地下雨水貯留排水設備やゴミ処分場の管理要領と同じ検査しかされていないということ。

 原子炉設備って、耐震性チェックを厳重にされているはずなのにな?

 少なくとも、放射性物質を内包するものは、耐震Bクラス相当の設備のはずだけれど(原子力安全委員会の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」によるとね!)。

 あら? 上記の東電の資料にはこうあります。

 地下貯水槽は,設計・建設規格の要求に適合するものではない。しかしながら,社団法人雨水貯留浸透技術協会「プラスチック製地下貯留浸透施設技術指針」に準じたプラスチック製枠材および日本遮水工協会により製品認定を受けている遮水シートを使用することで,高い信頼性を確保する。

 元々、遮水シート頼みだったのね…

 そして遮水シートの継ぎ目について他の資料でもいろいろ調べると、

※遮水シートの漏水原因は継ぎ目部から発生する可能性が大きいといわれている。

※被遮水地の斜面の傾斜が大きいと、シートのずれが生じやすくなる。

 このような記述に多々出くわします。

 ええと、シートの継ぎ目の検査はもう少ししても良かったんじゃない? せめて耐震性は調べてほしかったな!

 シートの接合の仕方を調べると、遮水テープで張り合わせたものや、熱融着といって、加熱して素材を溶かして固着させる方法などいろいろあります。

 シートの接合部から水漏れした可能性がある、ということで、どのような接合の仕方ですか? と聞くと、確認します、ということでした。

 漏れる可能性のある接合の仕方とはどういったものでしょうね。

 そして、同じ作りの貯水槽Ⅰに移送して、大丈夫かしら? やっぱり同じような水漏れ、遮水シートの継ぎ目からの水漏れにならない?

********

(5)本当は、もっと低濃度のアルプス処理水を貯めるはずだったのね…

 前述の保安院の資料を見るとこうあります。

 地下貯水槽には、多核種除去設備の処理済水を貯留することを基本としているが、鋼製タンクの運用が厳しい場合には、地下貯水槽に淡水やRO濃縮塩水を貯留するとしている。

 本来、この地下貯水槽には、多核種除去装置、アルプス(ALPS)の処理水を貯めるはずだったんだよね…。でも、タンクの運用が間に合わず、濃縮塩水を貯留しているのです。

 つまり、本来はもっと低濃度の、ストロンチウムやセシウムもできるだけ取り除いた処理水を貯めるはずだったのです(取りきれないトリチウムは入っているけど)。

 けど、予想より高濃度の、ストロンチウムなどがしっかり入った濃縮塩水を貯留しているはめになっていて。それが漏れちゃっているのね。

 ぶら下がりで、いろいろとお聞きしました。

――貯水槽が予想より高濃度の水を貯留しているということで、β核種、例えばストロンチウムが予想より高濃度だということで、それによるポリエチレンシートの劣化などは考えられませんか?

東電・尾野さん「それは無いです。ポリエチレンが劣化するくらいのストロンチウムなどの核種の濃度はもっとケタが違いますから、それは無いと思います」

他の記者さん「では塩分濃度は? 濃縮塩水ということで塩分による劣化は?」

東電・尾野さん「それも無いと思います。ポリエチレンシートは強いので…」

他の記者さん「チガヤ(イネ科の雑草)の可能性は無いですかね、突き破ったとか…」

東電・尾野さん「(苦笑)チガヤには苦しめられましたけどね、どうでしょうね…」

――作業員の方にモグラも見かける、と伺いました。モグラが突き破った可能性はどうでしょう?

東電・尾野さん「いや、もうわかりません。とにかく原因はわからないのですが、急いで貯水槽Ⅱから貯水槽Ⅰに移送する計画を立てるのが最優先なのです」

――貯水槽Ⅱが最も容量が大きくて、それを次に大きい貯水槽Ⅰに移すとなったら、計画は狂いませんか? そもそも、アルプスの処理水を地下貯水槽に貯留する計画だったのですから…。

東電・尾野さん「ですから、タンクの建設は進めていますが、汚染水の貯水計画は見直す必要があるかもしれません」

 表を見てもわかるとおり、貯水槽のⅠとⅡの容量は最も大きいんだよね。Ⅳ、Ⅴ、Ⅶなんか、比べると容量は小さいでしょ?

 せっかく空いていた貯水槽Ⅰもすぐに埋まり、そして水漏れの原因がわからない、となるとなかなか不安要素いっぱいです。

********

(6)おまけ

 今週は、せっせと病院に通って検査したり、あ、3号機の使用済み燃料プールの冷却システムも止まったりしてましたね、同じ日の出来事なのに、すっかり忘れてた!

 原発事故から2年たって、応急処置をしていた仮設の設備がどんどん劣化していっているような気がします。

 いろいろな資料を読み直していると、

 評価の結果、地下水バイパスの実施及び地下貯水槽の設置に係る東京電力の施設運営計画については、当院の示した基本目標の達成に必要であり、応急の措置として実施することは、公衆及び作業員の安全を確保する上でやむを得ないものであると判断する。

(前述の保安院資料より)

 こういう表現多いんだ。この応急処置は、長年保たせるものではないよね、何年? いや、何か月なのかな?

 それを、爆弾低気圧や台風、地震や、チガヤ・ネズミなどにも耐えうる設備で、少なくとも何十年コントロールしないといけません。気が遠くなるね!

 作業員の方々の被曝も心配。少なくとも何十年も、通常の原発よりはるかに高線量の作業が続くわけですから。

 そういえば、今週、電話と電気がいっぺんに止まりました。電話代払っても、通じないからおかしいな、と思ったら、電気も止まっていて。

 同じマンションの方に「あ、東電の不払い運動ですか? うちもです!」と言われ、「違います、不払い運動でなくて、ナチュラルです☆」と返しました。

 ケンパルは「マコちゃん、電気が止まったら、パソコンの明かりで生活したらいいんじゃない?」と言うので、「あのね、パソコンの電気も無くなるんだよ…」と諭しました。

 私は病気の猫を拾ってきて捨てられないタイプです。アホな子ほどかわいいのう。

 さ、少し仮眠して、仕事に行こっと。夜中、1時半の会見が終わったのが4時すぎで、もう、朝の8時でございます!!

********

(7)続報

 とも思ったら、仮眠のヒマは無さそうです。

 貯水槽Ⅰへの移送は午前5時43分に始まったとのこと。東京電力から続報がきておりました。

【東京電力からのご連絡】福島第一原子力発電所地下貯水槽No.2からの水漏れについて(続報2)‏

 漏えい量が約120立方メートル、放射能濃度が約1.5×10^0Bq/立方センチメートルで、漏えいした全放射能量は約1.8×10^8Bqと判断しました。

 って、かなーりの量が漏えいしたよね…。総量は180000000ベクレル(1億8千万ベクレルですね)!

 ん? どうやって、漏えいした水の放射能濃度を判断したのかしら? 実測かな?

 ベントナイトシートの内側はもっと高濃度でしたからね。

 上記続報メールより。

○そのため、4月6日午前5時10分に実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第19条の17の十号である「原子炉施設の故障その他不測の事態が生じたことにより、核燃料物質等が管理区域内で漏えいしたとき。」にあたると判断いたしました。

○なお、本件については、福島第一原子力発電所原子炉施設保安規定第168条(報告)に基づき報告を行うものです。

 管理区域内で漏えいした、というけれど、管理区域内の土壌にこれだけの量(120t!)漏えいすれば、地下から海水に流れたり、地下水脈を汚染したりするのではないかしら? 東京電力によれば、「全部、土に染み込むから、海には流れない、大丈夫!」とのことだけれど。

 ちなみに、海から貯水槽までは約800mだそうです。はーあ。

********

【追記】
 ここまで書いた後、東電から漏えい量について訂正が入りました!

 漏えい量が約120m3、全γ放射能濃度が約1.5×10^0Bq/cm3、全β放射能濃度が約5.9×10^3Bq/cm3であったことから、漏えいしたγ線放射能量が約1.8×10^8Bq、
β線放射能量が約7.1×10^11Bqと推定しておりますが、詳細については調査を行っております。

 120t漏れた汚染水はγ線の放射能量が180000000(1億8千)Bq、β線の放射能量が710000000000(7100億)Bq(わ、もう少しで兆にいくところだね、β線に寄与しているのは、ほぼストロンチウムらしいよ!)。

 これくらい漏れたと推定されています…。

 詳細は調査中。

 そして、ポンプを何台もフル稼働させて、貯水槽Ⅰと貯水槽Ⅵに移送中! そりゃ、どんどん漏れているわけだから、急いで移送しないとね!!

 はーあ。

 東京電力からの詳細メールはこちら。

【東京電力からのご連絡】福島第一原子力発電所地下貯水槽No.2からの水漏れについて(続報8)

【今週の針金】
ベントナイトは水を良く吸うので猫のトイレの砂にも使われてますねん! 歌川国芳の猫が可愛くて作っちゃいましてん。

 

  

※コメントは承認制です。
第56回 貯水槽から濃縮塩水(Srたっぷり!)が漏れ漏れの件。」 に1件のコメント

  1. magazine9 より:

    マコさん、ケンさん、バタバタの中、ありがとうございました!
    福島第一原発ではこの日(5日)、マコさんが報告してくれた汚染水漏れに加え、冷却システムの停止、さらには誤警報とトラブルが続出。
    こんな状況が続く中で、なぜ「再稼働」や「原発輸出」という言葉が出てくるのか、いくら考えてもわかりません。

    そんなわけで、貴重な情報を伝えてくれるお2人を応援したい!と思った方へ、
    おしどりの2人への「ご祝儀口座」はこちらから!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

←「マガジン9」トップページへ   このページのアタマへ↑

マガジン9

おしどり

おしどり:マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年結成、芸歴は2005年から。ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。ブログ:http://oshidori.laff.jp/ twitter:マコ:@makomelo ケン:@oshidori_ken その他、news logでもコラムを連載中。

最新10title : おしどりマコ&ケンの「脱ってみる?」

Featuring Top 10/28 of おしどりマコ&ケンの「脱ってみる?」

マガ9のコンテンツ

カテゴリー