木内みどりの「発熱中!」

映画、テレビ、舞台と幅広く活躍してきた女優の木内みどりさん。
3・11以降は、脱原発についても積極的に活動しています。
脱原発への思いや憲法のこと、政治や社会参加についてなど、
日々の暮らしや活動のなかで感じていること、気になっていることを
「本音」で綴っていただきます。不定期連載でお届けします。

第12回

3月はニューデリーで始まりました

 犬が吠える騒がしさで目が醒めました。
 今、インド、ニューデリーのホテルです。

 3匹、いや5匹くらい? 吠え声が重なったり重ならなかったり。雨降りの様子を見ている時や、雲の形を飛行機の窓に顔をぴったりくっつけて覗いている時と同じように、自然の成り行きはとても魅力的です。
 リズムや色の調子、その形、トーン、ニュアンス、およそすべてが自然なもので、人間が作ったものではありません。常に先の展開が読めない。今の目の前のすべてが「今の現実」で、それはすぐに「過去の現実」となり、次の瞬間、また、「今の現実」を迎える。この繰り返し。
 「犬の遠吠えもそうだな…」。まだまだ暗い窓外の遠くの様子をただ静かに横たわって聴いています。

 こんな時間が大切です。ひとり身を置いてじっとしている、こういう時間が大切です。寄せては返す波の繰り返し、時間の流れを形で見るかのように静かに燃える炎、モーツァルトもバッハも自分の音楽にした雨の音、日が暮れていく時、夜が明けていく時の空。
 それは、死んでしまった人を感じさせてもらえる特殊な時間でもあります。母や父、ヤーちゃんノブちゃん、シスター・ヨハンナ、モトキさん…。今を生きてはいるけれど会えないあの人この人…。
 懐かしさに、恋しさに、鼻の奥がツンとしてきます。

 と、遠くから幽かに聴こえてきました。コーラン。時計で確かめた今の時間、am5:29。

 そう異国にいるのでした。

 日常の暮らしから十数時間移動すれば得られる安らぎが、心や精神の歪みをきちっと元の組み立てに戻してくれる。旅は必要です。

 経産省前テント広場に設置した英語バナー「DON’T  FORGET  FUKUSHIMA」が強制撤去されそうだと緊急メールをもらい憤慨しています。

 福島の国道6号線が3月1日に開通したというニュースにも怒りでいっぱいです。

 書きたいことが伝えたいことが今週もいっぱいです。



 英語バナー、すっかり馴染んで活躍中です。これを勝手に撤去なんかしてほしくない。まして、取り壊しなんて、どうか、しないでください。

小出裕章さん、最後のゼミ

 さかのぼって2月末の話になりますが、京都大学原子炉実験所内で開催されてきた「原子力安全問題ゼミ」について。その第111回目は、3月末で定年退職される小出裕章さんの最後のゼミということで、参加希望者が集中し、昨年末にはすでに予約でいっぱいだったそうです。幸いなことにIWJが中継してくれたので、その全部を見ることができました。

 「熊取六人組」の今中哲二さん司会で進行。

 小出裕章さんの最後の講義は、ここで見られます

 もしあなたがまだIWJ の会員でないとしたら、ぜひ、会員になってください。たくさんの人の支援がなければ、IWJは潰れます。先日、IWJ の岩上安身さんが過労で倒れました。危機、です。本当のことを伝えてくれるIWJを大切にしたいと思います。

 同じく「熊取六人組」で先輩の川野眞治さんのお話も、今中哲二さんのお話も、やさしい気にあふれたもので、やさしい時間が流れていきました。

今中さんと河野さん

 後半で、参加者から素晴らしい発言がありました。

 「私たちみんな、小出さんにおんぶに抱っこはやめましょう。小出さんのお話を聞いた人がそれぞれ『小出さん』になって、自分で考えて、自分のできることをそれぞれがそれぞれの場でしていけばいい…」

 そう仰った方の言葉を聞いていた小出さんのお顔がやさしく微笑んだ瞬間、涙がこぼれそうになりました。

 いつもいつも人の胸を打つ小出裕章さんです。

 4月からは「仙人になります」って。

 事故からのこの4年間、たくさんの人々からの求めに応じて、ご自分の週末や祝日を講演や対談に出かけ、身を削るように過ごしていらした小出さん。退職後、新たな職に就くことはしないそうで、「少しずつ退きたい」、「自分だけしかしない、自分にしかできないこと」をしていきたいと、そう仰ってました。

 そして、3月1日に、成田からインドのニューデリーへ。ニューデリーでの自由な時間にできれば「脱原発」の人と繋がりたいと思って、何方かご存知でしたら教えてとLondon在住の友人ディーン玲子さんとNew York在住のタナカ有美さんにメールしたところ、2時間後になんと同じ人物を紹介されました。Coalition for Nuclear Disarmament and Peace(CNDP)の  Kumar Sundaramさん。
 早速、会ってきました。

 昔から知っている人のように感じてしまう不思議さ。インドの原発事情をたくさん教えてくれました。Kumarさんは、3月9日に来日して、東京・福島・東京・沖縄・東京という滞在予定。もしかすると、3月28日の「フクシマを忘れない! さようなら原発大講演会」@新宿文化センター・大ホールにゲスト参加してくださるかも!

 急ぎ足の報告なので雑駁な書き方、大目にみてやってください。
 ニューデリーからでした。

<お知らせ>

●3月10日に新宿のロストプラスワンで、ジャーナリスト・今西憲之さんとお話しすることになりました。
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/31904

●小出 裕章さんとの対談が載ったラジオフォーラムの本『ラジオは真実を報道できるか 市民が支える「ラジオフォーラム」の挑戦』が発売されました。

 

  

※コメントは承認制です。
第12回 3月はニューデリーで始まりました」 に4件のコメント

  1. magazine9 より:

    今回の原稿は、滞在先のインドから「伝えたいことがたくさんある!」と届いたもの。2月26日、東京地裁は、国の訴えを認めて経産省前テントの撤去と土地の明け渡しを求める判決を出しました。最大で空間放射線量毎時17.3マイクロシーベルトの帰還困難区域を通る国道6号も全面開通。旅から戻った木内さんの目に、あらためて日本の状況はどのように映るのでしょうか。

  2. とろ より:

    木内様
    福島の国道6号線が3月1日に開通したというニュースにも怒りでいっぱいです・・

    ちょっと意味がわからないのですが,インフラが整えられて,福島復興の一助になる手段が整えられたのに,それに対して怒りでいっぱいってどーゆーことでしょう?
    福島は,そのまま陸の孤島であったほうがよいと思われているのでしょうか?

  3. 風の三郎 より:

    木内さん 微熱でもいいので記事をアップしてください。期待して舞ってます。

  4. 木内みどり より:

    風の三郎さま

    こうして書き込みしてくださるのがなにより、励みになります。

    ありがとうございます。

    お元気でいらしてください。

←「マガジン9」トップページへ   このページのアタマへ↑

マガジン9

木内みどり

木内みどり(きうち みどり): 女優。’65年劇団四季に入団。初主演ドラマ「日本の幸福」(’67/NTV)、「安ベエの海」(’69/TBS)、「いちばん星」(’77/NHK)、「看護婦日記」(’83/TBS)など多数出演。映画は、三島由紀夫原作『潮騒』(’71/森谷司郎)、『死の棘』(’90/小栗康平)、『大病人』(’93/伊丹十三)、『陽だまりの彼女』(’14/三木孝浩)、『0.5ミリ』(’14/安藤桃子)など話題作に出演。コミカルなキャラクターから重厚感あふれる役柄まで幅広く演じている。3・11以降、脱原発集会の司会などを引き受け積極的に活動。twitterでも発信中→水野木内みどり@kiuchi_midori

最新10title : 木内みどりの「発熱中!」

Featuring Top 10/40 of 木内みどりの「発熱中!」

マガ9のコンテンツ

カテゴリー