木内みどりの「発熱中!」

映画、テレビ、舞台と幅広く活躍してきた女優の木内みどりさん。
3・11以降は、脱原発についても積極的に活動しています。
脱原発への思いや憲法のこと、政治や社会参加についてなど、
日々の暮らしや活動のなかで感じていること、気になっていることを
「本音」で綴っていただきます。不定期連載でお届けします。

第20回

雨の降る日に、
心に浮かぶいろいろなこと

 『否常識のススメ―成長神話の終わりに』(ライフデザインブックス)という本が出版されました。
 著者は、水野誠一。はい、わたしの夫です。

 この「夫です」という言い方、どう思われますか?
 この1、2年「連れ合い」という言い方をする方が多いように感じているのは、わたしだけでしょうか。
 「連れ合い」「連れ」。わたしは今まで「夫が…」、「主人が…」、または名前で「水野が…」と言ってきました。「相方」という人もいるし、ダーリンを略して「ダー」という方も、伴侶の関係なのに「パパ」と言う人もいます。
 ま、どう言おうがその人の勝手なのは勿論ですが、わたしの場合「連れ合い」を聞いてからはなんとなく「主人が…」というのが居心地悪く感じるようになりました。彼はわたしの「主人」ではないし、いつまでも対等な自立した男と女が並んでる関係でいたいから、もう「主人」と言うのはやめようかと思い始めました。
 が、ですが、「連れ合い」「連れ」は「音」としてちょっと抵抗があって、慣れるまで使えそうにありません。なので、しばらくは「夫」でいこうと思います。
 はい、まったく些細な小さなことなのですが、こういう小さなことを大切に扱わないと前に進めない頑固者のわたしなのであります。

 で、その、「夫」が本を出しました。
 『否常識のススメ』

 「そんなに大量消費が必要か」「そんなに大量の電気が必要か」。今、常識を否定して見つめ直す必要があるのじゃないか。地球が壊れかかっていて日本が戦争する国に転がり落ちようとしている今だからこそ「否常識」を「ススメ」る、そんな内容です。読んでいただけたらうれしいです。

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 さて、雨降りが続く時期には、ショパンの「マズルカ」を聴きたくなります。今年も、ここ数日雨降りが続いているので、聴いています。
 が、去年までと全く違う聴き方をしています。

 Appleが、今年の7月1日に全世界同時にスタートさせた「Apple Music」というサービスをご存知でしょうか? これ、画期的です。
 月額980円で、どの音楽もダウンロードできます。日本の音楽は著作権の問題をクリアするのに時間がかかっているとかいないとか、対象外のものが多いようですが、わたしが聴きたいクラシックや日本以外の音楽は実に充実していますから、「待っていました」とばかりに7月1日その日に会員になりました。
 と言っても、サービス開始の7月1日から3ヶ月間は無料です。無料、なんです。お薦めです。

 ショパンのマズルカ、このApple Musicで検索するとズラリと出てきてくれます。ウラディミール・アシュケナージ、アルトゥール・ルービンシュタイン、ロナルド・スミス、ジャン=マルク・ルイサダ…。そのどれをもが視聴可能。いえ、ダウンロードだって出来てしまうのです。3ヶ月間無料で、です。ですから、今までに世界のどこかで演奏されて市販されてきたマズルカを聴き比べることができるのです。
 うれしくてうれしくて、この数日、聴いて聴いて、聴いています。

 ショパンのマズルカ13番、初めて聴いたのは中学3年の時、親が仲良しの知り合いの家で。わたしはそこの小母さんが大好きでした。どうやらご主人に別の家庭があると知ってしまった小母さんが、その時期、繰り返し聴いてる曲なのでした。でも、曲名も演奏者の名前も、小母さん自身、何も知りませんでした。
 その後、どこかで偶然流れていたこの曲を聴いた時に、ハッと昔の感覚が蘇り、周りの人に訊ね訊ねて、ついにその曲がフレデリック・ショパンのマズルカ13番だと知ったのでした。ショパンのマズルカは51番までありますが、15歳の時に刷り込まれた曲は、13番でした。

 で、今日、聴き比べをしていて知ったのは、わたしが初めて聴いたその時から幾度も幾度も心の中で響かせてきた演奏は、アルトゥール・ルービンシュタインの演奏なのでした。ここで聴けます。

 いかがでしたでしょうか。しとしとと降り止まない雨にとてもよく合います、よね。

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 7月6日は、第14世ダライ・ラマ法王、བསྟན་འཛིན་རྒྱ་མཚོ、80歳のお誕生日でした。

 “Happy Birthday to H.H The Dalai Lama”

 かつて依頼されて「Norbulingka Japan」というグループを創り、運営していた時期があります。
 夫・水野誠一と坂本龍一さんと3人でお金を出し合い、いろんな形でチベットサポートをしていました。法王の妹さんで「Tibetan Children’s Village」の代表、Jetsun Pemaさんをお招きしてイベントを開催。京都への旅行にご一緒したりもしました。
 それがきっかけで、翌年のTCV創立記念日に招待され、インド・ダラムサラの亡命政府まで法王に会いに行ったこともあります。

 来日される度に司会させていただき、その都度お話もさせていただいて、「The Missing Peace」というアート展を主催した時には“my friend”と仰って、抱きしめていただいたこともありました。

 けれど、人がたくさん集まる所ではいつも、いつの間にか派閥ができ、反目しあい、誰かが誰かを中傷したり裏切ったりということが起きていきます。法王に謁見する機会が多くなり、司会をするという目立つことが多かったからか、嫉妬が原因かと思いますが、嫌な想いもするようになりました。
 嫌な想いがうれしい想いを超すようになっていった或る日の或る時、不快な出来事があり、それを機会にわたしのチベットサポートは終了しました。

 以来、「Norbulingka Japan」は解散(坂本さんも水野も忙しくて、実質、動いていたのはわたしでしたので、解散せざるを得ませんでした)。
 ずっと司会をしていたダライ・ラマ法王のお誕生日祝賀会も、毎年、招待いただいているのに、申し訳ないのですが1度も出席したことはありません。

 頑固者は頑な、です。

 心の中のダライ・ラマ法王は呆れた顔で微笑されている…ような気もするのですが。

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 と、こう、書いている今は、7月7日です。
 「戦争法案」どうなるのでしょうか? 不安です。心配です。
 可決されないよう、今、できることを!

 このマガジン9では「日本全国デモ情報」というページがあり、日本全国のデモ情報を集めて載せてくれています。あなたのお住まいになっていらっしゃる地域でも、きっと誰かがデモなり集会なりを企画運営してくれています。どうか、そういう人たちと繋がって「アベ政治を許さない」行動してください。
 この国が「戦争をしない国」のままでいられますように。

 6月27日に行われたSEALDs(Students Emergency Action for Liberal Democracy-s)の「戦争法案に反対するハチ公前アピール街宣」。
 「ミキ」さんのスピーチ、素晴らしいものでした、ね。
 まだ、ご存じない方はこちらをご覧ください。

 わたしもさっそく連絡をとり、メンバーの本間さんと繋がりました。司会を引き受けている9月6日京都での集会、9月23日代々木公園での大規模集会デモ、この2つにもSEALDsに参加してもらい、どういう形にしていくのか相談を始めました。

 お元気でいらしてください。

 

  

※コメントは承認制です。
第20回 雨の降る日に、心に浮かぶいろいろなこと」 に2件のコメント

  1. magazine9 より:

    書籍、音楽、ダライ・ラマ法王の誕生日…と今回は盛りだくさんな内容! でもやはり最後は、気になる「安保法制」のこと。紹介いただいた「日本全国デモ情報」は、実はとても人気のあるコーナーなのです。国会前にはなかなか行けないという方も多いと思います。ぜひお近くのデモ情報をチェックしてみてくださいね。

  2. とろ より:

    主人というと,確かに上下関係を連想させますよね。
    愚妻って言いますけど,愚夫は言わないのと同じかな。

    「そんなに大量消費が必要か」「そんなに大量の電気が必要か」ですか。
    まぁ老い先短い方々にはそうでしょうけど,それを全国民に当てはめるのはやめてほしいですね。
    今生まれた子供達には成長が必要です,大量の消費と大量の安定した電気がこれからの人達には必要です。

    立派なスピーチですね。あれだけ言えるのはたいしたもんだ。

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木内みどり

木内みどり(きうち みどり): 女優。’65年劇団四季に入団。初主演ドラマ「日本の幸福」(’67/NTV)、「安ベエの海」(’69/TBS)、「いちばん星」(’77/NHK)、「看護婦日記」(’83/TBS)など多数出演。映画は、三島由紀夫原作『潮騒』(’71/森谷司郎)、『死の棘』(’90/小栗康平)、『大病人』(’93/伊丹十三)、『陽だまりの彼女』(’14/三木孝浩)、『0.5ミリ』(’14/安藤桃子)など話題作に出演。コミカルなキャラクターから重厚感あふれる役柄まで幅広く演じている。3・11以降、脱原発集会の司会などを引き受け積極的に活動。twitterでも発信中→水野木内みどり@kiuchi_midori

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