マガ9備忘録

沖縄の新聞を開いていると、この地の声を米国に届けようとワシントンを拠点として精力的に活動しているシンクタンク、新外交イニシアティブ(ND)の活動をよく目にする。その事務局長である猿田佐世さんの著書が出版されるのを記念して、26日にトークイベントが開かれる。

NDは、情報発信と政策提言を通じて、日米および東アジア地域において、外交・政治の現場に新たに多様な声を吹き込むシンクタンク。猿田さんはマガ9でレポートした「伊藤塾・明日の法律家講座」に登場されたこともある。米政府・議会へ直接働きかけを行い、政府が伝えない声をワシントンに届けてきた。

10月26日に発売されたその著書『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ』(発行・集英社クリエイティブ、発売・集英社)では、その志とともに、米国にとっては“ワン・オブ・ゼム”の日本の問題をどうアピールするかの苦心が語られる。

このイベントは、白井聡さんによる基調講演と、中島京子さん・猿田さんによる対談の2部構成だ。

白井さんは、対米姿勢に現れる日本の国の在り方について「敗戦の否認にもとづく永続敗戦状態」という構造を指摘するベストセラー『永続敗戦論』の著者として知られる、京都精華大学人文学部専任講師。

中島さんは2010年に『小さいおうち』で第143回直木賞を受賞した作家で、「創られたアメリカ像」に翻弄されることに警鐘を鳴らしている。

沖縄の米軍基地のほか、日米関係に密接に関わっている安保法制、改憲、原発、TPPなどの問題。米大統領選挙の結果も踏まえ、様々なアプローチから解決の糸口を探るという。興味深いトークイベントだ。「屈米」「従米」でない道を探りたい。

(中津十三)

※ このイベントは、星陵会館ホール(東京都千代田区永田町2‐16‐2)で、11月26日(土)18:00開場、18:30開演(20:30終演予定)。参加費一般:2500円/会員・学生:1500円(当日入会可)=先述の『新しい日米外交を切り拓く』1冊つき

 

  

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