こちら編集部

 先週金曜日、上智大学で行われた「24条変えさせないキャンペーン キックオフシンポジウム」に参加してきました。

 緊急事態条項とならび、自民党などが目指す改憲論議の「最初のテーマ」とされるのではないかともいわれる憲法24条。自民党が掲げる改憲草案では、「家族は互いに助け合わなくてはならない」とするなど、個人よりも「家族」の重要性が強調され、戦前の「家制度」復活につながるのでは? とも指摘される内容になっています。
 こうした動きに反対する法律家や研究者らが呼びかけ人として立ち上がった「変えさせないキャンペーン」。シンポジウム会場の広い教室は、200人近い人たちでほぼ満席となりました。

 基調講演では、憲法学者の木村草太さんが、憲法24条の成り立ちと現状について、資料を示しながら解説してくれました。明治憲法には家族についての取り決めはなかったが、旧民法のもとで「結婚には戸主の同意が必要」とされ、家庭の中での女性の地位がきわめて低かったこと。現行の憲法は、そうした状況の中で生まれたものであること…。
 そうした背景を考えれば、24条の条文にある「婚姻は、両性の合意のみに基づいて〜」という文言の趣旨が(一部でいわれるような「同性婚の否定」ではなく)「当事者の合意のみで結婚できる」ところにあること、「合意のみ」の「のみ」を削除した自民党による24条改憲案が、その趣旨に沿っていないことは、自ずから明らかです。

 また後半では、キャンペーンの呼びかけ人やそれに賛同した方々が、それぞれの視点から見た24条の意味や「変えさせてはいけない理由」について発言されました。印象的だったのは、「24条の精神が、十分に活かされているとはいえない」現状への指摘が目立ったことでした。

 たとえば、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さん。
〈介護保険は「介護を社会化する」ためにできたはずが、改正を重ねるうちにどんどん「家族頼み」になってきた。個人の尊厳を掲げる24条の精神は、そうしてずっと「家族」を強調する価値観とせめぎ合いを続けている。自民党案のように明文改憲されたら本当に押し戻されてしまうのでは〉

 弁護士の打越さく良さん。
〈DV事件や虐待事件を数多く扱う中で、こうした事件は自民党などがいうように「家族が崩壊しているから」ではなく、個人の尊厳や平等が実現していない=24条の精神が徹底されていないからこそ起こるものだと感じる。自民党の24条改憲案は、個人に家族を尊重しろと言っているようで、必要なこととベクトルが逆ではないか〉

 フリーライターの大橋由香子さん。
〈「産む産まないは当事者が決める」ということをずっと訴えてきたけれど、現状でさえそれはまったく実現していない。少子化対策が謳われる中、国も自治体も口では「産むかどうかは個人が決めること」と言うけれど、学校の教材などを見ていると「なるべく早く出産を」と誘導する意図が明らか。改憲されてしまったら、さらにどうなるのか〉

 共通するのは、「24条があってさえこの状況なのに、改憲されてしまったらどうなるのか」という危機感です。「変えさせない」と同時に、まだ「変えられていない」この現状で、もっともっと24条の掲げる価値を守り、現実のものにしていく必要性を強く感じさせられました。
 マガ9でも、「Think! No24」と題して、「憲法24条を考える」インタビューシリーズを不定期で掲載しています。今後も、いろいろな分野の方にご登場いただく予定です。一緒に学び、考え、発信していきましょう。(西村リユ)

 

  

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