こちら編集部

 来週から、ジャーナリストでもあり、映画『標的の村』の監督も務められた三上智恵さんの連載コラム『(仮)沖縄辺野古・高江撮影日記』がスタートします。三上さんは現在、まさにギリギリの攻防が続いている緊迫の辺野古と高江のリアルを伝えるため、日々現場に通い、次回作撮影のためにカメラをまわしています。でも、映画完成までには早くても1年はかかる。しかしその間に刻々と事態は動いている、悪い方向へ。早く全国のみんなに伝えなければ! という三上さんの切実な思いをお聞きし、マガジン9も何か協力できることがあればと、今回の連載企画となりました。

 マスメディアが伝えない真実と現実、それらを写真、動画、文章で伝えていきます。来週に先駆け三上さんからメッセージが届きました。みなさん、どうぞ応援をよろしくお願いします!

「座り込んだらダメですよ。道路交通法違反ですよ!」
若い警官の言葉に耳を疑った。
そうか。早速そう来たか。
私は目眩がした。

基地建設の埋め立てが迫る沖縄県北部、名護市辺野古。キャンプシュワブのゲート前では今、連日、基地建設を許すまいと集まった市民が朝から夕方まで抗議の座り込みやデモ行進をつづけている。この動画は、静かに歩道に座っている女性たちに、警察官が「危ないから」といいながら彼女たちの表現行為を制止している場面だ。

本当に住民の安全を大事にしてくれるならありがたい。しかし「座り込みは通行妨害」と言い切る警察官の言説の背景には、オスプレイのヘリパッドが出来ることに反対して座り込んだ東村高江の住民たちを国が「通行妨害」で裁判にかけたスラップ裁判(恫喝目的の裁判)の成果が明らかに反映されている。

先月、この裁判の最高裁判決が出て、日本という国は、座り込みを通行妨害として訴えれば勝てるという恐ろしい社会になってしまった。しかし主要四紙やキー局は、どこもそのニュースを報じなかった。沖縄ではもちろんトップニュースだった。

行政が司法を濫用して、力のない市民の反対の声を封じ込める。小学生で習った三権分立など吹っ飛ぶようなこの手法に対し、主要ジャーナリズムは異議を唱えなかった。従って国民は座りこんだら裁判所に引っ立てられる時代になったことを知らない。知らないから抵抗の声もなく、権力側にとっては最高裁も国民もこの手法を是認したと受け取るだろう。そして早速現場では「座り込んだら通行妨害で訴えられますよ」という脅しが可能になってしまった。

映画『標的の村』の予想外のヒットで、少なくとも「スラップ裁判」という言葉は以前より知られるようになったと思った。力のあるものが弱いものを黙らせる裁判は禁じ手にするべきだという認識も少しは広まったと思いたかった。それはとんでもない勘違いだった。

昨年1月、オスプレイの配備に反対する沖縄のリーダーたちに「非国民」「中国のスパイ」と罵声が浴びせられた。
石破茂大臣は「デモはテロ」だと言い放った。
そして「座り込みは通行妨害」で裁判所行き。であれば、もはや国策に対する自由な議論は不可能ということになる。

先週からキャンプシュワブで続いている水陸両用車の訓練。
サンゴやジュゴンの餌場の上で訓練を繰り返している

国の基地政策はかつてなく乱暴に県民に襲いかかっている。辺野古、高江、両方がこの夏、崖っぷちにある。『標的の村』後の状況をドキュメンタリーとして全国に届けるため、放送局を辞め、フリーになった私はいま毎日現場に立っている。途中経過でもいい、とにかく時間をかけずに来年夏には公開を目指している。
しかし放送ベースで生きて来た私には、半年の撮影は長い。劇場ドキュメンタリーの可能性に希望を持ちつつ、刻一刻と変わる状況も伝えていかなくてはと焦っている。

そこで、マガジン9の紙面をお借りして、日々の進展をお伝えしていこうと思う。来週から連載をしていいと許可をいただいた。
本当に有難いことである。

とりあえず今年いっぱい、辺野古、高江の現場からの報告をお届けします。
どうぞおつきあいください。

2014・7・22 三上智恵

●『標的の村』三上智恵監督新作ドキュメンタリー
『辺野古・高江 沖縄記録映画(仮)』製作応援のお願い
http://okinawakiroku.com/

 

  

※コメントは承認制です。
三上智恵さんの連載コラム『(仮)沖縄辺野古・高江撮影日記』がスタート」 に6件のコメント

  1. […] 影日記連載もスタートします。 ⇒http://www.magazine9.jp/article/editroom/13844/ こちらもあわせてご覧ください。 […]

  2. 平山 秀朋 より:

    貴重な現場からの情報を有難うございます。私は北海道に住んでいますが、これは遠くのことではないと、心から思って、何をすべきか、何ができるか(微力なのですが…)、考え続けています。頑張ってください、なんてうすっぺらなことしか言えませんが、支援の気持ちと敬意をお伝えしたいと思います。

  3. 山野敏之 より:

    辺野古と高江へ,米軍新基地作らせるな‼
    自衛隊派兵反対!

  4. 岩瀬美知子 より:

    情報が得られるのはありがたいです。先日東京での「辺野古への新基地建設反対」集会に参加しました。沖縄

    集会となるといつも私服がうようよですが、今回はさらに多く、駅までの道々にもたむろしていて異常な光景でし

    た。高江のスラップ訴訟で国が勝訴したことと同様「市民運動を委縮させる」狙いだと大いに憤りを感じました。

  5. 小室正範 より:

    陸での「通行妨害」は取り締まられ、海では「辺野古沖2キロ圏」を勝手に通行規制…それってどうなのか?教育現場では、法に定められた「必要な政治教育」を、文科大臣ともあろうものが「妨害」している。憲法上の権利である表現の自由よりも道路交通法が大事という裁判所の天秤を、正しいはかりになおす闘いとも言えますね。北海道でもかつて、自衛隊の演習から牛と農地を守るために自衛隊の通信線を切断した野崎兄弟の恵庭裁判が闘われ、「無罪」が勝ち取られた歴史もあります。遠くからですが、全国のみなさんと一緒に抗議します!(北海道から)

  6. 小沼 紘美 より:

    ありがたいです。事実を広めてくださることで、わたしたちはつながることができます。311で、札幌へ自主避難したものですが、沖縄のことも、ないがしろにしてはならない、と、小さなハチドリの働きを、つなげていきたいと思います。

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