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2013-07-03up

2013参院選を前に~今、私が言いたいこと~

九条が促す「政軍分離」
上野俊一

問 正しいと思うものに○、誤りと思うものに×をつけなさい。

 A ならず者から身を守るために我々は銃を持つ権利がある
 B ならず者国家から身を守るために我が国は軍事力を持つ権利がある

 この問に、あなたはどう答えるだろうか?
 おそらく大多数の日本人はAに×をつける。それは一人一人が武装するより、国民の合意として警察に治安を委託した方が、合理的でより安全であることが、生活実感として分かっているからだろう。それができない米国の殺人事件発生率は日本の5倍(2002年ICPO調査)にもなる。

 それではBはどうか? まったくの相似形なのに×をつけるのをためらう人も多いだろう。それは国際的な治安を委託すべき、世界の合意による警察力が“まだ”無いという不安からだ。

 しかし日本国憲法はBに×をつけた。

 「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。(前文より)」
 「第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 これは「日本国民は、恒久の世界平和実現のために、国家を武装解除する」という宣言。自ら銃を置くことで、世界の合意による安全保障体制構築を促しているのだ。「国の交戦権は、これを認めない」と敢えて加えた一文は、当時のGHQと幣原内閣の思惑はどうあれ、「政軍分離」を現代の世界に訴える力を持つ。

 残念ながら公布から60年以上経っても、世界の警察としての常設国連軍は未だ実現せず、国連安保理もしばしば大国のパワーゲームの場となるありさま。
 その間、日本は条文を読み換えてまで、自衛力を蓄え、日米安保を続けてきた。それを世界の安全保障環境が整うまでの担保とするならば、最低限のエクスキューズは、常設国連軍や国際議会の創設等の早期実現を国際社会に強く働きかけることだが、国連分担金2位の我が国は、それに相応しい努力をしてきただろうか?
 それなしには「諸国民の公正と信義」は得られないし、九条も冷ややかに見られることは間違いない。

 政治が目指すべき事は明らか。
 世界に売り込んで欲しいのは、原発ではなく日本国憲法の精神なのである。

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