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2007-01-17up

誌上対論「国民投票法案」井口秀作×今井一(その1)

井口秀作(いぐち しゅうさく)
1964年生まれ。
一橋大学大学院博士課程満期退学。現在、大東文化大学大学院法務研究科助教授。専攻は憲法学。フランスの国民投票制度を研究。著書に『いまなぜ憲法改正国民投票法なのか』(蒼天社出版)など。主な論文として「国民投票法案」に浮上した新たな問題点『世界』/「国民投票法案」の批判的検討『法律時報』/憲法改正国民投票法案をめぐって『法学セミナー』など。

今井 一(いまい はじめ)
1954年生まれ。ジャーナリスト。
[国民投票/住民投票]情報室事務局長。81年以降ソ連・東欧の現地取材を重ね、89年からはバルト3国、ソ連、ロシアなど民主化の過程で実施された各国の国民投票を現場で見届ける。また、04年、05年にはスイス、フランス、オランダで実施されたさまざまな国民投票を現地取材。96年より日本各地でまき起こった住民投票の現地取材を進める。主な著書に『住民投票』(岩波新書)、『憲法9条」国民投票』(集英社新書)、『「9条」変えるか変えないか―─憲法改正・国民投票のルールブック』(現代人文社/編著)など。

その1 その2 その3

国民投票法案についての議論が、先の臨時国会にて行われ、継続審議となっています。
しかしまだ一般には、馴染みの薄い「国民投票」および、「国民投票法案」です。
そこで、二人の専門家に対論してもらい、国会での論点、
「国民投票」とはどういうものなのか? 必要なのか? などなどを、浮き彫りにしていきます。
長文です。じっくりお読みください。

◆国民投票には、いろいろあります

編集部  お二人は、「国民投票」に関して専門家でいらっしゃいますが、ご著書や国会での発言、各誌に発表なさっている論文などから、相反する意見をお持ちだとお見受けしています。ということで、今日はおおいに意見をぶつけ合っていただきたいのですが、まず、最初にお二人の憲法9条についての、スタンスをお聞きしておきたいと思います。

井口  私は、9条については、個人の意見としては、今は条文を変えることに反対の護憲派ですが、護憲派としてだけ議論しているわけではありません。憲法研究者ですから、国民主権や民主主義の原理からもしゃべっています。

今井  私は、国民投票とか住民投票について発言するときは、国民主権や民主主義の具現化という観点でしゃべっています。9条護憲のためにとか、9条改憲のためにといったことは、一切言いません。

編集部  わかりました。では最初のテーマですが、「国民投票制度」をどう考えるかについて、お聞きします。

今井  日本の場合「憲法改正」については、憲法96条に、改正案を国民投票にかけて国民の承認を経なければならないと記してあります。私は改憲の是非のみならず、いわゆる一般的な案件についても国民投票制度を導入すべきだと考えています。簡単に言えば、イニシアチブ(国民発議)の制度がないというのがおかしい。スイスやイタリアが採用しているような、主権者の一定数の署名が集まったら必ず国民投票にかけなければならないという制度を、憲法を変えて導入すべきだというふうに考えています。地方議会でもそうだし、国会でもそうなんだけども、重要な問題で民意と議会の決定がねじれる場合が多過ぎます。

【第9章 改正】
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

編集部  その“ねじれ”について、何か具体的に挙げてもらえますか。

今井  神戸空港に徳島・吉野川の可動堰、辺野古の基地の問題もそうでね。NHK(02年5月)や朝日新聞(01年5月)の世論調査でも8割を超す人が、「重要な問題については国民投票で決めたい」と答えている。それから、実際に、合併にほとんど限られていますが、この10年間で364件を超す住民投票が各地で行われていて、たいていのところではきちんと勉強し、きちんと議論をして結論を出すということをやっている。日本人がこれ(直接民主制)を活用する素地はもう十分にあると思います。

井口  憲法改正の国民投票については、いいか悪いかと言われたって、今井さんが言われたように、憲法改正の場合に国民投票をやることは決まっているということですね。それは60年前(の憲法制定時)からもう決まっていることです。そういう意味で、憲法改正について国民投票を行うかどうかということについては必ず行わなければならないということになるわけです。その点が、住民投票の場合と違う話になりますね。これは多分あとの議論にも、なると思いますが。
 それから、もう1つの一般的な国民投票制度の検討ですが、この点では今井さんと同じで、僕も積極的に、検討すべきだと思っています。2004年3月4日に、僕は憲法調査会の参考人として呼ばれているんですが、この時の論点が直接民主制だったんです。それで、国会のほうでまとめている資料を読んでみたら、僕が、最終的に結論で言ってるのは、「直接民主制は国民主権の具体化、民主主義の強化に重要な役割を果たす手段ではある。でも、ただ、その1つの手段にすぎない」と。

編集部  民主党案には、一般的な国民投票についての記述が入っていますね。

井口  しかし、憲法改正の国民投票制以上には、目が行かないわけです。もちろん、民主党案の構造の問題もありますよ。趣旨説明は一般法として、国政問題国民投票制で、その特別法として憲法改正国民投票法というふうに言ってるけど・・・。この間の特別委員会でも、僕、民主党に質問しましたけれども、やっぱり一般法としては、もっと検討すべき点があると思います。そういう点は、僕は積極的に議論をしていくべきだと思うんですね。
 ただし、それは、今井さんと違うかもしれませんけれども、今井さんは憲法改正をして、一般的な国民投票もというふうに言いましたよね。僕も、ともかく憲法改正案を作れと言われたら、何かないのかと言われたとき、確かに、国民投票制の導入は1つ言えると思います。しかし、憲法を変えなくてもできることもあるわけです。
 つまり、さっき言った住民投票の場合というのは、地方自治法に住民投票は全く予定されてないわけですね。それを個別に、住民投票条例をつくったり、最近では常設化がありますよね。個別に住民投票条例をつくってやってきたという経験があるわけですよ。とすると、現行憲法下でもできることはあるのではないか。そのことは、この憲法調査会でも、僕は言っています。そういう道もあるということです。

編集部  現憲法を変えなくても、国民投票はできるわけですね。

井口  そうです。それとの関連で憲法調査会で、“憲法改正の呼び水”として直接民主制導入を議論することは、問題外であるというふうに(僕は)言っています。国民投票を皆さんにできるように拡大しますから、(国民投票法案を作りましょう。憲法を変えましょう)と言っているとね。でも、今できることをまず検討するというのは、僕、重要かなというふうに思います。

今井  10年前に書いた『大事なことは国民投票で決めよう!』という本で言ってるんだけど、憲法改正をして法的拘束力のある一般的国民投票制度を導入するというのは、かなり難しい。ただし、諮問型というか法的拘束力がない形でなら現行憲法下でもやれることはやれるんです。スウェーデンやオランダでは、諮問型で原発やEU憲法の批准といった大事なことを決めています。こういうのだと、別に憲法を変えなくても(日本でも)できるわけですね。
 私たちは日本人は国民投票をやったことがないから、慣れるためにステップとして、そういう(諮問型の)期間が10年ぐらいあってもいいと思うんです。でも、最終的には法的拘束力のある国民投票を。イタリアとか、フランスとか、ロシアとか、スイスみたいに、きちんとやらないと。沖縄県の名護とか、徳島とかもそうですよね、結果を出しても、結局、「尊重しましたよ」だけで終わっちゃう可能性がある。だから、最終的にはそこへたどり着かないと。
 それから、もう1つ。冒頭、井口さんも僕も、「96条にもう定めてあるんだから」というふうに言いましたけど、世界の制度の中では、憲法改正について国民投票での承認を求めるところと、議会の議決だけで憲法改正ができるところがあるわけですよね。例えば、ドイツでは各州の憲法改正については州民投票をやりますけれども、ドイツ連邦全体の憲法(基本法)の改正については国民投票を必要としない、議会で3分の2の賛成があったら、基本的には憲法を改正できるわけです。このように国民投票をやらないところは非民主的だとは言いませんが、私は、そういうドイツの制度、ルールよりも、今、私たちが持っている、この憲法96条のルールのほうがいいと思っているし、より民主的ではないかというふうに考えています。議会だけで決めさせない、最終的に国民が承認しないとだめですよという日本のこの制度は、極めていい制度だと僕は思います。

編集部  世界には、憲法改正にあたり、議会だけで決めてしまうところもあるのですね。

井口  その点は、僕自身も、最終的に憲法改正の国民投票を行うという制度自体はいいと思います。ただ僕は、先ほど言った憲法調査会の話で、過大な期待はできないということを言っているんです。フランスでも悪用されるという議論があって、ドイツではヒトラーがやったじゃないかという議論がある。ドイツは明らかに消極的なもので、東西ドイツが統一したときの基本法の改正のときには、議論はかなりなされたけれども、結局は導入されなかったという経緯がありますね。そういう点では少し警戒感があると。フランスの場合は、むしろそういう警戒感を表に出して、逆に、直接民主主義に反対することが、民主主義であるという議論が過去にあったわけです。それだからって直接民主制を全く議論しないというのはおかしいんで、先ほど言ったように、むしろ議論は避けるべきではない。ただし、それに過大な期待はできない、そういうふうに思っているんですね。
 もう1つ、いろいろなところで国民投票があるけれども、やっぱり日本の憲法の国民投票はどういうものかというのは、日本国憲法に即して理解しなければいけないというふうに思うんですね。考えようによっては、確かに国民投票だけ取り出すと民主的かもしれないけれども、プロセス全体を見ると、実は、必ずしも民主的だとは言えない制度かもしれないわけです。
 というのは、もし国会が国民の意思を忠実に反映していたとすると、場合によっては、国民の半分以上の人間がある特定の憲法改正に賛成だとしても、憲法改正の発議には国会で3分の2以上の多数を必要とするから、発議がなされないから国民投票が行われないという可能性があるわけですよね。つまり、3分の1の少数派によって国民投票は阻止できることになり、国民の過半数の望んでいる憲法改正案が発議されないといことになる。だから、ひょっとしたら今井さんの議論とずれるかもしれないけれども、じゃあ、この制度をこのまま残すほうがいいのか、あるいは、96条も改正して、例えば自民党の新憲法草案がそうですが、過半数で(発議)ができるという、(国民投票を)やりやすくするという、それがいいのかというのは、少し議論が分かれるかもしれません。それは先ほど言ったように、とにかく(国民投票を)やればいいということについては、国民投票についても多少の危険や問題が伴うということを自覚しておく必要があるということなんですね。

今井  自民党は新憲法草案の前に、草案のたたき台として改正手続きについて2案出してきたんですよね。1つは、(議会で)3分の2以上が賛成したらもう国民投票は要らないと。もう1つは、今、井口さんも言われたみたいに、半数でも発議できるようにしようと。ただしこれは国民投票で最終決着をつけます。僕は、半数はよくない、ぎりぎりゆずっても5分の3。つまり6割まで。しかし、この6割には条件があって、国民のイニシアチブ(国民発議)の権利を認めるということです。

編集部  国民から発議ができる国民投票ですか?

今井  例えばスイスの場合だと、一定期間内に異議申し立ての署名を集めたら、この法律を無効とするか否かの国民投票になるわけですよね。そういう制度を僕らが持っていたら、たとえ議会がめちゃくちゃなことをしたって、署名さえ集めれば、それをちゃらにするという道が開けるわけです、必ず(否決)できるかどうかはともかくとして。例えば、今回の改正教育基本法をめぐる運動でも効果を出せたわけです。
 (野党が)不信任案を出して時間稼ぎするとか、(市民の)ヒューマンチェーンとか、それがいけないと言ってるんじゃないけども、法的な力から言うと効果はないんです。だから、いくら議会が決めてもこういう決定やこういう法律はだめ、という、それを拒否する力を国民が制度として持たないと、私たちの本当の意味での市民力は発揮できない。

「スイスにおけるイニシアチブによる国民投票」
・国民発議―憲法や法律の制定改廃などについて、連署による10万人以上の請求を条件に発議権を認め、その発議の採否を決すべく行われている国民投票。
・国民表決―議会で採択された憲法や法律の制定改廃案、国際条約などについて、効力を持たせるか否かを決すべく行われる国民投票。
・国民拒否―法律などが効力を発した後、100日以内に連署による5万人以上の国民請求が行われるか、8州の請求があったときに、その効力の停止の是日を問うべく行われる国民投票。

◆国民投票法の中身は真っ当になった?

編集部  次は、今臨時国会でも、ずいぶんと審議が進んだと言われている国民投票法案に関して、個別具体論で話を進めたいと思います。今井さんは、この内容については、比較的真っ当になってきたと考えてるわけですね。

今井  誰にとっても100点満点なんてあり得ないんですよ。僕は、全員が90点ぐらいだったら、もう上出来だと思う。この間、さまざまな団体や個人が声を上げました。井口さんもこの前、(憲法調査特別委員会の小委員会へ)参考人として出席されました。このように、みんながおかしな点を指摘したことによって、3年前まで改憲議連案(憲法調査推進議連案)なんて合理性に欠ける案だったのが、それが徐々に段階を踏んで、どんどんまともになっていき、全体としてはもう世界各国のルールと比べて相当まともなものになってきたというふうに思っています。

編集部  井口さんはこの点について、どうですか。

井口  100点満点は、僕もあり得ないと思います。でも、やっぱり研究者だから、どうしてもだめなところはだめと言う問題点を指摘することが、実際の運用に対して影響力を持つというふうに思っていますから、修正協議で何しようが、穴を見つけるという、そういう立場でしょうね。
 ただ、今井さんの話で──こういうのは反則かもしれません。ことし(06年)の1月に今井さんからもらった、年賀状があって、そのときに、何て書いてあるかというと、「井口さんの予言に反し、かなり真っ当な法案ができつつあります」と。これは、1年前にそう判断していたという、1年前って3党合意があった直後ぐらいだと思うんですよね。僕の予測だと、つまり3党合意が出たことによって、議連案、与党案、骨子の流れがあって、そこに民主党案が加わることによって、多分、真っ当なものだという、そういうニュアンスだったと思うんです。

今井  民主党の主張が私たちが作った「市民案」に近づいてきたという意味でね。

編集部  今井さんは当時から、すでにもう「真っ当だ」と言い続けていたというわけですね。

今井  いやいや、僕は今でもこの発言を訂正する気はない。01年11月の改憲議連案に比べたら、06年の1月の各党案はかなり真っ当なものになっていたと思います。

井口  そうすると、そこから真っ当だと判断しても、まだ真っ当になったと、1年間で。ということは、まだ指摘していくことによって真っ当になるわけですね?

今井  だって、(臨時国会閉会前の)この3週間だけで考えても、おそらくこの1年間よりもっとすごく真っ当になったと思いますよ。

「国民投票法案」について変更が施され
与党内で合意された主な項目

(2006年12月25日現在)
1
投票方式
関連するテーマごとに「個別投票」
2
国会発議から投票までの期間
「60日〜180日」
3
投票権者
本則18歳以上、附則で3年間の経過措置を設ける。
4
公務員の政治活動規制
政治活動の禁止等に関する規定については、適用除外の条文を設ける。
5
公務員等・教育者の地位利用
地位利用の要件を厳格化する。違反した場合の罰則も設けない。
6
スポットCMの禁止期間
投票期日前14日間とする。
7
報道規制
虚偽報道に対する罰則規定などを設けない。

井口  それが、僕なんかが見て、果たしてこの法案審議の仕方でよかったんだろうかと思います。一番最後にどどどどどっと(修正協議がなされた)。こういうことがね。僕なんか、ひょっとしたら(与党と民主党の)2つの法案が出てきたのは、やらせじゃないかというふうに、最初から大体のところはできていたのではないかと、ちょっと思いたくなる。
 それから、ここで言うのがいいか、どうかわからないんですけど、今、やっぱり一定程度に真っ当な方向に行くという議論が出てきたということの意味が、僕は大事だと思っていて。つまり、もともとあって当たり前の法律で、無いことについて立法不作為という言葉が使われるときがあります。60年前につくっとけばよかったんだという議論がありますよね。でも60年前であれば、ほとんど何の議論もナシでつくられてますよ、間違いなく。議連案のレベルですっと通ってますよ。その点で、僕は議論が活発になっていくこと自体はいいことだというふうに思っているんですね。
 だから枝野さんが、これ(国民投票法案についての議論する)、ぎりぎりのタイミングなんだということを強調しますよね、今つくらないと(改憲の中身の議論が公正な手続法の制定を阻害するという。僕は逆に、改憲の中身が煮詰まっていけばいくほど、国民の関心がもっと強くなってきて、(改憲派の思い通りに)議論しづらくなってくると。僕は、そういう意味のぎりぎりだと裏読みをしているんですね。

今井  こういう例があります。愛知県高浜市で日本で最初の常設型住民投票条例ができたときは、自民党から共産党まで全会一致で決まったんですよね。森貞述市長に会いに行って、「住民投票条例を制定するといったって、署名を5割集めようが、6割集めようが、どこでも全部拒否している。何で愛知県高浜市では全会一致だったんですか」と聞いたら、「今井さん、岐阜県御嵩町では産廃施設という争点があったけども、うちには今、争点がない。だから全会一致でできたんだ。空港の問題とかダムの問題、あるいは産廃処理施設の問題とか、争点がもし目の前にあったら、絶対にどちらかのグループが反対していた」と言われたんですよね。
 例えば岩国市もそうですよ。岩国でああやって住民投票ができたのは、常設型住民投票条例を事前に制定してあったから。これがなったから、「よし、艦載機移転問題は住民投票で決めたい」と言っても、議会は絶対に反対しましたし、条例制定はできなかったでしょう。3年前、何ももめていないときに作っといたのでよかった。だから、私は枝野さんの言うことも一理あると思う。

◆投票方式は、個別か一括か

編集部  さて、ではいよいよ個別の問題に入りたいと思います。まず、投票方式ですが、一括か個別かということについて。よく言われるのが、与党案の国民投票法案は、環境権と9条とを一緒くたにして、「賛成ですか、反対ですか」と聞いてくるような、悪法だという心配があるわけですが・・・。今、現状、どうなっているのでしょうか?

井口  一括か個別かという点では、民意の反映という点では、個別でやるべきだという原則は、簡単に言えます。議連案はちょっと微妙な言い方で、与党案の骨子のときには、個別の法律でやるということを言ってましたが、あれは明らかに憲法違反だと思います、それがなくなって、原則が確立されたということです。
 その点ではいいんですけど、「内容によって関連する事項ごとに区分する」という、この言葉の持っている意味は、ひっかかっています。法案の条文では、「内容において関連する事項ごとに区分」しなければならないのは、憲法改正原案を国会に提出する場合です。つまり、手続の一番最初、国会法で言う発議ですね、原案の提出のレベルで要求しているところが、少し気になります。本来ならば、国会が国民に提案するときに、つまり、国会の発議手続の最後にこそ、「内容において関連する事項ごとに区分する」ということが要求されているのではないかと思います。でも、僕自身も論文でも、最初に要求される「内容において関連する事項ごとに区分する」というのが最後の国民への提案まで行くんだろうという趣旨だというふうに、書いています。

編集部  では、現状では議論が進み、一括で発議されることはないと。例えば環境権と9条とを一緒に問うことは、さすがにもうできないんだという理解でいいんですね。

今井  それはあり得ない。そんなことをしたら、だれも投票に行かない。

編集部  では「関連する事項」というのは?

今井  例えば、前文と9条とかね。

編集部  それは、だれが決めるんですか。

今井  関連するかしないかは、新設される憲法審査会が決めるんです。

井口  正確に言うと、それは、国会の最終的な発議で決まるというふうなことになりますよね。つまりレベルは、あくまでも法案の提出のところで言っているわけだから、最終的には、発議のところで、国会の3分の2でそれは決めるということですよね。という理解だと思います。

今井  環境権やプライバシーの権利の新しい創設。これも改憲と言えば改憲なんだけども、それと9条とを一緒くたにして、3つの問題を答えるのに回答欄は1つということは、それはあり得ない。あり得ないけども、井口さんが言ってるのは、それよりもうちょっと細かくて高度な問題のことでしょう?

井口  国民投票派というか、そういう人たちというのは、特に、憲法9条改正論最悪論というのがあるわけですよ。これまで、ともかく憲法9条は目茶苦茶にされてきた。その延長の憲法9条改正論は最悪だ。プライバシーの権利や環境権を付け加えるような改憲論ならいいけれど、そのような改憲案は、憲法9条の改正案から目をそらすための飾りに過ぎない。ともかく、改憲論の狙いは9条であって、それはよくない、といった議論です。9条以外の改憲論については、ある意味で寛容であるけれど、憲法9条の改憲ってよくないと。だからこそ、9条の改正だけは何としても阻止しなくてはならないとなる。
 本当は、プライバシー権をつけ加える、環境権を加えるとかというのも怪しい感じがしますけども。とにかく、じゃあ、これと憲法9条だけは切り離してくれそうだから、9条改正案については国民投票をやって否決すればいいという、こういう感じがするんですね。憲法9条改正論最悪論というのは。でも、9条の中でも、改正の中身は分かれるという議論を僕は展開しているんですね。

◆9条改憲の是非を問うというのは
単純なことじゃない

井口  大事なことは、9条改憲論って、みんな一言で言うけども、9条の改憲論をとったって本当にたくさんあるわけです。1つは、自衛のための戦力・戦争を認めるという初期の段階の改憲論ですよね、これが1つですよね。
 もう1つは、自衛のための戦力であっても、集団的自衛権を認めるというのが二つ目ですよね。
 もう1つは、日本のためだけじゃなくて世界のためにも使いましょうという、そういう改憲論がありますよね。そこにはやっぱり違いがあるはずですよね。
 それをどういう問い方をするのかということについて。でも、国民投票にかけられる改正案って1つしかないわけです。だから、それを今は自衛のための戦力も一応ないということになっているから、これを自衛のための戦力として認める、2項を改正する。プラス集団的自衛権も認めるというワンセットで来ると、集団的自衛権は反対だけど、でも、やっぱり自衛隊はどう考えても戦力なんだから、これは認めたほうがいいじゃないかという人たちにとっては、ちゃんと意思が表明できない、困るということなんですね。その場合、やむを得ず反対を投票する、やむを得ず賛成をするということになる。どっちにしろ不本意なということになるんですね。
 だけど、憲法改正の国民投票って、民意をそのまま反映させるというよりも、国会が発議した改正案に賛成か反対かが問われる。そういうものなんですね。だからこそ問いかけの仕方が重要であるということなんです。

編集部  そうすると井口さんは、9条改正についても、軍隊としての戦力は認めるよという項目と、集団的自衛権は認めるよという項目も、それも個別で本来なら投票できるようにしなくちゃいけないと。

井口  僕の立場はそうなんですね。これは、(憲法調査)特別委員会でも言いましたけど、結局、今の憲法の議論の仕方が少しおかしな議論の仕方をしているからそうなってしまうけど、本来は何か具体的な問題があって、だから、憲法を改正しましょうということになるはずなんですね。何が問題かによって、1つの改正案が出てくるということになるはずなんですよ。
 例えば、自衛隊があるのに戦力を持たないなんていう規定はおかしいじゃないかという問題が1つあって、それに対する改正案が1個出てくる。それだけじゃなくて、日本だけ守ったって、日本だけというのはよくないでしょう、やっぱりアメリカと一緒にこういうことをやりましょうと。それで案が出てくる。あるいは、アメリカと一緒になってやるのはよくないけど、国連のもとではやったほうがいいんじゃないかという案が1つ出てくる。そういう問題があって、改正案が出てきて、それに対して国民はどう判断するか? ということだと思うんですね。

編集部  なるほど。9条改定といったって、集団的自衛権はだめだけど、自衛隊を持つのは賛成という人だって確かにいると思うんですよ。だけど、そういう細かい選択は国民投票では、投票できないじゃないかという、ここは今井さん、どうですか。

今井  例えばさっき井口さんがおっしゃったみたいに、一番初期の、一番基本的な9条改正案を出したとしましょう。交戦権を認める、自衛隊は自衛軍にする、集団的自衛権の行使も認めるというふうに、それを全部書いて、これ全部を対象として1つだけマルしてくれ、あるいは、バツを付けてくれということだとしましょうよね。それでも、いろいろな問題はあると思うんですよ。じゃあ、改正案が通ったら、あるいは通らなかったらどうなるんだということが、具体的には、投票用紙や設問には何も書かれていないわけですよね、。
 例えばこれ、この前、スイスに取材に行ったときの設問で、高速道路の問題、賃借り法の問題、最後は性犯罪者。特に凶暴な性犯罪者を外に出さないという、国民からのイニシアチブ(国民発議)でした。投票用紙にはこれだけしか書けないわけですよ。
 それは、日本の憲法9条の場合も同じこと。だったらどうするのかというと、スイスの場合はこれに対応する解説集があるんですね。日本の場合、こういう文書は憲法審査会が出すのか、どこが出すのかわかりませんけども、スイスの場合は議会が出すわけです。ここには細かいことが書いてあって、原案では、罪を犯したその人が矯正されたかどうかの鑑定人は1人なのね、市民案では最低2人、その2人もまた別の大学の出身者、別の地域の出生の人でなければいけないと。その2人が認めたら、矯正されるというふうに考えてもいいというふうに。

編集部  そこまで具体的に書いてあるわけですね。

今井  とても細かい。そういう細かいことを提示して約束しないと投票できないですよ。だって、集団的自衛権を認めるってどういうこと?自衛隊が自衛軍になるってどういうこと?イラク戦争の場合だったらどうなのか、ベトナム戦争の場合だったらどうなの、アフガンのときは?というようなことを細かく明示してくれないと、投票できないですよね。
 例えば、この前フランスで行なわれた国民投票、EU憲法の批准を認めたらどうなるのかということは、いろいろな評論家がいろいろなことを言うけども、個々の投票権者が勝手にイメージする場合があるわけですよね。バラ色のフランスを想像する人もいたら、自分の失業を想像する人もいるわけです。だから、日本の9条の場合だって、それが改憲されたら自衛隊がどうなるのかについて、10人いたら10人ともイメージが違うはずなんですよ。だから、そのことについてできるだけ具体的に発議者の側が明示をして、それで、それに反対する側のほうもそこを突っ込むということを、事前に発議の前にやってもらわないと。

井口  今のは、ちょっと論点がずれていると思う。広報とか、そういう話ですよね。

今井  これは、広報ではなく(発議の際の)お約束の類なんです。広報というのは、知らせるということですよね。これはそうじゃなくて、この憲法がこう改正されたら、例えばイラクの特措法はこうなります、自衛隊法のここはこう変わります、あるいは井口さんがおっしゃったみたいに、9条改憲案が否決されたら現状なんだよということかもしれない。じゃあ、9条を改憲したら、自衛隊のどこがどう変わって、何がどう変わるのか、それを具体的に明示するというのは、これは広報のことじゃなくて、改正された憲法に対応する法律にかかわることだと思うのね。憲法が変わったら、それに伴ってこれだけの法律がこのように変わるというのを明示しないと。

井口  多分、これは僕と今井さんが一番違うところで、その約束の問題は後で議論することになるでしょうが・・・。僕の議論だと、この9条1項で約束を、この2項で約束を、3項で約束をということになる。

編集部  9条を問う国民投票だとしても、それぞれにマルバツをつけられるような投票方法だったらどうかという意見はどうですか。そこまでは無理だよということになりますか。

今井  それは井口さん、無理じゃないですか?

井口  改正案として、やっぱり2項改正案と3項改正案というのは、抽象的な議論でいったら、これ、差はありますよ。だって、もともと初期の改憲論って、9条2項を改正して自衛のための戦力を認めるという改正案ですよ。でも、海外には出さないからいいだろうという議論だったわけですよね。それは、何十年も前の議論ですね。今は、むしろ3項をつけ加えて、国際的な活動をしろということでしょう。僕はここには大きな溝があると思うんですよね。だから、あくまでも特定の状況を考えないで、一般的に国民投票法って考えるんだというふうにしたら、そこまで考えなきゃいけないというふうに思うんですね。ただ、現実で可能かどうかじゃなく、じゃあ、1つはこういうのだったらどうするんだということだと思う。

今井  それなら例の公明党の「加憲」はどうですか。とにかく憲法で自衛隊の存在を認めようと。その上で、海外派兵は認めないという案ならどうかな。

井口  それは、加憲の部分が内容によって関連するということですけど、変えない部分と離さなきゃいけないから、当然それは1つで問われることになりますよね。

今井  そうですね。だから、以前民主党の枝野さんに言ったことがあるの。日本の場合は、憲法改正案を出して、1つにまとめて、それを発議しないと国民投票に問えないわけだけど、3つぐらい案をつくって、国会議員が、自分は1案支持だけども、2案も3案も全部賛成して、つまり3つの案を発議して国民に選択してもらうというような方式はどうかと。枝野さんは考えられなくはないが現実的には難しいと言ってましたが、それをやるとしたら、公明党が盛んに言ってる予備投票だったらできるのかな、諮問型で。

井口  それは、この間、僕が行った憲法調査特別委員会で議論になったところで、多分、公明党の意を受けたかどうかわからないんですが、慶応大の小林節先生がそれを言ってました。ただ、僕はその予備的国民投票がA案、B案、C案という形で問うんだったら、あんまり意味がないということを言ったんですよね。「国民はD案とかを望んでいるかもしれないし、全然違う論点で憲法改正を望んでいるかもしれないから、A案、B案、C案で、A案が多かったからといって、みんなA案を国民は信じているんだというふうになるのはおかしい」と言ったら、小林節さんは「そんなばかなことじゃないんだ」というふうに言って、「むしろ、日本国憲法のどこを改正してほしいのかと聞くのが、僕が言ってる予備的国民投票だ」というふうに言ってたんですね。それもおかしいと僕は思うんですね。だから、憲法9条を変えたいという人だって、どういうふうに変えたいかというのは多様なわけですよね。

◆自衛隊をどうするのか

今井  それで言えば、本質的な話になるけども、護憲派のほうがはっきりしないといけないところが大分あると思うんですよ。例えば、よく共産党の笠井議員が言われるのは、「憲法は変えたほうがいい」と答える人は確かに6割を超してるけども、9条については逆なんだ。「変えないほうがいい」という人が6割を超している、そこを間違っちゃいけないというふうに言うわけですよね。
 問題はその6割の中身で、これを吟味する必要があると思うんです。以前は、護憲派というのは、自衛隊の存在を認めない人たちのことだったんですよ。70年代、高校生のとき、僕はホームルーム委員をやっていて自衛隊の問題を出したらクラスのみんなが、「自衛隊をなくしたら災害のときどうするんや」と言って突っ込まれました。「自衛隊じゃなくて災害救助隊にすればいいじゃないか」と言ってやり返したことを今でも覚えています。
 とにかく、当時は、護憲派というのは、自衛隊の存在を認めない人のことだった。でも今、世論調査で「9条をまもったほうがいい」と答える人の半数以上は間違いなく自衛隊の存在を認めている。今や「自衛隊をなくせ」という人は、いわゆる9条護憲派の中でも少数だと思います。護憲派にはまずこの論点を整理してほしい。

編集部  護憲派は、自衛隊をなくすべきと考えるのか否か、それをちゃんと言わないといけないわけですか。

今井  そう。それを一体どうするのか。まず、国民投票で勝負をするときになったら、護憲派は改憲派が出してくる9条改正案に対して、それと違うビジョンを訴えるわけですよね、こうあるべしという世界観とか、人生観、価値観を。そのときに、自衛隊は認めようというのか、それとも、1946年の憲法制定当時の精神に戻ろうということでやるのか、その議論を護憲派内できちんとやってほしい。なぜそんなことを言うのかといえば、9条改憲派といっても、今、いろいろな考え方がありますよ。でも、憲法96条の規定が触媒になって、彼らは最後は、必ず1つになるんですよ、明文改憲をやろうとしたらね1つにならないと改正の発議ができないから。
 でも、護憲派のほうはそうじゃないですよね、相当意識的に何か努力していかない限り、1つになってやれない。自衛隊をどうするか一つとってもばらばらなままでは・・。
 僕は、この18年間住民投票とか国民投票の現場をいくつも見ているからわかるんだけど、結局、土俵に上がったときに1対1で力を結集しないといい勝負にならない、勝てないですよ。それが、相手はプロの相撲取りなのに、こっちは小学生みたいなのが5人ぐらい寄ったって、5人いたから勝てるかといったら、やっぱり勝てないんですよね。だから、早いこと一まとまりになるためには、護憲派内でそういう議論をまとめる必要があるというふうに思います。でないと、質の高い国民投票になりません。

◆是非を問うなんてあり得るの?

編集部  一括・個別のことで言うと、もう一つ気になるのは、全面改正の場合です。全面改正となると、さすがに1個ずつ個別には、聞けないだろう、というので何となくみんな了解してしまうところがあるんですけど、そういう場合はどうなるのでしょうか?

井口  僕は、全面改正をそもそも認めていないという立場ですが、論理的に言ったら、全面改正を内容において関連する事項ごとに区分してということはあり得ます。けど、ある意味では全面改正の場合には、個別というのはあり得ないというふうに思っているんですね。意に反してですけど。 自民党の新憲法草案もそうだし、民主党の憲法提言も、全面改正を志向するものです。日本国憲法を基本的に全部見直して、先ほど言ったように論点が1つなんですよ。だから、そうなってくると、先ほど言ったような9条と何かを切り離すという議論はどこか飛んでしまうんですよね。
 そこがやっぱり気になっていて、「内容において関連する事項ごとに区分する」というのは全面改正のことも考えているのだろうと思います。全面改正案は全体で関連しているんだからということの、道は開いている。もし本当に厳密に、例えば、条文ごととかといった場合には、全面改正の場合、必ず条文ごとにしなければいけないとか、そうなってないところが、僕は法律の仕組みだと思うんですね。

今井  まずあり得ないと思うけども、もし全面改正の発議があったとしましょう。例えば9条単独で来週投票だったら相当いい勝負になると思うけども、あの自民党の新憲法草案、全面改正の是非を問うて、これに賛成する国民が多数いるとは思えない。

井口  でも、そこは人によって評価が分かれますね。だから、両方を戦略として組んでいるんだという評価ですよね。その両方で行ける条文のつくりになっていると。

◆メディアにかかわるルールをどうするのか

編集部  次が、一番よくわからないところなのですが、メディア規制に関する論議です。発議されたあとの国民投票運動における、テレビのスポットCMについて、国会でも護憲派でも意見が分かれていますよね。7日前から禁止や、2週間前、発議以降は全面禁止だなど。今現在どうなっているのでしょうか?

今井  まず、一般的な有料広告について。企業とか、団体とか、個々人が自由にお金を出してスポットを流す、CMを流すということについて言えば、当初の与野党案は7日前から禁止でした。それが急に全面禁止という案が出てきて、今、一番有力なのは、期日前投票の日からつまり14日前から禁止。多分、そこに落ちつくと思います。
 国が放送枠を買い取るなどして流す無料枠については、改憲派と護憲派が同量、同条件で、今のところは、一応可能性としては、前日までPRできるということになっています。
 でも、僕はこれには反対で、衆議院で参考人として発言したときにも触れたんだけど、無料枠にせよ、14日前からやらないほうがいいと思ってます。テレビのスポットなんて、どう考えたって、有権者の理性に訴えるものじゃないと思うから。国の、今やっている政見放送みたいなものであっても、どんなに譲っても72時間前からは禁止してほしい。フランスもそうだし。

編集部  イメージとして、ちょっとわからないのですが、無料枠のテレビのスポットCMって、今、選挙で流れているような、政党の党首が出てきて、「頑固に平和を守る」とか。ああいうものだと思っていいわけですか。

今井  そうそう、ああいうものです。

編集部  有料のほうは、経団連が流すわ、企業が流すわみたいな、そういうものになるわけですね。

今井  今まで住民投票で唯一有料のCMスポットが流れた例がある、それは新潟県巻町。10年前、これは東北電力が流したのか、電気事業連合会が流したのかわからないけども、中身は、日本のエネルギーは原子力によって支えられていますといったメッセージで、篠沢教授とか、元オリンピックのフィギュアの選手だった渡部絵美、それから元広島カープの衣笠祥雄。そういう人たちが出てきてやったのね。完全なイメージですよ。15秒スポット。

編集部  それは、住民投票に賛成って入れてくださいとかは言わないの?

今井  言わない。

編集部  言わないで、原発で支えられてますねっていうので終わり?

今井  そうです。

編集部  なるほど。そういうようなのが流れると思っていいわけですね。井口さんも、『世界』で書いていましたが、たかが7日前、14日前に禁止したところで本当に効力があるのかと。資金を持ってる側が、それまで大量に流して、たかだか1週間前にやめたぐらいで、いいのかということを。その辺は、今井さんと考え方が一致されているのでしょうか。

井口  一致しているように見えてちょっと違うと思う(笑)つまり7日切り捨ての意味は何だと考えるのか、逆にそれまでは自由なのかっていうことです。メディアの表現の自由の問題だとすると、何で7日前からだめなんだ、っていう議論になるだろうし。

今井  では、ずっと自由にしろと。

井口  という議論になりますよね。

編集部  そういう意見は護憲派内でも多いですね。

井口  そこは、僕、メディア、特にテレビだと思いますけど、そこの議論、特に去年の郵政選挙のことから、みんなテレビの影響がものすごく大きいんじゃないかということを懸念しているんですね。
 僕自身は、そこの評価はものすごく難しいと思っていて。1つは、今言ったように、7日前にやめたって、それまでやっているんだから別に、効果ないのではないかというのはありますね。

今井  (投票運動期間の)2カ月と3週の間は、ずっとできるじゃないかと。

井口  もう1つは、その7日間でも実質的な規制がかかるかっていう問題もあるんですよね。というのは、さっき言った選挙の前にやっている政党のCMは、選挙運動じゃなくて、一般の政治運動としてやっているわけですね。国民投票法の定義からしたら、投票を勧誘しなければいいわけでしょう。そういう点は、多分かからないし罰則はもともとないしということになると、実は7日間もこれは禁止になっていないんじゃないかという。そういうところだって、僕は非常に微妙だと思っているんです。
 ただ、あまり憲法学者が「規制しろ」と言いづらい立場ではあるんですよね。

編集部  護憲派の中でも、メディアを語る専門家は立場的に、「政府が規制しろ」と言いにくいからというのがあるようです。「表現の自由」に縛られちゃって「反対」と言っている人は多いようです。

井口  そうですね。僕自身は、やっぱりテレビの影響力という点では、スポットCMみたいなものの影響力が1つはお金で変わる点であれば、規制することもあり得る手段だというふうに思っているんですね。

編集部  それは、法的にちゃんと規制するわけですね。

井口  そうですね。ただ僕自身は、本来の立場は、自由にしてもいいんだけれども、要するに片方で自由があって、片方で情報の多元化、意見の多元化というものを図らないといけないということでしょうね。選挙だと、ほっといたって候補者がいっぱいいるし、政党が幾つもあり、テレビに出てくるから多様な意見が出てくる。ところが国民投票の場合、1つの案に対して賛成、反対の2つに分かれることになって、ステレオタイプな議論になってしまう。これ、前回の衆議院の選挙は、基本的に僕はそうだったと思うんですよ。郵政のところがね。
 だからそういう点では、もし自由にするんであれば、だからこそ意見の表明の多元化を図るような、僕は助成というふうに言っていますが、無料の広告枠って、本当はそういう機能を果たすべきです。

編集部  多元化というのと、改憲、護憲、平等に、同じ分量にというのは同じような考えでいいんですか?

井口  それに近いものだというふうに思います。

編集部  そうすると、規制をしないんだったらちゃんと同じように流れるように。改憲ばっかり、護憲ばっかりが流れるようなことはやらないように。

井口  ということですよね。

編集部  それを法で決めるんですね。

井口  はい。僕自身は、無料の広告枠と有料のものと、基本的にワンセットだと思っています。そこを切り離して、「無料枠は改憲賛成、護憲、平等ですよ」と言われてもまるで意味ないと思うんですね。つまり、有料の枠が100としますよね。それに対して無料の枠が10ぐらいだと、10の中で5対5にしたって、ここでもう勝負はつくわけですよ。そうすると、総量的に100対100で片方の無料の枠を50にするという。お金で全部100取られたとしても、150対50ぐらいになる。そうすると、この割合が問題だと思うんですね。それをなるべく、せめて有料でやる自由なところの部分を、ある総量規制をやって、それに対して少なくとも無料の広告枠については意見の多元化になるように、それと等しく、あるいはそれより大きくという形で多様な意見が流れるような形のほうが、僕はいいと思います。

編集部  期間のことはどうですか。これは今井さんがよくスイスの例を出されますが、洗脳するような、イメージに訴えるものだからよくないというところで、1週間前、せめて2週間前は禁止というのが今の意見ですね。

井口  それは僕もわかりますけどね。ただ、その場合でも、僕はあまり期間にこだわりがないんですね。多分、発議後、全部禁止ということは、発議前はばんばんやるということでしょう。

編集部  発議前から議論が盛り上がっているわけですからね。

井口  ということでしょう。長ければ長いほど、さっき言ったような、直接での国民投票運動の定義にかからないような形のCMが出てくる可能性があるという。実を言うともう1つ、後の話になるかもしれませんけど、広報の問題ですね。それもワンセットで考えるべきだと思うんですね。
 極端なことを言うと、調査特別委員会で全会一致だったらどうなるんだという質問。こういうときは無料の枠はないのかというふうに聞いたんですね。
 1つ、僕が考えたのは反比例だと。でも、これはどうも理屈に合わない。本当は、多分後の今井さんの議論の中心だと僕は思っていますけど、発議のときに約束をするという議論がありますね。僕、国会の改憲に賛成した会派には、これは広告枠を与えることはおかしいという感じで思っているんです。それらの意見が好き勝手に言われることが一番困るわけですよね。今井さんが一番恐れているのは、この9条改正案について、自民党は「集団的自衛権だ」と言う。民主党は、「いや、これは違う、集団的自衛権ではない」と言う。公明党は、「これは国連指揮下でやるだけだ」と言う。こういうことになるのがだめだということでしょう。それで発議のところのことについては意見をまとめて、それこそ、僕は広報に書けばいいと思って。それで、さっきの意見の多様性というのは、それに対して国民に対して反対の材料を提供するわけだから、そのために無料の広告枠を提供するという。

編集部  今井さん、どうですか。今、幾つか問題が出ましたけど。

今井  与党案の最新は、スポットCMについては、投票期日前14日間は禁止とすると。それから、さっき井口さんがおっしゃっていた点で言えば、メディアの意見広告の条件に関する配慮というのがあって、これは、「一般放送事業者等及び新聞社は、国民投票運動のための広告を放送し、または掲載するに当たって、料金その他の条件について憲法改正案に対する賛成の広告または反対の広告のいずれであっても、同等のものとするよう配慮するものとする」というふうに、取り扱いの平等を法文上明確化すると。「配慮規定の新設」ということを足すという案ですね。
 そのことによって、さっき先生がおっしゃったみたいに、無料が10で有料が90としたら、90が45対45になるように事業者に配慮しろと言っているんだけれども、これまでの参考人としての発言などを聞いていると、事業者側は「余計なことを言うな。配慮とか規制とか一切要らない。こっちは、放送法などを遵守しながらきちんとやらせてもらう」ということですね。
 それで、さっき井口さんがおっしゃったみたいに、この問題は本当に日本の民主主義のありよう、言論・表現の自由と民主主義ということを考えたときに、本質的な問題なんですよ。みんな悩んでいる。法規制しないほうがいいに決まっているわけ。権力がメディアにこうしろ、ああしろなんて法律で規制することなどないほうがいいに決まっているんです。それはそうなんだけれども、法規制をしなくて事業者側が、さっきの井口さんの話で言えば90を45対45にしないで、80対10にしちゃった。その責任をだれが負うのかと。そういうことになったときに、それは改憲派が8であれ護憲派が8であれ、だれがその責任をとるんですかと。
 あなたは、法規制を選ぶのか、それともそういう不公平なスポットCMのありようを甘受するのか、どっちですかと言われたら、僕は、法規制をとります。なぜならめちゃめちゃな国民投票にしたくないから。
 ただし、どう考えたってこれはジャーナリストの側から提案すべきこと。今、国会で(参考人として)いろいろ言ってるのは、民間放送連盟という事業者、企業の連合体の役員ですよ。
 だれよりもまずこれを生業としている私たち個々のジャーナリストがどうあるべきか、どうするというふうなことを、ちゃんと国会にきつく提案すべきです。しかし、結局のところ、ジャーナリストの側が何か具体的な案を作って国会に対して提案したり、要請したことなんか1度もない。だから、今度シンポジウムを開いて、それをやろうと思っているんですけどね。
 もう1回まとめて言うと、とにかく法規制は避けたい。避けたいけれども、野放しも嫌なのです。

編集部  いわゆる護憲派の人たちのほうが、やっぱり表現の自由だ、規制はよくない、一切だめだというのが多いようですが、規制が全くなくなれば、お金をいっぱい持っている改憲派の側の経団連などからばんばん流されるのではないでしょうか。それでも、表現の自由とか何とかということで守らなくちゃいけないのかなって、正直思います。

井口  それはわかります。比較的そういうふうに、やっぱりお金で左右されるじゃないかっていう批判をしている人はいますよね。ただ、そこを踏み越えて、だから規制すべきだというところまではなかなかいかなくて、むしろどうすればいいかってみんな悩む、積極的に悩むというところで。僕自身は、究極、どっちか選べと言われると、多分(規制)しないという。

今井  この問題で興味深いのは、船田元さんは自民党の憲法調査会長ですよね。自民党からルールづくりを任されているわけですね。自民党は改憲勢力ですよ。財界その他の意向を受けて9条を変えたいと思っているわけですね。そうすると、自分たちにとって有利なルールって何かといったら、テレビスポットCMについては、「自由だ」というのが有利なんですよね。参考人として出てきた民間放送連盟の役職者、それから日弁連の方々、学者の方々、みんなスポットCMの法規制に反対だ、言論の自由を侵すというふうに突っ込んできているわけですよね。
 そうすると、船田さんは、「そうですか、みなさんそう言われるのであれば、じゃあ規制せず自由とさせてもらいます」と言ったら、国民の見た目にも受けがいいし、ちゃんと批判を受けて改心したものわかりのいい人だと。おまけに財界からも、ええぞ、ええぞ、テレビCMが自由ならばんばん打とうじゃないかというふうになるでしょう。
 ところが、彼はかたくなにだめだと。全面禁止、あるいは14日前から禁止だというふうに言い続けているわけですよね。どういうルールが理に適っているかとかいうことじゃなく、有利、不利だけを考えたら、9条護憲派のほうが全面禁止しろというはずなのに、主張が逆になっている。これは実に興味深い現象で、こういう点をきちっととらえてほしい。
 このことに関連して一部の護憲派の人に一言苦言を呈したいのは、この『マガジン9条』の「みんなでディスカッション」のページで、国民投票のルール作りについてどう思いますかというテーマに対して、ある読者の一人が、「平和憲法を改悪するために有利なように法案をつくろうとしていると思います。『メデイア規制、広告制限』もそのためだと思います。」と投稿されている。
 いろいろな批判をしてもいいけど、そういう的外れなことを言っていたら、9条護憲派は思考停止の人たちだと思われますよ。なぜ我々がスポットCMの禁止を言ってきたか。私たち個々の市民というのは、広告を出せません。こうしたCMを作って、それを流すためには数千万円から数億円のお金が要るわけですよね。「言論の自由だからあなたたちもやりたかったらやってください」と言われたって、私たちにはできませんよ。これができるのは特定の金持ちと団体だけです。そうすると、私たち市民にとってこれは著しく不公平なルール設定になるから、それは規制しましょうと。特に9条の改憲、護憲で言えば、これを規制しないとみんなが思っているように改憲派に有利になるというふうに考えるのが普通であって、こういう改憲派に一方的に有利になるようなルール設定はよくないということで、やめましょうと僕らはこの2年前からずっと提案してきたわけですね。なのに、その護憲派の読者さんは、改憲派を有利にするためなんだろうと。どういう論理でそういうことを言われるのか唖然としました。

編集部  その人が護憲派を代表しているわけじゃないと思いますが・・・。

今井  もちろんそうです。でも、これが典型的な例なのでとりあげました。もっとこの中身について論理的に考えてほしい。その上で、批判することがあったら批判したらいいけど、言っていることがとんちんかん過ぎる。

編集部  井口さんは、どっちかといったら表現の自由を取ると言いましたけど、戦略的、戦術的でもいいんですが、護憲側からしたら全面禁止のほうがいいに決まっているのに、それでも表現の自由の方を尊重するべきなのでしょうか?

井口  僕は、本当にそうすることが護憲派にとってマイナスであるかということも、自信がないんです。フランスなんか、むしろその悪影響が出たわけでしょう。議席に比例してやっていて、それがむしろひんしゅくを買って、EU憲法の批准できなかったわけですね。そういうこともあるから。もう1つは、本当に去年の選挙が、テレビの影響が大きかったと言うけど、あのスポットCMで動いたとは僕は全く思いませんよ。

今井  実はスポットCMじゃなくて一般的なニュース番組ですよね。

井口  そうです。それで動いているんですよね。だからそれに規制をかけること自体は反対ですから。テレビ番組のキャスターや各新聞が社説等で自分の意見、自社の主張を述べることについての議論もありますが、これを規制するのは、絶対に僕は反対。例えばワイドショーでどう取り上げるというような、その場面は規制しようがないです。本当に、スポットCMみたいなのが果たして影響力があるか。

今井  憲法学者としての井口さんにぜひ伺いたいんですが、表現の自由をとるというふうにおっしゃいましたけれども、だとしたら、有料広告について3週間前から禁止しているフランス、全面禁止しているスイスは、表現の自由を侵しているということですか?違うと思うんですが。

井口  フランスの場合は、僕が知っているのは意見の多元性ということを言っていて、それを確保する。それが憲法原理としてあるからバランスがとれるということなんですね。
 ただ僕自身は、意見の多様性、多元性というのも日本国憲法の議論だと思っていますから、さっき言ったように、だからこそ無料の広告枠があって、それでバランスをとるんだと。ただ、そこだけ見て平等だからいいじゃないかという議論は全くおかしな議論だと。

今井  じゃあスイスはどうですか。スイスって、ものすごく民主主義にうるさい国ですよ。でも、国民投票で賛否を訴えるテレビCMは全面禁止なんです。なのに、学者も、評論家もだれも「表現の自由を侵している」なんて言う人は、スイス国内でいないですよ。これはどうですか。

井口  難しいですね。それは結局、そこでの憲法や国民のありようの違いの問題なんでしょうね。

編集部  う〜ん。本当に、メディア規制の問題は、難しいですね。議論にもきりがないのですが・・・。ここだけ最後にお聞きしたい。法規制に反対の人は、業者の自主規制、自主判断に任せるべきだと言いますが、ならば平等にやらなかったからって罰則もないということで、本当にそんなのでいいのかなという不安が残ります。そしてもうひとつは、それが国民投票に関するCMなのかどうなのか、だれが判定するのでしょうか。さっき言ったようなイメージ広告で、日本はいい国ですね。ザッパーンと波がこうなって自衛隊の人がいてとなったら、「これは日本の国をいい国だと言っているCMであって、賛成の投票を呼びかけるものじゃありません」と言うことができるわけでしょ。この2点はすごく不安に思います。

井口  そのとおりで、さっき言ったように、国民投票運動という定義があって、それにかからないものであれば、何でも許されるわけだから。そういう意味では、規制がある種、実効的ではないという側面があって、だからこそ、僕はあまり規制のほうにいかないというのもあるのです。筋論としてそれを言った上で、じゃあそれに対してどうするかということを考えたほうがいい。今、そういう議論をしておくことのほうが、実際に発議がなされたときに、むしろ国民の中の議論としては有効だというふうに思うんですね。
 だから、罰則がないのはしようがないというふうに思いますよ。逆に、それをどうやって確保するのかってものすごく難しい。さっきの個別発議の問題と一緒で、実際的に規制を加えたとしても難しいと思うんですね。
 スイスでそれが問題にならないのは、それが根づいてきて、逆に言うとみんな聞いてくれるというか、それが正当だと思うからこそなわけですよね。それが正当だと思うようなメディアでなかったら、規制したところでそうじゃない形でやるだろうし。
 さっき言った船田さんが言っている議論は、多分、今、自民党はどっちかというとメディアに不信感を持っていますね。むしろ、この機に乗じてメディア規制したいわけでしょう。これをとっかかりにして、ほかのものにと考えているわけです。だから、その点で戦略的なレベルでも、ここでメディア規制に乗るのはどうかなと思います。

今井  僕も、国会で参考人として「望ましいのは事業者の自主規制、それをしないのなら法規制もやむを得ない」と言ったけど、正直、それは強い確信を持って、国会で発言したんじゃなくて、49対51なんですよ。ふとした瞬間に、考えが変わったりするわけ。友達からも「いつも『国民を信用しろ』とか『住民はばかじゃない』とかと言ってるのに、今井らしからぬ発言だった」と随分言われました。
 確かに、今でもそうなんだけれども、全面自由にしたって、国民はきちんと判断できる能力があるかもしれないという気持ちはあります。参考人で呼ばれたときに隣に座っていたフジテレビの山田良明さんという、民間放送連盟から来た役員の人は、『北の国から』のプロデューサーとして有名ですよね。山田さんは民間放送連盟の放送倫理担当なんです。山田さんが、僕の名前を言わなかったけど、明らかに僕の発言を意識して言ったんです。「視聴者は番組やCMを賢く見てくださっていると思う」と。別の参考人で「タレントの手の動きによって投票が変わるなんて、国民を愚弄するな」と言った人もいた。つまり「衆愚観を捨てろ。国民はばかじゃない、ちゃんと判断できる」というふうに言われているわけです。
 私も「そうだ、そうだ」と言いたくなる気持ちは正直あるんです。あるけれども、これは本当に難しい。だから結論から言えば、これが全面禁止になるか、14日前から禁止になるか、それとも完全自由になるか、僕は今の気持ちで言ったらどれになってもいい。ただし、それは国民からの提案によって決まらないとだめだよと。自民党や公明党や民主党が言って、彼らが国民を仕切るんじゃなくて、国民がよく考えて、これで行こうというふうに国民からの提案が通らないとだめだと思ってます。
 現時点では何が正解なのか正直言ってわからない。ただし大事なことは、主権者がイニシアチブをとってルールを決めるということなんです。官僚とか議員にこれを決定するイニシアチブをとらせてはいけない。主権者が良く学びよく話し合ってイニシアチブをとるべきです。つまり、私たちが黙っていて傍観して、ただ、ああいうふうな議論してるな、ちょっとちくっと言ってやろうという姿勢じゃなくて、私たちが具体的にこうあるべきだという提案をして立法化に反映させる努力をすべきだと思います。

編集部  具体的には、どういうふうに。

今井  まずは議論しないとだめ。『報道ステーション』でも『NEWS23』でもテレビでこの問題を全然やっていない。メディアや個々のジャーナリストはこの問題についてきちんと向き合ってほしい。そのきっかけになるのが、1月21日に私たちが開催する公開討論会だと思っています。くり返し言うけれども、どの結論になっても、国民が求めるべきルール設定じゃないとだめだと思う。

井口  その点で、僕は、今、決めることが良くないことだと考えます。国民自身が、本当にもっと憲法改正の内容や国民投票法の中身に具体的に関心をもつようなったときに、つまり、今井さんのいう国民の納得行くルール作りができる環境になったときに、僕は、立法化するべきだと思っているんです。

その2へ→

対論はさらにヒートアップ。
メディア続き、国民投票法案の「永住外国人の投票権についてはどうするのか?」
「最低投票率を設けるべきかどうか?」そして、
「国民投票を行うと、9条解釈改憲の歯止めになるのか?」などについて、熱い対論は続きます。
この模様は、2007年1月10日号、17日号に掲載いたします。
お楽しみに!

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